加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Miles Davis - Milestones (Columbia) 1958」ハードバップからモードへ

1958年の02月04日と03月04日の2日間のセッションから拾遺されたアルバムが、マイルス・デイヴィスMiles Davis)の「Milestones (Columbia CL-1193)」であり、マイルス・デイヴィスの音楽(演奏スタイル)が、「ハードバップ」から「モード」へ遷移する過程をとらえた1枚でもあります。

 

「Miles Davis - Milestones (Columbia) 1958」ハードバップからモードへ


アルバム「Milestones」は、マイルス・デイヴィスMiles Davis)の他、アルトサックスのキャノンボール・アダレイCannonball Adderley)、テナーサックスのジョン・コルトレーンJohn Coltrane)、ピアノのレッド・ガーランドRed Garland)、ベースのポール・チェンバースPaul Chambers)、ドラムスのフィリー・ジョー・ジョーンズPhilly Joe Jones)というメンバー編成で録音されております。


「50年代黄金クインテット」のメンバーにアルトサックスの俊英、ブルースフィーリング溢れるキャノンボール・アダレイCannonball Adderley)が加わっているのがポイントですか。

 

進化を続けるジョン・コルトレーンJohn Coltrane)に刺激を受け、バンド参加時は戸惑っていたキャノンボール・アダレイが、あっさりと新しい演奏スタイルに馴染んでいった様子が、マイルスの自叙伝に描かれております。

 

 


さて、1957年の終わり頃から、マイルスはアフリカ的か東洋的な「モード奏法」と呼ばれる演奏に興味を示しだした模様で。

 

ビバップ時代から続く複雑で西洋的な「コード進行の制約」を極力受けず、もっと大きな空間で自由奔放にソロが吹ける演奏スタイルを模索していた様です。

 

現代ではジャズ・スタンダードとなった表題曲「Milestones」で、世に「モード奏法」なる演奏スタイルを示したのが、本アルバム「Milestones (Columbia CL-1193)」という訳です。

 

 

1、2曲目は1958年03月04日のセッションから。「Sid's Ahead」ではレッド・ガーランドではなく、マイルスがトランペットだけでなくピアノも弾いております。


アップテンポの1曲目「Dr. Jekyll」は、ジャッキー・マクリーン (Miles Davis)  の作品。

 

曲にはハードバップ時代の名残りがあるものの、マイルスが新しい演奏スタイルに変わりつつある事を感じさせます。
続くキャノンボール・アダレイジョン・コルトレーンのソロ・チェイスは、ブルージーキャノンボールと、シーツ・オブ・サウンド・スタイルで吹きまくるコルトレーンが絶妙に混ざり合ってるあたりが流石、マイルスというか・・・。

 


2曲目「Sid's Ahead」はマイルスの自作曲で、「Walkin'」タイプのブルース進行の曲の様に思えます。

 


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レッド・ガーランドは、曲の説明をしてる時に怒って帰ってしまったそうで、そのためマイルスがピアノを弾いているとの事。

 

コルトレーンのソロからは、アルバム「John Coltrane - Blue Train (Blue Note BST-1577)」の雰囲気が濃厚かな。

Blue Train: The Complete Masters

Blue Train: The Complete Masters

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マイルスとキャノンボール・アダレイのソロは、アルバム「Cannonball Adderley - Somethin' Else (Blue Note BST-81595)」の雰囲気を濃厚に感じます。

 

 

 

3~6曲目の演奏は、1958年の02月04日のセッションからで、「Billy Boy」はレッド・ガーランドのピアノ・トリオによる演奏となっております。

 

3曲目「Two Bass Hit」は、ディジー・ガレスピー (Dizzy Gillespie)とジョン・ルイス(John Lewis)  の共作。ビバップ時代の有名曲でもありますね。

 

ソロの先発、コルトレーンが吹きまくると、キャノンボールも負けじと濃厚なソロを展開します。
バッキングに徹するマイルスですが、前後のテーマ付近で存在感を示しております。

 


4曲目「Milestones」は、「Sid's Ahead」同様にマイルスの自作曲。

 


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曲の形式は8小節単位の「AABA」で、割り振られたコードは、各パート毎に一つだけというシンプルな構成の「モード奏法」で演奏される曲であります。

各メンバーのソロがゆったり感乏しいというか、空間を生かし切れてないのは、ピアノのレッド・ガーランドのバッキングが、まだ律儀に弾き過ぎているためでしょうねえ。

 


ピアノ・トリオだけで演奏される5曲目「Billy Boy」は、トラディショナル・ソング。

 


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間を生かした軽快なピアノは、アーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal)に通じる演奏ですね。

 


6曲目「Straight, No Chaser」はお馴染み、セロニアス・モンク (Thelonious Monk)が作曲したブルース。

 

ブルースという事で先発は豪快に吹きまくるキャノンボールで、続くマイルスは、音を選びつつキメフレーズを連発し、ソロ3番手のコルトレーンは、息の続く限り高速フレーズを重ねて行きます。

 

ソロ4番手のレッド・ガーランドは、ゆったりとしたソロでフロント三人の喧噪を搔き消た後、ブロック・コードで盛り上げ、ソロ5番手にポール・チェンバースのどっしりとしたベースソロを聴く事が出来ます。

 


前後のアルバムが強烈過ぎて、あんまり聴いてなかった「Milestones (Columbia CL-1193)」ですが、あらためて聴き直すと、色々と発見がありますね。

 

「Miles Davis - Milestones (Columbia) 1958」ハードバップからモードへ

 

Miles Davis - Milestones
Columbia CL-1193 / Sony Records SRCS-9103 [1996.12.12] Master Sound

 

side 1 (A)
01. Dr. Jekyll (Jackie McLean)  5:51
02. Sid's Ahead (Miles Davis)  13:09
03. Two Bass Hit (Gillespie, Lewis)  5:14

side 2 (B)
04. Milestones (Miles Davis)  5:44
05. Billy Boy (Traditional)  7:15
06. Straight, No Chaser (T. Monk)  10:42


#01,02  March 4,1958  at 30th Street Studios, NYC.
#03-06  February 4,1958  at 30th Street Studios, NYC.

Miles Davis (tp #1-4,6, p #2) Cannonball Adderley (as #1-4,6) John Coltrane (ts #1-4,6)

Red Garland (p #1,3-6) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds)