加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Donald Byrd - Byrd In Hand (Blue Note) 1959」3管編成による重厚なアンサンブル

ドナルド・バードDonald Byrd)のブルーノート(Blue Note Records)第2弾「Byrd In Hand (Blue Note BST-84019)」は、本国「米ダウン・ビート誌」のレビューにて、最高評価(星)を獲得したアルバムだそうです(伝聞系)。

 

「Donald Byrd - Byrd In Hand (Blue Note) 1959」3管編成による重厚なアンサンブル

ドナルド・バードのトランペットの他、チャーリー・ラウズ(Charlie Rouse)のテナー・サックス、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)のバリトン・サックスという珍しい組み合わせの3管編成による重厚なアンサンブルが聴きもの。

 

ピアノのウォルター・デイヴィス(Walter Davis Jr.)、ベースのサム・ジョーンズSam Jones)、ドラムスのアート・テイラーArt Taylor)というブルーノート(Blue Note Records)らしい堅実なバックに支えられ、フロントのメンバーがアンサンブルにソロにと、八面六臂の活躍を見せてくれます。

 

さて、このアルバムにおいてドナルド・バードDonald Byrd)の演奏するフレーズは、1959年3~4月に録音された「Miles Davis - Kind of Blue (Columbia/sony)」を彷彿とさせるものが端々に見受けられます。

 

KIND OF BLUE

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そんな訳でこの当時、マイルス・デイヴィスMiles Davis)とドナルド・バードは、どの程度の交流があっただろうか・・・と考えてしまいます。

 

1961年頃にドナルド・バードのバンドに参加した、あのハービー・ハンコックHerbie Hancock)の証言によると、マイルスのレコードにあわせて、 バードと練習したなんてこともあったらしいですから、このあたりの真相を小川隆夫さんが解明してくれる事を密かに期待するところであります。


さて1曲目の「Witchcraft」は、サイ・コールマン(Cy Coleman)作曲のスタンダード。 


静と動を巧みに使い分けた演奏であり時として静寂の中、ドナルド・バードの奏でるトランペットが一気果敢に切り込んできたりします。

 

話はそれますが、「Duke Pearson - Profile(Blue Note BST-84022)」における、デューク・ピアソンDuke Pearson)の「Witchcraft」を演奏したバージョンもお勧めです。

 

プロフィール

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2曲目の「Here I Am」は、ミディアム・テンポでマイナー調な1曲であり、オープニングからドナルド・バードの美しいトランペットの音色を堪能出来ます。

 


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作曲家でもあるドナルド・バードの心締め付けるような演奏が聴けるのは、このようなバラッド演奏だと思ってます・・・アップテンポな演奏だと、定型フレーズに頼りすぎて、一本調子に感じる場面が多いので(笑)。


3曲目の「Devil Whip」は、3管の重厚なアンサンブルを従えたアップテンポ・ナンバー。

ソロでは、チャーリー・ラウズ(Charlie Rouse)の、いつになく勢いのある演奏がいいですね。


4曲目、レコードだとB面1曲目に相当する「Bronze Dance」は、リズムにルンバが混じったウォルター・デイヴィス(Walter Davis Jr.)のオリジナル。

軽やかなリズムに乗り、如何にもハード・バップ!と言った感じのごきげんなソロ・リレーが続きます。


5曲目の「Clarion Calls」は、ドナルド・バードのド派手なテーマ吹奏に他の二人がコール&レスポンス風に応えるという1曲。

 


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まあ、テーマにコール&レスポンスを取り入れるアイデアは「Art Blakey & The Jazz Messengers - Moanin(Blue Note BST-84003)」でお馴染みですね。

 

Moanin

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余談ですが、ラストのドナルド・バードがテーマ演奏する部分で『くすっ』となるところがありますので、最後まで通してお聴き下さいませ。


6曲目「The Injuns」は、ドナルド・バードの疾走感溢れるトランペット・プレイが素敵な1曲。

 


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ちなみにこの曲、「Cherokee」のコード進行を元に作曲されていると思われますので、あの有名な、クリフォード・ブラウンClifford Brown)の演奏と聴き比べて見ると面白いと思います。

 

STUDY IN BROWN

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Donald Byrd - Byrd In Hand (RVG)
Blue Note BST-84019 / 東芝EMI TOCJ-9099 [1999.03.25]

side 1 (A)
01. Witchcraft (Coleman-Leigh) 8:25
02. Here I Am (Donald Byrd) 8:22
03. Devil Whip (Donald Byrd) 4:39

side 2 (B)
04. Bronze Dance (Walter Davis Jr.) 6:39
05. Clarion Calls (Walter Davis Jr.) 5:38
06. The Injuns (Donald Byrd) 6:09


Donald Byrd (tp) Charlie Rouse (ts) Pepper Adams (bs) 
Walter Davis Jr. (p) Sam Jones (b) Art Taylor (ds)


May 31, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

 

バード・イン・ハンド

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Byrd in Hand -Hq- [Analog]

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Byrd in Hand [12 inch Analog]

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