加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Lee Morgan - Indeed! (Presenting Lee Morgan) (Blue Note)」早熟の天才トランぺッター登場

Indeed! (Blue Note BLP-1538)」は、地元フィラデルフィアで活動している頃から「神童」と称賛されていた早熟の天才トランぺッター、リー・モーガンLee Morgan)のブルーノート(Blue Note Records)におけるデビュー・アルバムです。

 

記念すべきデビュー作に華を添えるのは、幻のアルトサックス奏者と言われ、極端に録音が少ないらしいクラレンス・シャープ(Clarence Sharpe)の他、ピアノにホレス・シルヴァーHorace Silver)、ベースのウィルバー・ウェア(Wilbur Ware)、そしてドラムスはフィリー・ジョー・ジョーンズPhilly Joe Jones)という実力派が顔を揃えております。

 

この録音時に在籍していたディジー・ガレスピーDizzy Gillespie)楽団員の証、斜め45度に反り返ったトランペットをふてぶてしく構えるリー・モーガン・・・似合い過ぎです。

 

「Lee Morgan - Indeed! (Presenting Lee Morgan) (Blue Note)」早熟の天才トランぺッター登場

噂によると、すでにドラムスのアート・ブレイキー(Art Blakey)からジャズ・メッセンジャーズ参加するよう打診されていたそうですが、この時は断わったようです。

 

「まずは、ビックバンドでの経験を積みたい」という事で、ディジー・ガレスピーの誘いに乗り、彼の楽団に入団したという事らしいです。

ディジー・ガレスピーリー・モーガンをかなり可愛っていたらしく、ディジーの代表曲「チュニジアの夜(A Night In Tunisia)」では、あえてリー・モーガンにソロの座を譲っていたらしい(伝聞系)。

 

ジャケットをみると、かなりふてぶてしい表情しておりますが、リー・モーガンは当時、御年18歳でございます。

目を見ると、背伸びしてやや緊張気味にポーズをとってる風にも見えますが、写真からはすでに大物の貫禄、漂わせております。


さて、この際なんで、早熟の天才リー・モーガンの演奏をじっくり聴いてみましょうか・・・。

 

リー・モーガンの最初に思いつく特徴は、ファッツ・ナバロ(Fats Navarro)とクリフォード・ブラウンClifford Brown)から受け継がれた、豊かな音色とフレージングですか。

 

もう一つ、ハーフ・バルブで音をひしゃげさせる奏法は、当時のボスでトランペットの師匠でもあったであろう、ビバップ・トランペットの開祖、ディジー・ガレスピーDizzy Gillespie)の模倣でしょうね。

 

要するにファッツ・ナバロ、クリフォード・ブラウンディジー・ガレスピーという3人の先輩トランペッターが持つ「おいしい」所を全て吸収し、自分の強烈な個性として完成させたのが、リー・モーガンの特徴的なトランペット奏法なんだろうと思われます。

このアルバムをじっくりと聴いてみて、リー・モーガン奏法のポイントをようやく理解する事が出来ました(笑)。


さて、「Indeed! (Blue Note BLP-1538)」は、全6曲で構成されるアルバムです。


まず、作・編曲家のペンによる書き下ろされた4曲なのですが、ベニー・ゴルソンBenny Golson)の「Reggie Of Chester」と「Stand By」という2曲と、もう一人、オーウェン・E・マーシャル(Owen E. Marshall)の「Gaza Strip」と「The Lady」の2曲ですね。

 

残りの2曲は、作・編曲も得意なホレス・シルヴァーHorace Silver)の「Roccus」と、ドナルド・バードDonald Byrd)の「Little T」という感じです。

 


1曲目は如何にもホレス・シルヴァーらしいエキゾチックな曲調の「Roccus」。

 


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ホレス・シルヴァーフィリー・ジョー・ジョーンズのツボを心得たバッキングに煽られつつ、1番手に登場するリー・モーガンは、堂々たるソロを披露します。

クラレンス・シャープの、ややくすんだ音色のアルト・サックス・ソロもいいですね。

 

 

ベニー・ゴルソンBenny Golson)のペンによる軽快なハード・バップ調の2曲目「Reggie Of Chester」と6曲目「Stand By」は、いずれもゴルソン・ハーモニー全開といった風情の曲です。

 


オーウェン・E・マーシャル(Owen E. Marshall)のペンによる優雅なバラッド仕立ての3曲目「The Lady」、ドラムスのソロから始まるマイナー調で緊張感溢れる5曲目「Gaza Strip」も良い作品ですね。

 


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私一番のお気に入りである、ドナルド・バードDonald Byrd)作「Little T」。

CDによっては、ボーナストラックに「別テイク」が追加されております。

 


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トランペットのバルブを押す指がつりそうになりそうな目まぐるしいテーマ・フレーズを経て、若鮎のようにピチピチ跳ねるようなフレーズを聴かせてくれるリー・モーガン・・・カッコイイ!の一言に尽きますね。

 

さり気なくディジー・ガレスピー譲りのハーフ・バルブなどの小技を披露しつつ、時には大胆に吹きまくる天才少年リー・モーガン(当時18歳)。

 

ルフレッド・ライオンが、いきなりリーダー作の制作を決断した事が納得出来て出来栄えです。

 

モノラル録音なので、しっかりとしたオーディオ装置で、音源はCDでなくアナログ・レコードで聴いてみたい1枚であります。

 

Lee Morgan - Indeed! (Presenting Lee Morgan)  +1 (RVG)
Blue Note BLP-1538 / Blue Note 0946 3 92781 2 1 [2007] / 東芝EMI TOCJ-7063 [2007]

東芝EMI TOCJ-9134 [1999.09.22] 24 Bit By RVG(ボーナス・トラックなし)

side 1 (A)
01. Roccus (Horace Silver)  8:18
02. Reggie Of Chester (Benny Golson)  4:55
03. The Lady (Owen E. Marshall)  6:47

side 2 (B)
04. Little T (Donald Byrd)  8:23
05. Gaza Strip (Owen E. Marshall)  3:55
06. Stand By (Benny Golson)  5:48

CD Bonus Track
07. Little T [alternate take] (Donald Byrd)  8:07


Lee Morgan (tp) Clarence Sharpe (as) Horace Silver (p) Wilbur Ware (b) 
Philly Joe Jones (ds) 

November 4, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

 

 

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