タイトルは勿論、「Gordon」と「Go」をかけたんでしょうね。
ブルーノートのアルバムデザインを担当するリード・マイルス(Reid Miles)の、センスがひときわ光るジャケットでもあります。
このアルバムでは、ブルーノートのハウス・リズムセクションをバックに、デクスター・ゴードンの奔放で豪快なるテナーを堪能出来きます。
ビバップ時代から活躍するミュージシャンが、ブルーノートに録音する事により、ハードバップ~ファンキー~ソウルという時流に乗った演奏を残したというのも、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)のプロデューサーとしてのアンテナが冴えていたからなんでしょう。
同様なビバップ時代からの生き残り、アイク・ケベック(Ike Quebec)は、オルガントリオをバックに録音しておりましたが、デクスター・ゴードンがオルガン・トリオをバックに演奏したら、結構面白かったかもしれません。
さて、このアルバムでは、何と言っても1曲目「Cheese Cake」が素晴らしいですね。
Dexter Gordon - Go! (RVG)
Blue Note BST-84112 / 東芝EMI TOCJ-9077 [1999.01.27]
side 1 (A)
01. Cheese Cake (Dexter Gordon) 6:30
02. I Guess I'll Hang My Tears Out To Dry (Styne/Cahn) 5:20
03. Second Balcony Jump (Eckstine/Valentine) 7:04
side 2 (B)
04. Love For Sale (Cole Porter) 7:35
05. Where Are You ? (Adamson/McHugh) 5:18
06. Three O'Clock In The Morning (Robledo/Terriss) 5:41
Dexter Gordon (ts) Sonny Clark (p) Butch Warren (b) Billy Higgins (ds)
August 27, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
ビバップ時代から大スターだったデクスター・ゴードン。
麻薬の影響で一時引退を経て復帰後を果たしたものの、他の会社が躊躇してる時期に、あえて録音に着手したのがブルーノート(Blue Note Records)でした。
この辺りは、麻薬で苦しむマイルス・ディヴィス(Miles Davis)に、手を差し伸べたエピソードと被る部分でもあります・・・。
大らかな演奏を繰り広げるデクスター・ゴードンですが。マイルス・デイヴィスと同様、父親が医師という中流階級家庭の生まれだったようです。
お金持ちのお坊ちゃんだったんで、がつがつしない鷹揚な演奏なんだなあー、と。
私の知り合いのミュージシャンで、お金持ちのお坊ちゃんだった奴の例と照らし合わせて考えると、思いっきり納得してしまいます。
ミュージシャンは「育った環境」で演奏手法が大きく変わるものです(笑)。
バド・パウエル(Bud Powell)をモデルにして創作された1986年の映画『ラウンド・ミッドナイト』。この映画でデクスター・ゴードンは主役を務め、アカデミー主演男優賞にノミネートされたそうです。
ブルーノートでの録音が短期間に集中しているのは当時、拠点を西海岸に構えていたからなんでしょうかねえ?その辺りは、調べきれてません。
1961年は5月に立て続けに2枚録音
05月06日「Dexter Gordon - Doin' Allright (Blue Note BST-84077)」
05月09日「Dexter Gordon - Dexter Calling... (Blue Note BST-84083)」
1962年は公式に発売されたものは3枚。
05月28日「Herbie Hancock - Takin' Off (Blue Note BST-84109)」
08月27日「Dexter Gordon - Go! (Blue Note BST-84112)」
08月29日「Dexter Gordon - A Swingin' Affair (Blue Note BST-84133)」
1963年、渡欧してパリで録音。
05月23日「Dexter Gordon - Our Man In Paris (Blue Note BST-84146)」
奔放で豪快なる、俗に「デクスターのり」とも表現される、もたって演奏してるようで、ぎりぎりな処でリズムに乗ってるという神業(笑)は、晩年の演奏でも堪能出来ます。