加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Cannonball Adderley - Somethin' Else (Blue Note) 1958」マイルスの恩返しセッション

ブルーノート(Blue Note Records)のオーナーであるアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)とマイルス・デイヴィスMiles Davis)との付き合いは、相当深かったようです。

 

コロンビア(Columbia Records)と契約し人気上昇中のマイルスが、不遇時代に手を差し伸べてくれた恩人を助けるべく自ら企画。

当時自身のバンドメンバーであるキャノンボール・アダレイCannonball Adderley
をリーダーとしたセッションをアルバム化したのが「Somethin' Else (Blue Note BST-81595)」です。

 

「Cannonball Adderley - Somethin' Else (Blue Note) 1958」マイルスの恩返しセッション

マイルスは、「音楽監督(Musical Director)」という立場で参加。

脇役に徹してると思いきや、1曲目「枯葉(Autumn Leaves)」から存在感抜群の演奏を聴かせてくれます(笑)。

主役を喰う演奏をいきなりカマす(笑)マイルスの偉大さには平伏するばかりでございます。


このアルバムがブルーノートの代表作でありハードバップ時代の大名盤であり続けるのは1曲目、シャンソンの名曲「枯葉(Autumn Leaves)」をジャズ化した演奏であることに異議を唱える人は少ないであろうと思われます。

 


www.youtube.com

 

それほど、この演奏は強烈な印象を与えてくれます。

 

他の曲は、ご機嫌なハードバップといった感じで、どの曲も甲乙つけがたいです。

 


www.youtube.com

 

「枯葉」以外の曲を選ぶとすると、マイルス作の「Somethin' Else」かなあ?
「Love For Sale」も捨てがたいし・・・。

 

最初45回転12インチレコードで発売され、その後CDに追加収録された同セッションからの発掘曲「Bangoon (Alison's Uncle) 」は、典型的なハードバップといった風情の曲です。後の調査で、ハンク・ジョーンズ作曲であると判明した模様。

 

Cannonball Adderley - Somethin' Else +1 (RVG)
Blue Note BST 81595 / 東芝EMI TOCJ-66402 [2006.09.20]


01. Autumn Leaves (Prevert, Kosma)  11:01
02. Love For Sale (Cole Porter)  7:06

03. Somethin' Else (Miles Davis)  8:15
04. One For The Daddy-O (Nat Adderley)  8:26
05. Dancing In The Dark (Schwartz - Dietz)  4:07

[CD Bonus Track]
06. Bangoon (Alison's Uncle) (Hank Jones)  5:05


Miles Davis (tp omit #05) Cannonball Adderley (as)

Hank Jones (p) Sam Jones (b) Art Blakey (ds)
March 9, 1958 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

 

Somethin' Else

Somethin' Else

Amazon

 

ついでに補足。

Miles Davis Vol. 1 (Blue Note BLP 1501)

マイルス・デイヴィス・オールスターズ VOL.1

マイルス・デイヴィス・オールスターズ VOL.1

Amazon

 

Miles Davis Vol. 2 (Blue Note BLP 1502)

 

2枚の12インチレコードに収録された録音は、3枚の10インチレコードで発売されたものを再編纂して発売されたものです。

 

●「Miles Davis - Young Man With A Horn (Blue Note BLP 5013)」
は1952年05月09日、セクステットで録音。

●「Miles Davis Vol. 2 (Blue Note BLP 5022)」
は1953年04月20日セクステットで録音。

●「Miles Davis Vol. 3 (Blue Note BLP 5040)」
は1954年03月06日、カルテットで録音。

 

Take Off: the Complete Blue No

Take Off: the Complete Blue No

Amazon

 

この頃のマイルスは麻薬に溺れていた時期で、スタジオ録音が極端に少ないです。


この不遇な時期に「録音しよう」と手を差し伸べたのは、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)です。

 

で、3回目の録音から4年後。

恩返しが出来る余裕が出来たマイルスからの提案で、1958年03月09日に「Somethin' Else (Blue Note BST-81595)」は録音されます。

 

で、「Somethin' Else (Blue Note BST-81595)」でのマイルスの立場「音楽監督」に注目したのが、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)。

 

この「音楽監督(Musical Director)」というシステムをアート・ブレイキー(Art Blakey)に取り入れるよう進言し、誕生したのが新生「Art Blakey and The Jazz Messengers」。

アルバム「Moanin' (Blue Note BST-84003)」から、ベニー・ゴルソンBenny Golson)を音楽監督に据えたジャズ・メッセンジャーズの快進撃は皆さん、良くご存じの事かと思われます。

 

 

そういう裏の側面から眺めると、この1958年に行われた「マイルスの恩返しセッション」は、ブルーノート(Blue Note Records)に多大な貢献と利益をもたらした様に思えてきます。


私は「RVGリマスター」のCDと、UA盤の輸入レコードを聴いておりますが、UA盤の輸入レコードの音の良さは筆舌に尽くしがたく、このアルバム「Somethin' Else (Blue Note) 」に限っては、「ジャズはレコードで聴くべきだなあ」と思ったりします。

 

まあ、でもレコードで聴くの面倒なんですけどね・・・(笑)。