加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Bill Evans & Jim Hall - Undercurrent(Liverty) 1962」ジャケットが暗喩する光景

ビル・エヴァンスBill Evans)とジム・ホールJim Hall)という知性派ジャズ・ミュージシャン達によるデュオ・アルバム「底流(Undercurrent)」。

 

「Bill Evans & Jim Hall - Undercurrent(Liverty) 1962」ジャケットが暗喩する光景

CD化の際、別テイク含む未発表だった4曲が追加収録されたバージョンも発売されております。

 

ビル・エヴァンスのハードボイルド風味(硬質)なピアノに、ジム・ホールのやや乾いたギターの音色が重なると、薄暗い水底に漂いつつ、眩しい水面を見つめるジャケットそのままの光景が、心の中に思い描かれていく様な気がします。

 

このジャケットが「暗喩する光景」というのが、前年1961年07月、ベースのスコット・ラファロScott LaFaro)を交通事故で失ったエヴァンスが内面に抱える「陰鬱とした気持ち」とリンクしているのかもしれません。


ブルーノート・レコードや他のジャズレーベルで発売されたアルバムのように、「この1曲」的な個別の楽曲を際立たせる感じではなく、全体を通して聴く事で、生み出される「余韻を楽しむアルバム」ではないかと思います。

 

ついでなんで、別レーベルからの「再発ジャケット」の話など。

 

「Bill Evans & Jim Hall - Undercurrent(Liverty) 1962」ジャケットが暗喩する光景

ネットで「Discgs」とか検索してみると、色がついて文字が入ったりと、再発時に様々な別ジャケットで発売されている事が分かります。

 

「Bill Evans & Jim Hall - Undercurrent(Liverty) 1962」ジャケットが暗喩する光景

オリジナルジャケットにミュージシャン名とタイトルが記載されていない事や、再発時にダブルジャケット仕様を止めてたりした影響でしょうかねえ。

 

ただ、アルバムの内容にそった「格調高いジャケット」を選ぶとなると、やはりオリジナルジャケットが一番相応しいのように思われますが、如何なものでしょう。

 

で今、見返したら「文字付きバージョン」はどちらも何故か、水面まで浮かび上がって顔だし、息吸って一息ついてる風になってますね。

初めて気がついた(笑)。

 


www.youtube.com

 

過度に弾き倒さず、「間」をうまく使う演奏を得意とする二人が繰り広げる即興演奏は、BGMとしても最適なんでしょうか?アマゾンのジャズベストセラーアルバム一覧でも上位に表示されてますね。

そういう視点でアマゾンのジャズベストセラーアルバム一覧を眺めると、BGMとして
「使える」アルバムが売り上げ上位を占めている事が分かったりします。

 

Bill Evans & Jim Hall - Undercurrent +4 (1962)
Liverty UAJS 150003/Blue Note CDP 7 90583 2 / 東芝EMI TOCJ-9337 [2001.10.24]

side 1 (A)
01. My Funny Valentine (R. Rodgers-L. Hart)  5:24
02. I Hear A Rhapsody (Gasparre, Fragos, Baker)  4:40
03. Dream Gypsy (Veevers)  4:35

side 2 (B)
04. Romain (Jim Hall)  5:24
05. Skating In Central Park (John Lewis)  5:24
06. Darn That Dream (Delange, Van Heusen)  5:10

CD Bonus Tracks
07. Stairway To The Stars (Signorelli, Malneck, Parish)  5:41
08. I'm Getting Sentimental Over You (G. Bassman, N. Washington)  4:17
09. My Funny Valentine [alternate take] (R. Rodgers-L. Hart)  6:57
10. Romain [alternate take] (Jim Hall)  5:25


#02.07,08  April 24, 1962 at Sound Makers, NYC.
Bill Evans (p) Jim Hall (g) 

#01,03-06,09,10  May 14, 1962 at Sound Makers, NYC.
Bill Evans (p) Jim Hall (g) 

 

 

「Undercurrent(Liverty) 」が録音された前後の話を少し。

 

1961年後半から1962年初頭というのは、1961年07月、交通事故でベースのスコット・ラファロScott LaFaro)を永遠に失ったショックにエヴァンス自身打ちひしがれる時期だったようです。

 

新たにチャック・イスラエル(Chuck Israels)を迎えたトリオでの録音を開始するのが、1962年05月以降である事から、ショックから立ち直るのに約1年程かかったと思われます。

●1961年12月と1962年05月「Herbie Mann & The Bill Evans Trio - Nirvana (Atlantic SD1426)」
ハービー・マン(Herbie Mann)のアルバムに、ベースにチャック・イスラエル(Chuck Israels)を迎えたトリオで参加。

 

Magic Touch

Magic Touch

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●1962年03月~04月「Tadd Dameron And His Orchestra - The Magic Touch (Riverside RLP9419)」

 

Conception + 1 Bonus Track

Conception + 1 Bonus Track

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●04月04日、ソロアルバム「Bill Evans - Conception (Milestone M-47063)」セッションの録音。

 

☆04月24日「Undercurrent(Liverty) 」第1回目の録音

 

●04月「Benny Golson Orchestra - Pop + Jazz = Swing (Audio Fidelity AFLP 1978)」参加。

 

☆05月14日「Undercurrent(Liverty) 」第2回目の録音

 


●1962年05月以降は、ベースにチャック・イスラエル(Chuck Israels)を迎えたトリオにて、2枚の下記アルバムに収録される録音を行っております。

Moon Beams

Moon Beams

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Bill Evans Trio - Moon Beams (Riverside RLP9428)」

How My Heart Sings!

How My Heart Sings!

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Bill Evans Trio - How My Heart Sings! (Riverside RS9473)」