ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)名義の「Plays For Bird (Prestige PRLP-7095)」は、1955年03月12日に急逝したチャーリー・パーカー(Charlie Parker)を偲び、パーカーが亡くなった翌年の1956年10月05日、ソニー・ロリンズ自身も参加していた「Max Roach plus 4」名義のバンドから、ピアノのレイ・ブライアント(Ray Bryant)を除くメンバーを迎え録音されております。
という事で、「Max Roach plus 4」バンドから、トランペットのケニー・ドーハム(Kenny Dorham)、ベースのジョージ・モロー(Gorge Morrow)、ドラムスのマックス・ローチ(Max Roach)が参加。
ピアノには、演奏記録を眺め推測するに、「Max Roach plus 4」バンドのレギュラー・メンバーであったであろうレイ・ブライアント(Ray Bryant)に代わり、ウェイド・レギ(Wade Legge)が参加しております。
日本で発売されたCDの帯に、「ソニー・ロリンズ一世一代のトリビュート作」とか書かれているものもありますが、このコピーを考えた人は、アナログレコードのA面全て使って収録された「メドレー」を聴いて、「ロリンズ、やけに気合入ってるなあ」と思ったのかもしれません(笑)。
アルバム1曲目は、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)ゆかりの曲を27分弱に及ぶメドレー形式で演奏しております。
なおアナログレコード時代、A面はこのメドレーだけで終わりますね(笑)。
メドレーは7曲が切れ目なく演奏されますが、それぞれの曲でテーマを吹く(演奏する)メンバーが変わっていきます。
ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の無伴奏ソロから、最初の「I Remember You」がスタート。ソニー・ロリンズは最初ゆったりと大らかなソロを聴かせてくれますが、マックス・ローチ(Max Roach)が仕掛ける煽りを受け、途中から俄然張り切ったソロを展開します。最後に登場するドラムとの掛け合いもお見事の一言。
続いての曲は「My Melancholy Baby」。リズム隊をバックにテーマを吹きだすのはケニー・ドーハム(Kenny Dorham)で、そのまま熱を帯びたソロに突入します。最後に登場するドラムとの掛け合いが、次の曲の転換の合図の代わりみたいですね。
メドレー3番目の「Old Folks」は、レイ・ブライアント(Ray Bryant)がテーマを奏でます。知的で優雅さすら感じさせるソロの後、お約束であるドラムとの掛け合いに突入します。
メドレー4番目となる「They Can't Take That Away From Me」では再び、ソニー・ロリンズ登場。ソロ冒頭から、豪快なフレーズが飛び出します。ドラムとの掛け合い部分では、やや奔放すぎるフレーズで楽しませてくれます。
メドレー5番目の「Just Friends」では、ケニー・ドーハム登場。ソニー・ロリンズの演奏に刺激を受けたのか、かなり熱いソロを展開します。
メドレー6番目は、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)が作ったラテン風味の「My Little Suede Shoes」 。テーマを奏でるレイ・ブライアントも演奏当初の知的でクールな雰囲気をかなぐり捨て(笑)、陽気でハッピーな演奏を聴かせてくれます。
チャーリー・パーカーに捧ぐ長尺メドレー、最後を飾るのは「Star Eyes」。ソニー・ロリンズ、ケニー・ドーハムが交互にテーマを吹き、ソロに突入。ソニー・ロリンズ、ケニー・ドーハムいずれも、ゴキゲンなソロを聴かせてくれます。
レイ・ブライアントによるソロの後、ソニー・ロリンズとマックス・ローチによる刺激的なソロ交換、そしてケニー・ドーハムとマックス・ローチによるソロ交換を経て、27分弱にも及ぶメドレーの幕が閉じていくのでした。
アルバムの2曲目、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)作曲の「Kids know」は、3拍子で書かれた12分弱にも及ぶ演奏です。
この曲、「Sonny Rollins Plus 4 (Prestige PRLP-7038)」で演奏された「Valse Hot」の続編みたいな感じですね。ドラムの煽り方も、何だか似たような雰囲気(笑)。
アルバムの3曲目、オリジナルアルバムの最後を飾るバラッド形式の「I've Grown Accustomed To Your Face」は、ソニー・ロリンズのワン・ホーンで、ゆったりと演奏されております。
私が聴いているCDにはもう1曲、ボーナストラックとして「The House I Live In」 が収録されております。
ソニー・ロリンズのゆったりとしたソロは、迫力満点。マックス・ローチとの刺激的なソロ交換も良い感じですね。
なお、「Plays For Bird (Prestige PRLP-7095)」は後年、レコード番号を変え再発された際(Prestige PRST-7553)に、「内容同じでジャケットのみ差し替え」が行われたようです。
プレステッジ(Prestige Records)お得意の戦法ですね。商売上手というか(笑)。
Sonny Rollins - Plays For Bird +1
Prestige PRLP-7095 / PRST-7553 / Victor Entertainment VICJ-60422 [1999.11.20]
side 1 (A)
01. Medley 26:57
a) I Remember You (Mercer-Schertzinger)
b) My Melancholy Baby (Burnett-Norton-Watson)
c) Old Folks (Hill-Robison)
d) They Can't Take That Away From Me (G&I.Gershwin)
e) Just Friends (Lewis-Klenner)
f) My Little Suede Shoes (Charlie Parker)
g) Star Eyes (Raye-DePaul)
side 2 (B)
02. Kids know (Sonny Rollins) 11:40
03. I've Grown Accustomed To Your Face (Lerner-Loewe) 4:55
Bonus Track
04. The House I Live In (Allen-robinson) 9:21
Kenny Dorham (tp) Sonny Rollins (ts) Wade Legge (p) Gorge Morrow (b) Max Roach (ds)
October 5,1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
「Plays For Bird (Prestige PRLP-7095)」の前後に録音されたアルバムを、大雑把に紹介しておきます。
●June 22, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Sonny Rollins - Saxophone Colossus (Prestige PRLP-7079)
●September 17, 1956 in NYC.
Max Roach + 4 (EmArcy MG-36098)
●September 19, 1956 in NYC.
Max Roach + 4 (EmArcy MG-36098)
Max Roach - Jazz In 3/4 Time (EmArcy MG-36108)
●October 5, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Sonny Rollins - Rollins Plays For Bird (Prestige PRLP-7095)
Sonny Rollins - Sonny Boy (Prestige PRLP-7207)
●October 9, 1956 at Reeves Sound Studios, NYC.
●October 15, 1956 at Reeves Sound Studios, NYC.
Thelonious Monk - Brilliant Corners (Riverside RLP12-226)
●December 7, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Thelonious Monk - Brilliant Corners (Riverside RLP12-226)
Sonny Rollins - Tour De Force (Prestige PRLP-7126)
Sonny Rollins - Sonny Boy (Prestige PRLP-7207)
●December 16, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Sonny Rollins - Sonny Rollins (Vol. 1) (Blue Note BLP-1542)
●March 7, 1957 at Contemporary's studio, Los Angeles, CA.
Sonny Rollins - Way Out West (Contemporary S3530)