日本が誇るジャズ・ピアニストでありビックバンドのリーダーでもある秋吉敏子さん。
イラストレーター・和田誠さんが描くジャケットがかわいい、秋吉敏子さんのアルバム「Toshiko At Top Of The Gate (Takt Jazz)」は、1968年に録音されたライブ盤です。
晩年のケニー・ドーハム（Kenny Dorham）が何故か参加しているのが面白いし、結婚前のルー・タバキン（Lew Tabackin）のトンがった演奏も、刺激的ですね。
秋吉さんのオリジナル曲は、曲調が和というか日本的でありますが・・・。
秋吉さん自身のビバップ風味のピアノ演奏に加え、ベースのロン・カーター（Ron Carter）、ドラムスがミッキー・ローカー（Mickey Roker）という名プレイヤー達の参加により、当時の最先端を行くジャズとしても聴き通す事が出来ます。
蛇足ですが、「トップ・オブ・ザ・ゲイト（Top Of The Gate）」は何と、あの有名ライブスポット「ヴィレッジ・ゲイト（Village Gate）」の２階にあるライブスペースなんだそうです。
さて「Toshiko At Top Of The Gate (Takt Jazz)」に話を戻します。
メンバー紹介に続く最初の「Opus No. Zero」は、万華鏡の如くテンポとイメージが切り替わっていく曲。各メンバー、特にお目当てのケニー・ドーハム（Kenny Dorham）のソロがたっぷり楽しめるのが嬉しいですね。
「The Firstnight (出会い)」は、和テイスト満載の曲。ケニー・ドーハムの好調なソロがとってもよろしいです。
アップテンポの「Phrygian Waterfall」は、秋吉さんがソロで演奏しております。
ジャズロックに和の旋律を混ぜ合わせた「Let's Roll In Sake (酒のめ、のめ) 」は、秋吉敏子のラムゼイ・ルイス（Ramsey Lewis）風の演奏をお楽しみいただけます。
レコードで発売時、Ｂ面に相当する６曲目からは、各メンバー個々にスポットをあてた演奏が続きます。
まず「How Insensitive」はリーダー、ピアノの秋吉敏子さんのショー・ケース。
ボサノヴァ「カーニヴァルの朝（Morning Of The Carnival）」は、ケニー・ドーハム（Kenny Dorham）のワンホーンによる演奏。
1964年に録音された最後のリーダー作「Trompeta Toccata (Blue Note BST-84181)」を思い起こさせるフレーズが、ソロの節々に飛び出します。
「The Night Song (from Musical Golden Boy)」は、ルー・タバキン（Lew Tabackin）がテナーサックスのワンホーンで、ジョー・ヘンダーソン（Joe Henderson）風の演奏を繰り広げるのには驚きました。
「Willow Weep For Me」は、ベースのロン・カーター（Ron Carter）のソロ。
最後のアップテンポな「My Elegy」は、再び全員参加の演奏で会場の雰囲気をヒートアップさせている様ですね。
秋吉敏子 – Toshiko At Top Of The Gate (1968)
Takt Jazz/Columbia XMS-10008-CT /
side 1 (A)
01. Introduction 0:35
02. Opus No. Zero (Toshiko Akiyoshi) 8:15
03. The Firstnight (出会い) (Toshiko Akiyoshi) 3:20
04. Phrygian Waterfall (Toshiko Akiyoshi) 3:53
05. Let's Roll In Sake (酒のめ、のめ) (Toshiko Akiyoshi) 3:17
side 2 (B)
06. How Insensitive (A. C. Jobim) 3:38
07. Morning Of The Carnival (from Orfeu Negro) (L. Banfa) 3:16
08. The Night Song (from Musical Golden Boy) (C. Strousse, L. Adams) 3:33
09. Willow Weep For Me (A. Ronell) 2:29
10. My Elegy (Toshiko Akiyoshi) 7:30
Kenny Dorham (tp) Lew Tabackin (fl,ts)
Toshiko Akiyoshi (p,arr) Ron Carter (b) Mickey Roker (ds)
July 30, 1968 at Top Of The Gate, NYC.
秋吉敏子さんの経歴をさらっと記載しておきます。
1929年、満洲（中国・遼陽）生まれの秋吉（龝吉）敏子。
1956年、26歳で単身渡米。バークリー音楽院（Berklee College of Music）にて奨学生として学ぶ。
1967年、ルー・タバキン（Lew Tabackin）と出会い、1969年に二度目の結婚。
1973年、ロサンゼルスで「秋吉敏子＝ルー・タバキンビッグバンド」結成。
ついでなんで。
ケニー・ドーハム（Kenny Dorham）は腎臓病を患い1972年12月05日、48歳で亡くなっておりますが、1964年からの主要参加作品を列記しておきます。
1964年
「Andrew Hill - Point Of Departure (Blue Note BLP 4167)」
「Joe Henderson - In 'N Out (Blue Note BLP 4166)」
「Kenny Dorham - Trompeta Toccata (Blue Note BLP 4181)」
1965年
「V.A. - 3/27/65 - Charlie Parker 10th Memorial Concert Recorded Live At Carnegie Hall (Limelight LM-82017)」
「V.A. - A Trumpet Tribute To Fats Navarro, Clifford Brown And Booker Little (Trip Jazz TLX-5036)」
1966年
「Kenny Dorham - Last But Not Least 1966 Vol. 2 (Raretone 5022-FC)」
「Duke Ellington, Thad Jones, Kenny Dorham, Howard McGhee - I Giganti Del Jazz Vol. 64 (Curcio GJ-64)」
1967年
「Cedar Walton - Cedar! (Prestige PRST 7519)」
1968年
「Barry Harris - Bull's Eye! (Prestige PRST 7600)」
「Toshiko Akiyoshi - Toshiko At Top Of The Gate (Nippon Columbia XMS-10008-CT)」
「Cecil Payne - Zodiac (Strata-East SES-19734)」
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1969年
「Clifford Jordan - In The World (Strata-East SES-19721)」
1970年
「V.A. - Charlie Parker Memorial Concert (Cadet 2CA 60002)」
正直に書いておきますが。
このアルバム「Toshiko At Top Of The Gate (Takt Jazz)」を聴いたのは、晩年のケニー・ドーハム（Kenny Dorham）の演奏はどんなもんだか知りたかっただけです。
各メンバーの演奏クオリティが想像以上に高かったのは、嬉しい誤算でしたね。
