加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

◆棚から1枚

「Herbie Nichols Trio (Blue Note) 1955,1956」孤高のピアニスト、ハービー・ニコルズ

ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)というピアニストは、ブルーノート(Blue note Records)5000番台にリーダー録音を残したエルモ・ホープ(Elmo Hope)同様、「知る人ぞ知る」的な存在のまま、現在に至る孤高の存在なんだそうです。 ハービー・ニコルズ…

「Gil Melle - Patterns In Jazz (Blue Note) 1956」極上なるウエスト・コースト風味のサウンド

ギル・メレ(Gil Melle)という白人系サックス奏者は、初期ブルーノート(Blue Note Records)において重要な役割を果たした人物として、一部ブルーノート・マニアに認知されている存在ではありますが、昨今のCD再発状況を眺める限り、一般的な人気があっ…

「Miles Davis - In A Silent Way (Columbia) 1969」静寂の中繰り広げられる新たなる音楽表現

マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の「In A Silent Way (Columbia CS-9875)」は、「Miles In The Sky (Columbia CS-9628)」、「キリマンジャロの娘 Filles De Kilimanjaro (Columbia CS-9750)」と続くエレクトリック路線のアルバム第3弾であります。 「…

「Miles Davis - Filles De Kilimanjaro (Columbia) 1968」コンセプト・アルバム「キリマンジャロの娘」

マイルス・デイヴィス(Miles Davis)のアルバム「キリマンジャロの娘 Filles De Kilimanjaro (Columbia CS-9750)」は、エレクトリック路線に舵を切ったマイルスの「Miles In The Sky (Columbia CS-9628)」に続いて発売されたスタジオ録音です。 ジャケット…

「Miles Davis - Miles In The Sky (Columbia) 1968」エレクトリック・サウンドへの転換模索

1967年06~07月にかけ録音された「Nefertiti (Columbia CS-9594)」は、60年代黄金クインテットが作り出すアコーステック・サウンドの頂点というか到達点に至ったアルバムであります。 往々にしてある分野の頂点を極めしてしまうと、次にどの方向へ行くべき…

「Miles Davis - Sorcerer (Columbia) 1967」耽美的なバラッド多めのアルバム

「60年代黄金クインテット」を率いるマイルス・デイヴィス(Miles Davis)のスタジオ録音第3弾が、1967年05月に録音された「Sorcerer (Columbia CS-9532/CL-2732)」です。 ジャケットの女性は、後に結婚するシシリー・タイソン(Cicely Tyson)との事。 …

「Miles Davis - Miles Smiles (Columbia) 1966」マイルスとトニーの真剣勝負(一騎打ち)

「60年代黄金クインテット」を率いるマイルス・デイヴィス(Miles Davis)は1965年03月に録音されたアルバム「E.S.P. (Columbia CS-9150/CL-2350)」から約1年半後、1966年10月にスタジオ録音第2弾となる「Miles Smiles (Columbia CS-9401/CL-2601)」を録…

「Miles Davis - Miles In Berlin (Columbia)」ウェイン・ショーター加入後のライブ

「Miles Davis - Miles In Berlin (CBS S-62-976/Columbia C2-38506)」は、これまでの一連のライブ録音とは一味違う演奏なので参考資料漁りつつ、どう感想を書こうか悩んでたら、結構時間が過ぎてしまいましたね。 週末は終日、遠方に出かける事が多いので、…

「Miles Davis - Miles In Tokyo (CBS/Sony)」マイルスを煽る過激なリズム隊

1964年、東京オリンピックが開催された年にマイルス・デイヴィス(Miles Davis)は、「第1回世界ジャズ・フェスティバル(The World Jazz Festival)」の参加グループの一つとして、ファン待望の初来日を果たします。 日本での公演の一つ、1964年07月14日「…

「Miles Davis In Europe (Columbia) 1963」トニーのボコボコ叩きまくるドラムが・・・

1963年からのマイルスの快進撃は、トニー・ウィリアムスを筆頭とした若手3人「The Trio」がメンバーに加わった事から始まります。 アルバム「Seven Steps To Heaven (Columbia CS-8851/CL-2051)」の録音に入る直前、マイルスはリズム隊の三人を自宅に呼び寄…

「Miles Davis - Seven Steps To Heaven (Columbia)」若手3人「The Trio」との初共演

マイルス・デイヴィス(Miles Davis)のアルバム「Seven Steps To Heaven (Columbia CS-8851/CL-2051)」は、トニー・ウィリアムス(Tony Williams)、ロン・カーター(Ron Carter)、そしてハービー・ハンコック(Herbie Hancock)という若手3人が、マイル…

「Miles Davis - More Music From The Legendary Carnegie Hall Concert (Columbia) 1961」マイルスとギル・エヴァンス楽団のライブ盤

マイルス・デイヴィス(Miles Davis)とギル・エヴァンス(Gil Evans)楽団が、1961年05月19日にニューヨークのカーネギーホール(Carnegie Hall)でのライブ・アルバム「Miles Davis At Carnegie Hall (Columbia CS-8612)」に収録されなかった曲を「お蔵出…

「Miles Davis - Miles Davis At Carnegie Hall (Columbia) 1961」マイルスとギル・エヴァンス楽団のライブ盤

マイルス・デイヴィス(Miles Davis)とギル・エヴァンス(Gil Evans)楽団が、1961年05月19日にニューヨークのカーネギーホール(Carnegie Hall)で行ったライブの模様を収録したアルバムが「Miles Davis At Carnegie Hall (Columbia CS-8612)」です。 クイ…

「Miles Davis - Someday My Prince Will Come (Columbia) 1961」製作者に捧げる曲を録音した意図は

1960年12月に結婚し、マイルス・デイヴィス夫人となったフランシス・テイラー(Frances Taylor)がアルバム・ジャケットを飾る「Someday My Prince Will Come (Columbia CL-1656/CS-8456)」。 アルバム・ジャケットに奥さんを起用したり、裏のライナーノート…

「Miles Davis & Sonny Stitt - The Essential Live In Stockholm (Dragon) 1960」臨時雇いのソニー・ステットと

「The Essential Live In Stockholm (Dragon DRLP-129/30)」は1960年11月13日、ストックホルムの「Konserthuset」におけるライブから拾遺されたものです。 このライブも、ヴァーヴ(Verve Records)でお馴染みの興行主、ノーマン・グランツ(Norman Granz)…

「Miles Davis & John Clotrane - The Essential Live In Stockholm (Dragon) 1960」コルトレーン対マイルス・バンド

1960年03月、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)は、バンドを辞めたがっているジョン・コルトレーン(John Coltrane)を何とか説き伏せ、最後のヨーロッパ・ツアーに旅立ちます。 この、1960年03月から04月かけて行われたヨーロッパ巡業は、ヴァーヴ(Verv…

「Miles Davis - Sketches Of Spain (Columbia) 1960」アランフェス協奏曲とスペイン関連の曲

マイルス・デイヴィス(Miles Davis)が、ギル・エヴァンス(Gil Evans)楽団と共演したアルバム第3弾で最終作となる作品が「Sketches Of Spain (Columbia CS-8271/CL-1480)」です。 「アランフェス協奏曲」を筆頭に、スペインに関連する計5曲が演奏されて…

「Miles Davis - Porgy And Bess (Columbia) 1959」名オペラのジャズ化作品

マイルス・デイヴィス(Miles Davis)が、ギル・エヴァンス(Gil Evans)楽団と共演したアルバム第2弾が「Porgy And Bess (Columbia CS-8085/CL-1274)」。 「ポーギーとベス(Porgy And Bess)」は、小説家・エドワード・デュボーズ・ヘイワード(Edwin DuB…

「Miles Davis - Milestones (Columbia) 1958」ハードバップからモードへ

1958年の02月04日と03月04日の2日間のセッションから拾遺されたアルバムが、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の「Milestones (Columbia CL-1193)」であり、マイルス・デイヴィスの音楽(演奏スタイル)が、「ハードバップ」から「モード」へ遷移する過…

「Miles Davis – Amsterdam Concert (Lone Hill Jazz) 1957」「死刑台のエレベーター」演奏メンバーによるライブ

1957年12月の04日と05日、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)は、当時恋仲であったジュリエット・グレコ(Juliette Gréco)を通じ、ルイ・マル(Louis Malle)監督のフランス映画「Ascenseur Pour L'echafaud(死刑台のエレベーター)」のサウンドトラック…

「Miles Davis - Ascenseur Pour L'echafaud(死刑台のエレベーター)」マイルスの「音」を決定付けたサントラ

1958年01月29日に公開されたルイ・マル(Louis Malle)監督のフランス映画「Ascenseur Pour L'echafaud(死刑台のエレベーター)」のオリジナル・サウンドトラック10曲に、ボーナス・トラック16曲を追加したアルバムです。 ジャケットの女優さんは、ジャ…

「Miles Davis - 'Round About Midnight (Columbia) 1955,1956」コロンビア移籍第1弾

マイルス・デイヴィス(Miles Davis)のコロンビア(Columbia Records)移籍第1弾が、モノラル録音の「'Round About Midnight (Columbia CL-949)」です。 ギル・エヴァンス(Gil Evans)が編曲したとされる表題曲「'Round About Midnight」のインパクトが強…

「John Coltrane - Soultrane (Prestige) 1958」プレステッジ時代の最高傑作(諸説あり)

テナーサックスの巨人、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)が、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)らジャズ・ジャイアンツと共演する事で急激な成長を遂げた時期が1958年付近、丁度、プレステッジ(Prestige Records)と契約していた時代であったりし…

「Ugetsu - Art Blakey and The Jazz Messengers (Riverside)」江戸時代の読本「雨月物語」を題材に

昭和的な話から始まりますが。 今回は、アナログレコードからカセットテープに録音し、よく聴いていたアート・ブレイキー(Art Blakey)率いるジャズ・メッセンジャーズの、お馴染みバードランドで1963年06月16日に録音されたライブ盤「Ugetsu (Riverside RS…

「Thelonious Monk - Brilliant Corners (Riverside) 1956」超個性派ピアニスト、モンクのユーモア溢れる好盤

ジャズ界の巨人というか、天才の一人、超個性派ピアニストのセロニアス・モンク(Thelonious Monk)。 1956年の、10月と12月の三回に渡り録音された「Brilliant Corners (Riverside RLP12-226)」は、セロニアス・モンク(Thelonious Monk)がリヴァーサイド…

「Jacky Terrasson - Lover Man (Venus) 1993」個性派ピアニストの最高傑作

フランス人ピアニスト、ジャッキー・テラソン(Jacky Terrasson)は、1993年の「セロニアス・モンク・コンペティション」で優勝した程の逸材。現在はフランス在住の様です。 この記事を最初に書いた2007年03月時点での所属レーベルは、「(仏)ブルーノート…

「Michel Petrucciani - Pianism (Blue Note)」早世したピアノの妖精

1999年に惜しくも亡くなった、フランス出身のピアニスト「ミッシェル・ペトルチアーニ(Michel Petrucciani)」。 先天性の骨疾患「大理石病」と闘いながら世界中を飛び回っていたパワフルな彼のことを「ピアノの化身」と称える人もいましたね。 その容貌と…

「Herbie Hancock - Quartet (Columbia) 1981」ザ・トリオ VS ウイントン・マルサリス

1960年代にジャズ・トランペットの巨人、マイルス・ディヴィス(Miles Davis)のバンドで演奏。 その後もマイルスの代わりにフレディ・ハバード(Freddie Hubbard)を加えたバンド「V. S. O. P.」を結成するなど、一緒に演奏する機会が多かったのが、ザ・ト…

「Barry Harris At The Jazz Workshop (Riverside) 1960」高揚感溢れるライブ盤

ビバップの伝道師として最晩年は教育活動に力を入れていたバリー・ハリス(Barry Harris)ですが、2021年12月08日に新型コロナウイルス感染に伴う合併症のため91歳で逝去されました。 さて、1960年05月15日、16日と二日間に渡り、サンフランシスコの「The Ja…

「Barry Harris - Plays Tadd Dameron (Xanadu)」ビバップの伝道師によるタッド・ダメロン集

ビバップの伝道師、バリー・ハリス(Barry Harris)。残念ながら2021年12月08日、新型コロナウイルス感染に伴う合併症のため、91歳で逝去されました。 また最晩年まで教育者としてジャズの神髄を伝える活動に従事し、ワークショップを通じ多くのジャズミュー…