加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Duke Jordan - Les Liaisons Dangereuses (Charlie Parker) 1962」不遇時代のハードバップ・アルバム

1970年代頃から日本とヨーロッパで絶大なる人気を誇りながら、本国アメリカでは人気が出なかったのがピアニストのデューク・ジョーダンDuke Jordan)。

 

「Duke Jordan - Les Liaisons Dangereuses (Charlie Parker) 1962」不遇時代のハードバップ・アルバム

本国アメリカでの不人気加減に嫌気がさし、ヨーロッパに渡る前に録音された1枚が1962年の「Les Liaisons Dangereuses (Charlie Parker PLP-813)」です。

 

「Duke Jordan - Les Liaisons Dangereuses (Charlie Parker) 1962」不遇時代のハードバップ・アルバム

※ジャケット裏の写真は「Discogs」からお借りしました。

 

発売元のチャーリー・パーカー・レコード(Charlie Parker Records)というのは、チャーリー・パーカーCharlie Parker)の3番目の奥さんで、法定相続人でもあったドリス・パーカー(Doris Parker)が立ち上げたレコード会社。

主にチャーリー・パーカーに関連する未発表音源や、他社で録音された音源を再発する目的で設立されたレコード会社の様ですが、新規録音や、貴重な他のアーティストの買い取り音源を発売していた事で、一部ジャズマニアの注目を浴びております。

 

近年、「Charlie Parker Records - The Complete Collection [Membran 233193]」なる安価で高音質な30枚組CDボックスセットが発売され、私は狂喜乱舞したものです。もちろん見つけてすぐ買いました。

 

 

さて「Les Liaisons Dangereuses (Charlie Parker PLP-813)」の話に戻します。

このレコードに収録される「No Problem」という曲は元々、1959年のフランス映画「危険な関係Les Liaisons Dangereuses)」の為に書き下ろされたもの。

 

映画の同名サウンドトラック「危険な関係Les Liaisons Dangereuses)」は、アート・ブレイキージャズ・メッセンジャーズ(Art Blakey and The Jazz Messengers)と、フランス人サックス奏者バルネ・ウィラン(Barney Wilen)がメインで演奏し、デューク・ジョーダンDuke Jordan)が全作曲と1曲だけ演奏に参加しております。

 

 

ただこのサウンドトラックには、作曲者として「J. Marray」なる名前が記載されており、本来の作曲者であるデューク・ジョーダンには著作権料が入って来なかったそうで。

 

その酷い仕打ちに怒ったドリス・パーカー(Doris Parker)が、デューク・ジョーダンの名誉回復のために録音したアルバムが、この1962年の「危険な関係Les Liaisons Dangereuses)」という訳です。

 

という事で、ジャケットに「危険な関係Les Liaisons Dangereuses)の作曲者はデューク・ジョーダンですよ」とわざわざ書かれているのは、そんな裏話があったからこそ。

 

共演メンバーはと言うと、フロントにはセロニアス・モンクのカルテットでお馴染みのサックス奏者チャーリー・ラウズ(Charlie Rouse)と、ディジー・リース(Dizzy Reece)に似た演奏を聴かせるトランペットのソニー・コーン(Sonny Cohn)。

 

ベースにエディ・カーン(Eddie Khan)、ドラムスにアート・テイラーArt Taylor)というハードバップの演奏を得意とするメンバーを揃えた布陣。

 

さてこのアルバム、最初の3曲続けて「No Problem」のバージョン違いが収録されております。

 


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ジャズメッセンジャーズのような熱い演奏を聴かせる「No Problem #1」、アップテンポのピアノトリオでちょっとラテン調の「No Problem #2」、宴の後の余韻漂う「No Problem #3」と続きます。

この3曲を続けて聴くと、映画のダイジェストを「音だけ」で体感している気分に浸れます。

 

後半(LPレコードだとB面)は、明るくアップテンポの「Jazz Vendor」、ミディアムテンポでファンキーに演奏される「Subway Inn」、2つのバージョンが収録された「The Feeling Of Love」と続きます。

 


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アルバム最後の「The Feeling Of Love #2」は、トランペットのソニー・コーン(Sonny Cohn)がメインの演奏であり、雰囲気がディジー・リース(Dizzy Reece)っぽい感じで好きですね。

 

Flight to Jordan

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改めて聴き直すと、ドラムスが同じアート・テイラーArt Taylor)という事もあってか、1960年に録音された「Flight To Jordan (Blue Note BST-84046)」と似た雰囲気が、そこかしこに見え隠れするアルバムだったんですね、この「危険な関係Les Liaisons Dangereuses)」。

 

ついでに、このアルバムを聴いていると、デューク・ジョーダンDuke Jordan)が1990年前後にソロ・ピアノで新潟を訪れた際、この「危険な関係Les Liaisons Dangereuses)」の日本盤レコードにサインしてもらった記憶が蘇ります。

 

Duke Jordan - Les Liaisons Dangereuses (1962)
Charlie Parker PLP-813 / Venus Records TKCZ-36027 [1997.09.24]


side 1 (A)
01. No Problem #1 (Duke Jordan)  8:50
02. No Problem #2 (Duke Jordan)  4:15
03. No Problem #3 (Duke Jordan)  6:21

side 2 (B)
04. Jazz Vendor (Duke Jordan)  4:52
05. Subway Inn (Duke Jordan)  4:04
06. The Feeling Of Love #1 (Duke Jordan)  7:14
07. The Feeling Of Love #2 (Duke Jordan)  3:18


Sonny Cohn (tp #1,3-7) Charlie Rouse (ts #1,3-7) Duke Jordan (p) 
Eddie Khan (b) Art Taylor (ds) 
January 12, 1962 in NYC.

 

Les Liaisons Dangereuses - O.S.T.

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ついでに、アート・ブレイキージャズ・メッセンジャーズ(Art Blakey and The Jazz Messengers)の「No Problem」も参考までに。

 


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