当時はトランペットの若手注目筆頭株であったであろう、リー・モーガン(Lee Morgan)。
彼が「Lee Morgan Vol. 3 (Blue Note BLP-1557)」の録音から約5ヶ月後の1957年08月25日、4枚目のリーダーアルバム「City Lights (Blue Note BLP-1575)」を録音しました。
「Lee Morgan Vol. 3」と「City Lights (Blue Note BLP-1575)」の間には、ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)楽団での巡業やスタジオ録音の他、サイドマンとして「Johnny Griffin - A Blowing Session (Blue Note BLP-1559)」と、「Cliff Jordan (Blue Note BLP-1565)」という2枚のアルバムに参加し、それぞれの演奏に、華を添えております。
前作「Lee Morgan Vol. 3」とは、ベースのポール・チェンバース(Paul Chambers)以外のメンバーを一新。
フロントにはトロンボーンの俊英、カーティス・フラー(Curtis Fuller)と、アルトサックスとテナーサックスを吹き分けるジョージ・コールマン(George Coleman)を起用しております。
さらにピアノにはレイ・ブライアント(Ray Bryant)、ドラムスにアート・テイラー(Art Taylor)という一見、やや渋めのメンバー構成となっております。
さて、「City Lights (Blue Note BLP-1575)」に収録される曲は、全部で5曲。
ハード・バップ時代のアルバムではありますが、端々にファンキーブームの萌芽的なサウンドを聴くことが出来る、何というか過渡期的なアルバムではないかと思われます。
まず「City Lights」、「Tempo De Waltz」、「Just By Myself」の3曲は、お馴染みベニー・ゴルソン(Benny Golson)のペンによる作品です。
軽快なテンポで演奏される1曲目「City Lights」の冒頭聴こえる「ギコギコ」は、ポール・チェンバース(Paul Chambers)の弓弾きでしょうね(笑)。
ジョージ・コールマン(George Coleman)のアルトサックス・ソロ、カーティス・フラー(Curtis Fuller)のトロンボーンソロと続いた後に、リー・モーガン(Lee Morgan)が登場。軽快で余裕たっぷりのソロを聴かせてくれます。
レイ・ブライアント(Ray Bryant)の簡潔なソロ、ポール・チェンバースの弓弾きの弓弾きソロに続き、リー・モーガンとアート・テイラー(Art Taylor)による刺激的な4小節ソロ・交換へと続きます。
2曲目「Tempo De Waltz」はその名が表す通り、3拍子の曲です。
テーマが演奏された後、カーティス・フラー、リー・モーガン、ジョージ・コールマン、レイ・ブライアントと素敵なソロが続きます。
この曲は「Sonny Rollins - Plus 4 (Prestige PRLP-7038)」に収録されたソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)作の「Valse Hot」を連想させる演奏であります。
その視点で聴くと、リー・モーガンのソロがクリフォード・ブラウン(Clifford Brown)風、レイ・ブライアントのソロがリッチー・パウエル(Richie Powell)風に聴こえてくるから、不思議なものです。
両方の音源を入手可能な方は、是非とも聴き比べ願います。
4曲目「Just By Myself」は、いわゆるゴルソン・ハーモニー全開といった風味の曲。
ソロ・ブレイクからリー・モーガン、時折現れるホーン・アンサンブルを挟みつつ、快調なソロを聴かせてくれます。
続いて、若干のミストーン混ざりつつも軽快に吹きまくるジョージ・コールマン、トロンボーンらしいほのぼのフレーズと軽快なタンギングを絶妙に織り交ぜるカーティス・フラー、若干ファンキーな風味を混ぜつつ簡潔なソロのレイ・ブライアント、フロントのソロに匹敵するメロディアスなソロを聴かせるポール・チェンバースと、最後のテーマが登場するまで厭きのこない演奏が続きます。
ゆったりとした曲調の3曲目「You're Mine You」はあまり聞きなれない曲ですが、スタンダード・ナンバーでしょうかねえ。
テーマをリー・モーガンだけが吹き、他のフロントがアンサンブルにまわる編曲から、何だか「I Remember Clifford」を連想させる演奏となっております。
リー・モーガン、レイ・ブライアント、再びリー・モーガンと抒情的なソロが続きます。
シャッフル気味でファンキー風味に演奏される5曲目「Kin Folks」は、前作「Lee Morgan Vol. 3」に参加したジジ・グライス (Gigi Gryce) の作品で、編曲もジジ・グライスが手掛けたのでしょう。
ベニー・ゴルソンが手掛けた作品とはちょっと毛色が変わりますが、これはこれで魅力的に思えます。
素敵なバック・アンサンブルを挟みつつ、リー・モーガンの快調なソロが展開されていきます。しかし続くジョージ・コールマンのソロが、何だかジジ・グライス風なのが面白いですね。
その後、カーティス・フラー、レイ・ブライアント、ポール・チェンバースとソロが続きます。
Lee Morgan - City Lights (RVG)
Blue Note BLP-1575 / 東芝EMI TOCJ-9085 [1999.03.25] 24 Bit By RVG
side 1 (A)
01. City Lights (Benny Golson) 5:45
02. Tempo De Waltz (Benny Golson) 6:24
03. You're Mine You (Heyman, Green) 6:02
side 2 (B)
04. Just By Myself (Benny Golson) 9:25
05. Kin Folks (Gigi Gryce) 9:42
Lee Morgan (tp) Curtis Fuller (tb) George Coleman (ts,as)
Ray Bryant (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)
August 25, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
「Lee Morgan Vol. 3」から「City Lights (Blue Note BLP-1575)」までの間に、リー・モーガン(Lee Morgan)が参加したアルバムは、ざっと下記の通り。
うわ!「City Lights (Blue Note BLP-1575)」と同日に、場所をニューヨークの「Manhattan Towers」に移動して、オルガン・ジャズの開祖ジミー・スミス(Jimmy Smith)がリーダーのブルーノート・オールスターズによるジャム・セッションも録音されてたんですね。これは凄いなあ。
●March 24, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Lee Morgan Vol. 3 (Blue Note BLP-1557)
●April 6, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Johnny Griffin - A Blowing Session (Blue Note BLP-1559)
●April 7, 1957 in NYC.
Dizzy Gillespie Big Band - Birks' Works (Verve MGV-8222)
●April 8, 1957 in NYC.
Dizzy In Greece (Verve MGV-8017)
●June 2, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Cliff Jordan (Blue Note BLP-1565)
●July 6, 1957 at Newport Jazz Festival, Newport, RI.
Dizzy Gillespie At Newport (Verve MGV-8242)
●August 25, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Lee Morgan - City Lights (Blue Note BLP-1575)
◆August 25, 1957 at Manhattan Towers, NYC.
Jimmy Smith - House Party (Blue Note BLP-4002)
Jimmy Smith - The Sermon (Blue Note BLP-4011)
Jimmy Smith - Confirmation (Blue Note LT-992)
Jimmy Smith - Special Guests (Blue Note BNJ-50101)