チャールス・ミンガス(Charles Mingus)率いる「The Charles Mingus Jazz Workshop」による「直立猿人(Pithecanthropus Erectus)」は、モダンジャズの傑作アルバムです。
ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)、J.R.モンテローズ(J.R. Monterose)、マル・ウォドロン(Mal Waldron)という超個性派ミュージシャン達が参加している事でも人気がありますね。
※別ジャケットは「Discogs」からお借りしました。
さて「直立猿人」は、情景描写を念頭に曲のリハーサルが進められたらしく、思い思いに浮かんだ光景を楽しみつつ聴き進める「(劇中)BGM」として鑑賞した方が、分かり易いアルバムなのかもしれません。
力強いウォーキングベースから始まるおとろおどろしい表題曲「直立猿人(Pithecanthropus Erectus)」。
ミンガスが夢で見たという「ある日二足歩行を始めた猿人と他の猿人達との物語」
を描いた「組曲風」の作品です。
確かチャールス・ミンガス(Charles Mingus)が見た、こんな夢の中の物語に沿った作品(4部構成)だったと記憶してます。
Part 1 進化(Evolution):かつて猿人が、四つ足で這い歩きはじめた。
Part 2 優越感(Superiority-Complex):やがてその中の一人だけが、二本の足で歩くようになった。
Part 3 衰微(Decline):優越感を持った彼は、四つ足で歩く仲間を見下した。
Part 4 滅亡(Destruction):やがて四つ足族が決起し、横柄な直立猿人を倒してしまった。
悲鳴の如く咆哮するアルトサックス、ゴツゴツした感じのテナーサックスとピアノ、次々と発展していくストーリー性のある展開は、一聴しただけで強烈な印象を残します。
2曲目の「A Foggy Day (Gershwin, Gershwin)」は、霧深い都会(ロンドン?)における路上の喧騒を、ホイッスルなど交えて表現したものだったかと。
3曲目「Profile of Jackie」は、ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)を主役に据えた優雅なバラッド。
4曲目「愛の賛歌(Love Chant)」は、ゆったりとしたテーマから各人のソロが展開されます。
Charles Mingus Jazz Workshop - Pithecanthropus Erectus (1956)
Atlantic LP-1237 / Warner Music Japan WPCR-75351 [2008.02.20]
side 1 (A)
01. Pithecanthropus Erectus (Charlie Mingus) 10:35
[Evolution / Superiority-Complex / Decline / Destruction]
02. A Foggy Day (George & Ira Gershwin) 7:58
side 2 (B)
03. Profile Of Jackie (Charlie Mingus) 3:10
04. Love Chant ( Charlie Mingus) 14:54
Jackie McLean (as) J.R. Monterose (ts #omit 3)
Mal Waldron (p) Charles Mingus (b) Willie Jones (ds)
January 30, 1956 at Audio-Video Studios, NYC.
自身のレコード会社を立ち上げたり、親分肌であったチャールス・ミンガス(Charles Mingus)。
激情のあまりメンバーを殴ったりする半面、涙脆かったりと、感情の起伏がかなり激しいお方であった模様です。
アルバム「直立猿人(Pithecanthropus Erectus)」は、ジャズ評論家でエッセイストの植草甚一さんお気に入りの1枚だったそうです。
私も「直立猿人(Pithecanthropus Erectus)」は大好きで、それこそ学生時代から愛聴してました。
ミンガスが憧れていたデューク・エリントン(Duke Ellington)とは、トリオによるアルバム「Money Jungle」を録音してたりします。
このアルバムも結構好き。お勧めの1枚です。