「The Sidewinder (Blue Note BST-84157)」は、体調を崩し一時的に引退状態だったリー・モーガン(Lee Morgan)が復帰直後に録音したアルバムで大ヒットしました。
復帰第1弾のアルバムでありモーガンの復活を告げる、起死回生となったアルバムでもあります。
ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)が吹き込んだ「Watermelon Man」をヒントに、ジャズの演奏に8ビートを取り入れた結果、全米に「ジャズ・ロック」ブームを巻き起こしたようです。
なお「ザ・サイドワインダー(The Sidewinder) 」が、自動車メーカー・クライスラー(Chrysler)のTV広告に使用された事でヒットが拡大した・・・的な話を時々目にしますが、wikiの記事を眺めると実態は「無断使用」だったそうで、モーガン側からの抗議により、すぐ放送中止となった模様。
さて、このTVCM作った広告代理店さんの運命は・・・(苦笑)。
地下鉄走行時に出る「ガタゴト音」からヒントを得て、あの独特なリズム・パターンが生まれたという話もあったりしますが、真偽は不明。
またケニー・ドーハム(Kenny Dorham)の弟子としてブルーノートの録音に登場したジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson)が、このアルバムでは大活躍しております。
てな訳で、「The Sidewinder (Blue Note BST-84157)」に参加したミュージシャン、特に
ビリー・ヒギンズ(Billy Higgins)は、ブルーノート(Blue Note Records)で、ジャズ・ロック風の録音があると、必ず呼ばれるようになったとか(笑)。
Lee Morgan - The Sidewinder +1 (RVG)
Blue Note BST-84157 / 東芝EMI TOCJ-66406 [2006.09.20]
side 1 (A)
01. The Sidewinder (Lee Morgan) 10:21
02. Totem Pole (Lee Morgan) 10:11
side 2 (B)
03. Gary's Notebook (Lee Morgan) 6:03
04. Boy, What A Night (Lee Morgan) 7:30
05. Hocus-Pocus (Lee Morgan) 6:21
CD Bonus Tracks
06. Totem Pole [alternate take] (Lee Morgan) 9:59
Lee Morgan (tp) Joe Henderson (ts)
Barry Harris (p) Bob Cranshaw (b) Billy Higgins (ds)
December 21, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
「The Sidewinder」という楽曲は、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)も自らのビックバンドで録音したりと、他のミュージシャンが多数カバーした事からも、当時人気があった事がうかがえます。
そのおかげでライブでは最晩年まで「ザ・サイドワインダー(The Sidewinder) 」のリクエストがあったようで、最近発売された8枚組「Complete Live At The Lighthouse (Blue Note)」でも演奏されております。
リクエストに応え渋々演奏したという感じで、1回しかライブバージョンがないというのも興味をひかれるトコでありますが、そのあたりは別の機会にでも。
一時引退前のリー・モーガン(Lee Morgan)は、1961年06月まで「Art Blakey And The Jazz Messengers」に参加し、立て続けに録音しておりますが引退状態となる1962年は2枚。
1963年は、10月のハンク・モブレー(Hank Mobley)とのセッションまで録音がない状況。
録音が少ない時期のモーガンが何をしていたかというと、当時のジャズミューシャンあるある的な麻薬がらみで体調を崩し、故郷のフォラデルフィアに戻ってた模様。
復帰直後に録音されたアルバム群を、参考までにご紹介しておきます。
「Hank Mobley - No Room For Squares (Blue Note BST-84149) 」1963
「Lee Morgan - Search For The New Land (Blue Note BST-84169) 」1964
「Art Blakey & The Jazz Messengers - Indestructible (Blue Note BST-84193) 」1964
「Wayne Shorter - Night Dreamer (Blue Note BST-84173) 」1964
どのアルバムも結構お気に入りだったりします。
特に「Night Dreamer」なんて好きすぎて、自分のジャズバンドでも演奏したり。