マルチリード奏者であるハル・マクシック(Hal McKusick)のアルバム「Triple Exposire (Prestige PRLP-7135)」を先日、時々行く中古CD屋さんで入手。
まあ、私も大好きなゴリゴリとしたピアノ演奏でスタイルで人気が高い、エディ・コスタ(Eddie Costa)が参加しているので購入した訳です。
てな訳で、主役のハル・マクシック(Hal McKusick)にはあまり期待せず購入したんですが、案外良い演奏を聴かせてくれて吃驚(笑)。
ハル・マクシックは、アート・ペッパー(Art Pepper)やポール・デスモンド(Paul Desmond)、リー・コニッツ(Lee Konitz)などに連なる白人系ビ・バップ奏者なんですね。
で、プレステッジ(Prestige Records)というと、どうしてもニューヨークを中心としてイースト・コースト・ジャズのイメージが強いのですが、こうしたウエスト・コースト・ジャズ系のアルバムも制作していたんですね。
さて今回、米OJC(Original Jazz Classics)盤に準拠した曲順のCDを購入したのですが、この曲の並び、スタジオで録音した順番なんで、一旦パソコンに取り込んで、レコードで発売された時に曲順に直して聴く事にしました(笑)。
マルチリード奏者であるハル・マクシック(Hal McKusick)の他、トロンボーンのビリー・バイヤース(Billy Byers)、ピアノのエディ・コスタ(Eddie Costa)、ベースのポール・チェンバース(Paul Chambers)、ドラムスのチャーリー・パーシップ(Charlie Persip)という編成です。
ちなみにトロンボーンのビリー・バイヤース(Billy Byers)は、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)楽団に編曲を提供してる人ですよね、確か。
1曲目の「The Settlers And The Indians」は、軽快で編曲もしっかりした曲。
メンバー全員ソロをとるため9分近くに及ぶ演奏ですが、起伏に富んだ構成であっという間に最後まで聴き通せてしまいます。
2曲目の「I'm Glad There Is You」は、ミディアム・テンポで演奏される曲で、ここでのハル・マクシックはクラリネットを演奏しており、ビリー・バイヤースのミュート・トロンボーン・ソロ、ポール・チェンバースのベース・ソロと素敵な演奏が続きます。
3曲目の「Something New」は、ちょっとファンキー風味の曲。
ビリー・バイヤースのトロンボーンとハル・マクシックのテナー・サックスによる低音を生かしたアンサンブルが素敵です。
ハル・マクシック、ビリー・バイヤース、エディ・コスタと続く、優雅なるソロ・リレーがいいですね。
後テーマ前に繰り広げられるハル・マクシック、ビリー・バイヤースによるソロ交換も刺激的ではあります。
4曲目の「A Touch Of Spring」は、ハル・マクシック(Hal McKusick)の自作曲。
ジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)が書きそうなウエスト・コースト風味満載のテーマの後、ハル・マクシックの穏やかなクラリネット・ソロが心に染み入ります。
クラリネットって、低音が出ないバリトン・サックスのような音色なんですね。
ビリー・バイヤースのミュート・トロンボーン・ソロ、エディ・コスタの端正なピアノ・ソロの後、ハル・マクシックとビリー・バイヤースが奏でるセカンド・テーマ
と、間に挟まれるポール・チェンバースのベース・ソロが見事です。
5曲目の「Blues Half-Smiling」も、ハル・マクシック(Hal McKusick)の自作曲。
シャッフル・リズムをバックに、ダウン・トゥ・アースでファンキーな演奏が繰り広げ
られます。
こういう雰囲気の曲では、ピアノのエディ・コスタの独断場ですね。ポール・チェンバースのふっといベース・ソロもファンキーであり、ハル・マクシックの低音を生かしたクラリネット・ソロも中々。
ビリー・バイヤースのミュート・トロンボーン・ソロも、ファンキーでございます。
6曲目の「Saturday Night」は、キメ多目のキレのある曲。
ここでのハル・マクシックは、アルト・サックスで、アート・ペッパー(Art Pepper)
っぽい可憐なソロをとり、その後、ピアノのエディ・コスタの軽快なソロ、ビリー・バイヤースの豪快なトロンボーン・ソロと続きます。
ソロ最後に登場するポール・チェンバースのベースもいいですね。
7曲目以降は、オリジナルの「Triple Exposire (Prestige PRLP-7135)」には収録されなかった曲となります。
7曲目の「Interim」は、ハル・マクシック(Hal McKusick)の自作曲。
フロント陣とベースが対話するかのようなテーマ部に続き、ポール・チェンバースのベース・ソロが始まります。
続くビリー・バイヤース、ハル・マクシック、エディ・コスタのいずれも、哀愁漂うソロを聴かせてくれますね。
8曲目の「Don't Worry 'bout Me」は、美しいバラッド。
ハル・マクシックがアルト・サックスで華麗なるソロを聴かせてくれます。
続くエディ・コスタはタメの効いたフレーズで堅実なソロを展開。3番手のポール・チェンバースも手堅いソロを聴かせてますね。
ソロ最後に再びハル・マクシックが登場。アート・ペッパーに肉薄する中々素晴らしいソロを聴かせてくれます。
9曲目の「Con Alma」は、ディジー・ガレスピー (Dizzy Gillespie)の有名曲。
エキゾチックなラテン風味のリズムをバックに、編曲がしっかりとしたテーマを聴かせてくれます。
ソロ1番手のビリー・バイヤースは、この手の曲が得意なんでしょうかねえ。気合の入ったソロを聴かせてくれます。
ラテン風味の曲なんで、エディ・コスタも低音を駆使しゴリゴリとピアノをかき鳴らしております。
ソロ3番手に登場するハル・マクシックも、少し高揚気味なソロを展開しております。
最後は、ベースのポール・チェンバースとドラムスのチャーリー・パーシップによるソロ交換。
今までバックに徹していたチャーリー・パーシップが堅実なるソロをとります。
Hal McKusick - Triple Exposire +3
Prestige PRLP-7135
side 1 (A)
01. The Settlers And The Indians (Robert Scott) 9:06
02. I'm Glad There Is You (Jimmy Dorsey, Paul Madeira) 3:50
03. Something New (Albert Gamse, Ricardo López Méndez) 5:07
side 2 (B)
04. A Touch Of Spring (Hal McKusick) 5:56
05. Blues Half-Smiling (Hal McKusick) 5:30
06. Saturday Night (Jule Styne, Sammy Cahn / arr by Bobby Scott) 7:09
CD Bonus Tracks
07. Interim (Hal McKusick) 5:48
08. Don't Worry 'bout Me (Rube Bloom, Ted Koehler) 7:58
09. Con Alma (Dizzy Gillespie) 7:39
Billy Byers (tb) Hal McKusick (as,cl,ts) Eddie Costa (p)
Paul Chambers (b) Charlie Persip (ds)
December 27, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
今回購入した、米OJC(Original Jazz Classics)盤に準拠した曲順も記載しておきます。
Hal McKusick - Triple Exposire +3 (OJC)
Prestige PRLP-7135 / OJCCD-1811-2 / Universal Music UCCO-9372 [2008.05.21]
Jazz The Best 超限定¥1,100 – 222
01. Interim (Hal McKusick) 5:48
02. Saturday Night (Is the Loneliest Night of the Week) (Jule Styne, Sammy Cahn) 7:09
03. Don't Worry 'bout Me (Rube Bloom, Ted Koehler) 7:58
04. Con Alma (Dizzy Gillespie) 7:39
05. Something New (Albert Gamse, Ricardo López Mendez) 5:07
06. Blues Half-Smiling (Hal McKusick) 5:30
07. A Touch of Spring (Hal McKusick) 5:56
08. The Settlers and the Indians (Robert Scott) 9:06
09. I'm Glad There Is You (Jimmy Dorsey, Paul Madeira) 3:50
Billy Byers (tb) Hal McKusick (as,cl,ts) Eddie Costa (p)
Paul Chambers (b) Charlie Persip (ds)
December 27, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.