クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)のウィズ・ストリングスを聴いてたら思い出した、時々思い出しては聴いてる大好きな1枚を。
日本のトランペット奏者の中で独自の個性を放ち、今も活躍する五十嵐一生さんのストリングス入りアルバム「Summer's Almost Gone (Deep Blue)」。
五十嵐さんを一言で表現すると「マイルスサウンドの探究者」という言葉が思い浮かびます。
さて「Summer's Almost Gone (Deep Blue)」は「The Summer Knows」や「The Sidewinder」などのジャズの名曲を交えつつ、ドアーズ、ボブ・マーリィ、プリンス、ジョン・レノンらが作った「ロックの名曲」を軽やかに演奏するアルバム。
エレクトリック・ギターやフェンダー・ローズが絶妙に絡む感じから推測するに、バンドの趣向としては「80年代マイルス・バンド」に近いのかな。
曲によっては若干「70年代マイルス・バンド」のテイストが混ざってたりしますけど。
で、マイルス・バンドと異なる趣向に仕上げるための「隠し味的ポイント」は、金子飛鳥率いるストリングスチーム。
優雅に、時には演奏の緊張感溢れる伴奏で五十嵐さんのトランペットを盛り立ててくれます。
五十嵐一生 - Summer's Almost Gone
Deep Blue Records/Toy's Factory TFCC-88408 [1997.09.01]
01. The Summer Knows (Michel Legrand) 7:47
02. Summer's Almost Gone (The Doors) 6:33
03. No Woman No Cry (Bob Marley) 8:46
04. The Most Beautiful Girl In The World (Prince) 7:24
05. Rosanna (TOTO) 6:54
06. The Sidewinder (Lee Morgan) 7:55
07. Jealous Guy (John Lennon) 5:12
08. Master Blaster (Stevie Wonder) 7:49
09. Boulevard Broken Dreams (Marianne Faithful) 5:44
10. Solitude (Duke Ellington) 6:11
五十嵐一生 (tp,org) 竹内直 (fl,sax) 納谷嘉彦 (p,rhodes) クリヤ・マコト (p,rhodes)
島健 (p) 近藤和明 (org) 三好功郎 (el-g) 伊丹雅博 (el-g) 清水興 (b) 俵山昌之 (b)
米木康志 (b) 井川晃 (ds) David Brown (ds) 岡部洋一 (per)
金子飛鳥ストリング・チーム (strings) 塩谷哲 (string arrange)
Recorded, Mixed, Mastered by Seigen Ono
最近の五十嵐一生さんの演奏を聴いてみると、かなり自己の内面に没入した感じの演奏が多いので、それはそれで素晴らしいのですが・・・。
アルバム「Summer's Almost Gone」のように、エレクトリックサウンドをバックにした、気軽で軽やかなアルバムも聴いてみたいですね。
五十嵐一生さんは、60年代マイルス・デイヴィス(Miles Davis)クインテットのサウンドを現代の解釈で再構築したアルバム「Deep Blue Rain」で1993年ソロ・アルバム・デビューした方です。
おまけに。私が持ってるCDから。
ピアニストの大西順子さんが中心となった「Jazz Workshop」というプロジェクトによる3枚組アルバム「パンドラ(Pandora)」に収録された五十嵐一生さんの演奏も、中々良かったりします。