加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Horace Parlan - Headin' South (Blue Note) 1960」ハンディキャップから生まれた独特の奏法、どす黒いピアノトリオ

ホレス・パーラン(Horace Parlan)の「Headin' South (Blue Note BST-84062)」。

 

「Horace Parlan - Headin' South (Blue Note) 1960」ハンディキャップから生まれた独特の奏法、どす黒いピアノトリオ

「Us Three (Blue Note BST-84037)」でお馴染みのトリオに、コンガのレイ・バレット(Ray Barretto)を加えた、クラブDJご用達の人気盤であるとか。

 

アス・スリー(SHM-CD)

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ホレス・パーランの演奏スタイルは、アーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal)を模範とし、マイルス・デイヴィスMiles Davis) の演奏スタイルを研究(?)して編み出された、とオリジナル・ライナーノートに書かれております。

 

バット・ノット・フォー・ミー

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幼少時に罹ったポリオのため、左手の指がうまく動かないというハンディキャップを負ったパーラン。

 

ジプシー・スイングの創始者ジャンゴ・ラインハルトDjango Reinhardt)と同様のハンディキャップを負いながら、 少ない音数で間を生かす、パーラン独自のスタイルを築き上げたのは凄い事であります。

 

 

何処か(ジャズ批評?)で読んだ話によるとホレス・パーランは、ソロもバッキングも、右手で演奏しているらしいです・・・凄いなあ。

 

音数少なくねちっこいソロ・フレーズを弾いたあと、どす黒いブロック・コードを挟むスタイルは、800gの超特大ステーキ を食べるかの如く、物凄いものに感じられまが、一度胃に収めてしまえば、表現しがたい快感が貴方を包み込むでしょう(当社比)。

 

「Headin' South」は、ブルースとゴスペル・フィーリングが溢れる1曲。

コンガを従えた演奏は盛り上がり、途中挟むドラム・ブレイクで気分は最高潮に達します。

 

「The Song Is Ended」は、牧歌的な曲。
そう思うと、コンガの音色がのんびりとアメリカ南部を旅する旅人の馬の蹄がかき鳴らす音に聴こえてきます。


ジョージ・ガーシウィン(George Gershwin)の名曲「Summertime」は、マイルス・デイヴィスMiles Davis)と ギル・エヴァンス(Gil Evans)のオーケストレーション作品を参考に、ピアノ・トリオ用にリ・アレンジしたものだそうです。

なおマイルス版は、『Miles Davis - Porgy and Bess(columbia/sony)』で聴くことが出来ます。

ライナー読んでから、慌ててマイルスのアルバム『Porgy and Bess』聴きかえし・・・・・納得しました。

Porgy & Bess

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ジョージ・タッカー(George Tucker)の弓弾きがテーマを奏でる中、寄り添うようなピアノ・バッキングは、 ギル・エバンス・オーケストラのバッキングを模したものだったんですね。

 


「Low Down」は、ゴスペル・ファンク・グルーブ・ソウル・ルーツ(Gospel-funk-groove-soul-roots)なブルース。

 


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超スロー・テンポなねちっこい演奏なんですが、途中登場する反復フレーズが凄い。

 

24小節(ブルース進行2回廻し)にも及び「キュラキュラ、キュラキュラ」と聴こえるフレーズ。

最初はどってことないんですが、その24小節が終わり次のフレーズに移る時の開放感
といったら・・・。

一度ハマルと病みつきになりますので、連続再生はなるべくお控え下さいませ。

 


「Congalegre」は世界的な人気DJ、ジャイルス・ピーターソンGilles Peterson)が
発掘した1曲。

 


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アップテンポの疾走感溢れるリズムにH・パーランの分厚いブロック・コードが絡み、コンガとドラムの掛け合いソロ が途中挟まれるという、踊る(騒ぐ)には最適な曲なのでしょう。


デューク・エリントンの「Prelude To A Kiss」は、耽美なバラッド。

耽美で陰影の濃い演奏は、アンドリュー・ヒル(Andrew Hill)に通じるものがありますね。


「Jim Loves Sue」は、ホレス・パーランが模範とするアーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal)の作品。

 


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うきうきするような軽快なリズムに、軽やかなソロ・・・確かにアーマッド・ジャマール・スタイルだなあ・・・。


「My Mother's Eyes」は、これまた牧歌的な1曲。
やや気だるい感じが、食後のコーヒーのような一時の安堵感を与えてくれます。

 

Horace Parlan - Headin' South (RVG)
Blue Note BST-84062 / 東芝EMI TOCJ-9159 [1999.11.26]

side 1 (A)
01. Headin' South (Horace Parlan) 4:29
02. The Song Is Ended (Berlin) 5:51
03. Summertime (Gershwin)  5:59
04. Low Down (Horace Parlan) 5:26

side 2 (B)
05. Congalegre (Ray Barretto) 4:23
06. Prelude To A Kiss (Ellington-Gordon-Mills)  5:25
07. Jim Loves Sue (Ahmad Jamal) 4:29
08. My Mother's Eyes (Gilbert-Baer) 5:22


Horace Parlan (p) George Tucker (b) Al Harewood (ds) 
Ray Barretto (cgona -omit #3,6) 

December 6, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

 

ヘッディン・サウス

ヘッディン・サウス

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このアルバムに収録されたクラブで踊れる人気曲「Congalegre」は、イギリス発「アシッド・ジャズ (Acid Jazz) 」の仕掛人、世界的な人気DJジャイルス・ピーターソンGilles Peterson)が発掘し、数々のコンピレーションに収録されております。

 

ブルー・ボッサ

ブルー・ボッサ

  • アーティスト:オムニバス
  • ユニバーサル ミュージック (e)
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そのうちアルバムレビューしますけど、グラント・グリーンブッカー・アーヴィン入りで、さらにどす黒い・・・黒光りしてるアルバムが「Horace Parlan - Up & Down (Blue Note)」。

アップ・アンド・ダウン

アップ・アンド・ダウン

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