「Jutta Hipp with Zoot Sims (Blue Note BLP-1530) 」は、ドイツ出身のバド・パウエル派の女性ピアニスト、ユタ・ヒップ(Jutta Hipp)のリーダーアルバム。
このジャケットは、ユニクロのコラボTシャツシリーズ、UTコレクション「ブルーノートレコード 2021 秋冬」にも採用され、思わず私も購入してしまいました。
もう在庫ないかもしれませんが、興味のある方は、ユニクロのお店でチェックしてみて下さい。
さて話をアルバムに戻します。
もう一人の主役が、よく駄盤が無いと言われるモダン・テナーの名手、ズート・シムズ(Zoot Sims)です。
このアルバムは隠れ名盤と言い切ってもよい出来で、ブルーノートには珍しく白人中心のセッションですが、知る人ぞ知る、といった顔ぶれなので、珍しくメンバー紹介を最初にしておきますね。
トランペットは、当時ズートのバンドに参加していた寡作なトランペッター、ジェリー・ロイド(Jerry Lloyd)。
なお彼は、ジョージ・ウォーリントン(p)のバンドでサヴォイ(Savoy)に録音があるようです(未確認)。
ベースは、T.モンク(p)、ランディ・ウエストン(p)などの作品で御馴染み、アーメド・アブダル・マリク(Ahmed Abdul-Malik)。
最後にドラム、女性ピアニストのアルバムでよく見かけるらしいエド・シグペン(Ed Thigpen)。
著名な寺島靖国先生の本を読むと昔、エド・シグペンのことを「女性専科」と揶揄するジャズ評論家の方もいらっしゃったとか・・・。
アルバムの内容は1曲目の自作曲「Just Blues」からズート・シムズの独断場。
ええ、名前の通りずーっと(笑)。
どの曲を聴いても、ズートの演奏しか記憶に残らない位に。
ズートの演奏があんまりにも素晴らしいので他のメンバーが霞んでおりますが、めげずによーく聴くと結構健闘しております。
ズートに合わせたのか、前作よりスインギーな演奏をするユタ・ヒップ(Jutta Hipp)。
2曲目、「Violets for Your Furs」でのロマンチックなバラッド・プレイが、女性らしく繊細な感じでよろしいです。
軽めのアタックで軽快な演奏を聴かせる、ジェリー・ロイド(Jerry Lloyd)。
自作曲の「Down Home」では、結構趣味のよいフレーズが次々と飛び出します。
曲のラスト、ズートとの軽快な4小節交換、演奏に勢いがあります。
CD追加曲は2曲。
収録時間の関係でカットされたのでしょう、どちらも良い演奏です。
最初は、ズートのサブトーン気味のテナーが心地よい、バラッドの「These Foolish Things」。
ユタ・ヒップの感情抑え気味のピアノ、続くジェリー・ロイドのバラッド・プレイも聴きどころ。
もう1曲は、軽快なアップテンポ・ナンバーの「'S Wonderful」。
ズートの勢いがあって良くスイングするテナーを堪能出来ます。
Jutta Hipp with Zoot Sims +2 (RVG)
Blue Note BLP-1530 / 東芝EMI TOCJ-7101 [2008.06.25]
24 Bit By RVG
side 1 (A)
01. Just Blues (Zoot Sims) 8:43
02. Violets For Your Furs (Dennis, Adair) 6:10
03. Down Home (Jerry Lloyd) 6:43
side 2 (B)
04. Almost Like Being In Love (Lerner, Loewe) 6:16
05. Wee Dot (J. J. Johnson, L. Parker) 7:29
06. Too Close For Comfort (Weiss, Bock, Holofcener) 6:53
CD Bonus Tracks
07. These Foolish Things (Weiss, Bock, Holofcener) 6:12
08. 'S Wonderful (G. Gershwin, I. Gershwin) 5:54
Jerry Lloyd (tp) Zoot Sims (ts) Jutta Hipp (p)
Ahmed Abdul-Malik (b) Ed Thigpen (ds)
July 28, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.