加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Miles Davis - Birdland 1951 (Blue Note) 2004」バードランドの実況放送

1951年、ニューヨークのライブスポット、バードランドは定期的にライブの模様を実況中継としてラジオ放送していたようです。

ちなみにこの年の初めは、アート・ブレイキー(Art Blakey)を擁するディジー・ガレスピーDizzy Gillespie)バンドの演奏が放送されていた様で、マニアにより録音された音源は、ブートレグ盤として発売されているみたいです。

 

さてマイルスの自叙伝を読むと、マイルス・デイヴィスMiles Davis)のバンドもバードランドで定期的に演奏していたらしいですね。

 

以前ブートレグで発売された2回分のセッションに、新たに発掘された音源を追加。

ブルーノート(Blue Note Records)が2004年、1951年の実況放送録音をまとめ、公式アルバムとして発売したものが、今回の「Birdland 1951 (Blue Note 7243 5 95966 2 4) 」です。

 

「Miles Davis - Birdland 1951 (Blue Note) 2004」バードランドの実況放送

1951年06月02日の3曲と1951年09月29日の3曲は、バードランドからの実況放送をエアチェックした録音で、以前にブートレグ(非公式)、「Miles Davis, 'Lockjaw' Davis, Art Blakey - Rare Broadcast Performances (Ozone 7)」等で発売された音源です。

 

残る1951年02月17日の4曲は、このアルバムで初めて公開された音源との事。


1951年にバードランド行われた3つのライブには、リーダーのマイルス・デイヴィスMiles Davis)と、ドラムスのアート・ブレイキー(Art Blakey)が全てのセッションに参加しており、二人による丁々発止のやりとりを心ゆくまで楽しめるアルバムであったりします。


さて、1951年06月02日の3曲は、テナーサックスのソニー・ロリンズSonny Rollins)、トロンボーンのJ.J. ジョンソン(J.J. Johnson)、ピアノのケニー・ドリューKenny Drew)、ベースのトミー・ポッター(Tommy Potter)が参加しております。

 

デンジル・ベスト(Denzil Best)作曲の「Move」は、超アップテンポでの演奏。

 


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ここでのマイルスとブレイキーは、後のクリフォード・ブラウンClifford Brown)とマックス・ローチMax Roach)のコンビネーションを髣髴とさせる演奏を聴かせてくれます。

続くソニー・ロリンズSonny Rollins)、J.J. ジョンソン(J.J. Johnson)も、快調そのものですね。


マイルス作曲の「Half Nelson」 も、アップテンポで演奏されております。

テーマ部終わりから喰い込み気味にソロに突入するマイルスの気迫が物凄いですね。

ソニー・ロリンズ、J.J. ジョンソン、ケニー・ドリューと続くソロ・リレーもお見事。


同じくマイルス作曲の「Down」は、ミディアムテンポで演奏されますが、この位のテンポだと、アート・ブレイキーの細かいドラム・バッキングが冴え渡りますね。

 


新たに発掘された1951年02月17日の4曲には、1951年06月02日と同じメンバーが参加しております。

この4曲は、エアチェック時に混入したノイズがかなり気になりますが、それを凌駕する各メンバーの気合の入った演奏をお楽しみいただけます。

 

アップテンポで演奏されるマイルス作曲の「Out Of The Blue」は、かなり気合の入った各人のソロをお楽しみいただけます。


同じくマイルス作曲の「Half Nelson」は、ミディアムテンポで演奏されております。

ビバップ時代の名残を感じさせる、長くうねったテーマの後、豪快なエアチェック時のノイズと共にソニー・ロリンズのソロが始まります。

ロリンズのソロ終わりにセカンド・リフ的なフレーズが挿入されたりと、仕掛けも満載で、続くマイルスのソロも快調そのもの。


バド・パウエルBud Powell)作曲の「Tempus Fugit」は、ブルーノート(Blue Note Records)に残されたスタジオ録音とは少し異なるアレンジで演奏されます。

 


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スタジオ録音と聴き比べてみるのも面白いと思います。

 

 

2回目の登場となる「Move」は1回目よりややテンポを落とした事で、アンサンブルがまとまった演奏の様に思えますし、最初に登場するマイルスは、快調そのもの。

 

 

1951年09月29日の3曲には、マイルスが自叙伝で高く評価してるテナーサックスのビック・ニック・ニコラス(Big Nick Nicholas)と、エディ・ロックショー・デイヴィス(Eddie "Lockjaw" Davis)が参加。

その他、ピアノがビリー・テイラー(Billy Taylor)、ベースがチャールス・ミンガス(Charles Mingus)と何気に豪華メンバーが揃っております。

 

3回目の登場となる「Move」は前の2回に比べ、アンサンブルの精度が上がっており、ソロの最初で登場するマイルスも、気持ちよくブローしております。

マイルスに続くテナーサックス・ソロは順番が分かりませんが、2人のソロが終わった後、ホンカー同士の熱狂的なソロ・バトルに突入します。

 

ビリー・テイラーの知的なピアノ・イントロから始まるタッド・ダメロンTadd Dameron)の「The Squirrel」は、ミディアム・テンポで演奏される曲です。

 


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ここでのマイルス、ファッツ・ナバロ(Fats Navarro)そっくりのソロを吹いているのは興味深いですね。


同じくタッド・ダメロンTadd Dameron)の「Lady Bird」では、テーマを明確に提示しまいまま演奏がスタートします。

ここでもファッツ・ナバロ風に吹くマイルス、続くテナー・バトルも面白く聴く事が出来ます。

 

自叙伝を読むと、1951年頃のマイルス・デイヴィスはクスリに溺れ、如何にしてクスリを入手するかが生活の最優先事項となっていき、心身共にボロボロになっていた訳ですが、こうして放送音源を聴く限り、しっかりと演奏すべき時には、まともな演奏を聴かせていた事が分かります。

 

「聡明なマイルスがクスリの中毒から自分で抜け出すまで見守る」という立場を貫いたブルーノート(Blue Note Records)のオーナー、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)の人を見る目が正しかった事が、この録音からも伺い知る事が出来ます。

 

Miles Davis - Birdland 1951
Blue Note TOCJ-66225 / Blue Note 7243 5 95966 2 4 [2004]


01. Move (Denzil Best) [June 2, 1951]  6:12
02. Half Nelson (Miles Davis) [June 2, 1951]  7:32
03. Down (Miles Davis) [June 2, 1951]  7:11

 

04. Out Of The Blue (Miles Davis) [February 17, 1951]  5:53
05. Half Nelson (Miles Davis) [February 17, 1951]  7:40
06. Tempus Fugit (Bud Powell) [February 17, 1951]  6:42
07. Move (Miles Davis) [February 17, 1951]  5:42

 

08. Move (Denzil Best) [September 29, 1951]  6:20
09. The Squirrel (Tadd Dameron) [September 29, 1951]  8:36
10. Lady Bird (Tadd Dameron) [September 29, 1951]  5:30


#01-03: June 2, 1951 at Birdland, NYC, broadcast.
Miles Davis (tp) Sonny Rollins (ts) J.J. Johnson (tb) Kenny Drew (p) Tommy Potter (b)

Art Blakey (ds)

#04-07: February 17, 1951 at Birdland, NYC, broadcast.
Miles Davis (tp) Sonny Rollins (ts) J.J. Johnson (tb) Kenny Drew (p) Tommy Potter (b)

Art Blakey (ds) 

#08-10: September 29, 1951 at Birdland, NYC, broadcast.
Miles Davis (tp) Big Nick Nicholas (ts) Eddie "Lockjaw" Davis (ts) Billy Taylor (p)

Charles Mingus (b) Art Blakey (ds) 

 

バードランド1951

バードランド1951

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最後に、1951年付近のアルバムレビューを付記しておきます。


January 17, 1951 at Apex Studios, NYC.
Miles Davis And Horns (Prestige PRLP-7025)

kaji-jazz.hatenablog.com

 

 

February 17, 1951 at Birdland, NYC, broadcast.
Miles Davis - Birdland 1951 (Blue Note 7243 5 41779 2 7)

Birdland 1951

Birdland 1951

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March 8, 1951 in NYC.
Miles Davis/Stan Getz/Gerry Mulligan/Lee Konitz/Sonny Rollins/Zoot Sims - Conception (Prestige PRLP-7013)

コンセプション

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June 2, 1951 at Birdland, NYC, broadcast.
Miles Davis - Birdland 1951 (Blue Note 7243 5 41779 2 7)

September 29, 1951 at Birdland, NYC, broadcast.
Miles Davis - Birdland 1951 (Blue Note 7243 5 41779 2 7)

 

October 5, 1951 at Apex Studios, NYC.
Miles Davis - Dig (Prestige PRLP-7012)

kaji-jazz.hatenablog.com

 

ディグ+2

ディグ+2

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circa spring 1952 at The Barrel, St. Louis, MO.
●Jimmy Forrest/Miles Davis - Live At The Barrel (Prestige P-7858)

kaji-jazz.hatenablog.com

 

 

1951年は若きマイルスが葛藤する時期であった事が伺えます。