加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Ugetsu - Art Blakey and The Jazz Messengers (Riverside)」江戸時代の読本「雨月物語」を題材に

昭和的な話から始まりますが。

 

今回は、アナログレコードからカセットテープに録音し、よく聴いていたアート・ブレイキー(Art Blakey)率いるジャズ・メッセンジャーズの、お馴染みバードランドで1963年06月16日に録音されたライブ盤「Ugetsu (Riverside RS9464)」をご紹介致します。

 

「Ugetsu - Art Blakey and The Jazz Messengers (Riverside)」江戸時代の読本「雨月物語」を題材に


ウェイン・ショーターWayne Shorter)が音楽監督を務めている頃の、重厚なアンサンブルが魅力の「3管メッセンジャーズ」による演奏です。

 

その他の参加メンバーはトランペットのフレディ・ハバードFreddie Hubbard)、トロンボーンカーティス・フラーCurtis Fuller)、ピアノのシダー・ウォルトンCedar Walton)、ベースのレジー・ワークマン(Reggie Workman)という強力な布陣。


1961年の初来日公演で熱烈歓迎に遇い、大の日本贔屓となったアート・ブレイキーらしく、「ウゲツ(雨月物語)」と「オン・ザ・ギンザ(銀座)」という、日本を題材にした2曲を演奏しております。

 

ニューヨークでのライブなのに(笑)。

 

 

新潟の某砂漠地帯の丘の上にある大学に通っていた時代、ブルーノートに残された大量のライブ盤を聴く前、このアルバム「Ugetsu (Riverside RS9464)」を脳に刷り込んでしまったので、「アート・ブレイキーのライブ」と言われ、最初に脳内再生されるのはこのアルバムであり、特に「Ping Pong」のリズム・パターンは、頭にこびり付いて離れないほどに聴き込みましたね。

 

 

さて1曲目の「One By One」は、1980年代にウイントン・マルサリスの参加で息を吹き返したジャズ・メッセンジャーズでも、良く演奏されていましたねー。

 


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ウェイン・ショーターWayne Shorter)が書いたこの曲は、どの時代の演奏でも好きですね。

 

2曲目の表題曲「Ugetsu」は、江戸時代の代表的な読本(よみほん)である「雨月物語(うげつものがたり)」を題材にした曲で、アート・ブレイキーは、MCで「ジャパニーズ・ファンタジー」と言ってますね。

 


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ネット情報によると「上田秋成が書いた日本・中国の古典から脱化した怪異小説九篇から成る」読本らしいです。

ピアノのシダー・ウォルトンCedar Walton)が書いた曲ですが、怪異小説を題材にしているのに、何となくオリエンタル風味の爽やかなテーマだったりします。

 

ブルー・スピリッツ+2

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そういえば、フレディ・ハバードFreddie Hubbard)が書いた曲に「Jodo(浄土)」という曲がありましたね。

 

 

3曲目「Time Off」は、トロンボーンカーティス・フラーCurtis Fuller)が書いた緊張感溢れるアップテンポの曲。

トロンボーンで軽々高速フレーズを繰り出すカーティス・フラーが凄いですね。

 


4曲目の「ピン・ポン(Ping Pong)」は、やはりアート・ブレイキーの叩きだす特異なリズム・パターンが好きです(笑)。

 


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大学生の頃から良く真似して叩いていたので、今でも思い出すとついつい手でパターンを刻んでしまいます。8小節で簡潔するパターンですが、テキトーに譜面にするとこんな感じ(コレジャ、ワカランヨネ)。

|タン、タン|タン、タン|タン、タン|タン、タン|
|タン、タン|タン、タン|タンタンタタッ|タン、タン|

 

「ピン・ポン(Ping Pong)」はブルーノート(Blue Note Records)から発売された「Roots & Herbs」というアルバムにスタジオ録音が収録されているので、興味のある方はどうぞ。

 

Roots & Herbs

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5曲目「I Didn't Know What Time It Was」は、ウェイン・ショーターWayne Shorter)の独奏から始まる、やや耽美的なバラッドです。

 


6曲目の「On The Ginza」は、東京の銀座をイメージした曲なんでしょうね。

アート・ブレイキーはアナウンスで「東京のショッピング街」と紹介しておりますね。

 

トロンボーンを含む重厚なる三管アンサンブルが印象的な曲ですが、この曲も最晩年までライブで演奏しておりましたね。

 

 

バードランドでのライブ盤「Ugetsu (Riverside RS9464)」は、贅沢すぎるサイドメンに囲まれ、全員が最高の演奏を聴かせてくれます。

 

とりあえず、聴いて損はないアルバムではないかと。

 

 

Art Blakey and The Jazz Messengers (Art Blakey's The Jazz Messengers) - Ugetsu + 4
Riverside RS9464 / OJCCD-090-2

side 1 (A)
01. One By One (Wayne Shorter)  6:19
02. Ugetsu (Cedar Walton)  11:05
03. Time Off (Curtis Fuller)  4:58

side 2 (B)
04. Ping Pong (Wayne Shorter)  8:07
05. I Didn't Know What Time It Was (Rodgers-Hart)  6:30
06. On The Ginza (Wayne Shorter)  7:07

CD bonus tracks
07. Eva (Wayne Shorter)  5:53
08. The High Priest (Wayne Shorter)  5:22
09. The Theme (Curtis Fuller)  1:45


Freddie Hubbard (tp) Curtis Fuller (tb) Wayne Shorter (ts) 
Cedar Walton (p) Reggie Workman (b) Art Blakey (ds)

June 16, 1963 at Birdland, NYC.

 

ウゲツ+3(紙ジャケット仕様)

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