1974年に日本フォノグラムを親会社とし、名プロデューサー・伊藤八十八さんが設立したジャズ・レーベル、イースト・ウィンド(East Wind)。
そのイースト・ウィンド(East Wind)がアート・ファーマー(Art Farmer)をリーダーとし1975年03月05日にニューヨークで録音したのが、ビックバンド・ジャズ界の巨人デューク・エリントン(Duke Ellington)に捧げたアルバム「To Duke With Love (East Wind EW-7012)」です。
フリューゲルホルンの名手、アート・ファーマー(Art Farmer)のバックを務めるのは、ピアノのシダー・ウォルトン(Cedar Walton)、ベースのサム・ジョーンズ(Sam Jones)、ドラムスのビリー・ヒギンズ(Billy Higgins)という顔ぶれ。
デューク・エリントン楽団が演奏した楽曲を題材にした、渋めのバラッド集という体裁であるため、アルバム全編で比較的、落ち着いた雰囲気の演奏が続きます。
クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)らとはライオネル・ハンプトン(Lionel Hampton)楽団の1953年のヨーロッパ・ツアー時、同じトランペット・セクションに座り、「若手ミュージシャンの反乱」と呼ばれた
ユーロッパのミュージシャン達との極秘録音にも参加しているアート・ファーマー(Art Farmer)。
この1975年の録音ではフリューゲルホルンに専念し、シダー・ウォルトン(Cedar Walton)トリオの絶妙なバッキングに刺激をもらいながら、温かい音色でソロを紡いでおります。
全編同じ雰囲気のアルバムなので、曲の紹介はかいつまむだけに留めます。
1曲目は、デューク・エリントンのバラッドを演奏するなら、これっ、という感じでミュージシャン達もよく取り上げる名曲「In A Sentimental Mood」。
冒頭からアート・ファーマーのフリューゲルホルンが鳴り響き、アート・ファーマーの渋めのソロのバックで、ピアノのシダー・ウォルトンがやや攻め気味のバッキングを弾いているのが面白いですね。
5曲目「Lush Life」はデューク・エリントンの片腕、ビリー・ストレイホーン(Billy Strayhorn)作曲の、これまた名バラッド。
素材の良さを生かしつつ、自分流に仕上げていくといった感じで、渋めのアート・ファーマーを、シダー・ウォルトンの刺激的なバッキングで浮かび上がらせるといった風情の演奏が心地よいです。
6曲目の「Love You Madly」は、確かデューク・エリントンがよく口にする言葉を曲のタイトルにしているようですね。
シダー・ウォルトンのファンキー風味のバッキングにのり、アート・ファーマーがフリューゲルホルンを吹き鳴らしております。
ビリー・ヒギンズの躍動的なドラム、それに寄り添うサム・ジョーンズのベースと、アルバムの最後に相応しい賑やかな演奏が続きます。
Art Farmer - To Duke With Love (1975)
East Wind EW-7012 / Universal Music UCCJ-9142 [2015.02.04]
side 1
01. In A Sentimental Mood (D. Ellington, I. Mills, M. Kurtz) 7:03
02. It Don't Mean A Thing (D. Ellington, I. Mills) 5:34
03. The Star Crossed Lovers (D. Ellington) 7:11
side 2
04. The Brown Skin Gal In The Calico Gown (D. Ellington) 7:26
05. Lush Life (B. Strayhorn) 6:23
06. Love You Madly (D. Ellington) 6:28
Art Farmer (flh) Cedar Walton (p) Sam Jones (b) Billy Higgins (ds)
March 5, 1975 at Blue Rock Studio, NYC.