1963年からのマイルスの快進撃は、トニー・ウィリアムスを筆頭とした若手3人「The Trio」がメンバーに加わった事から始まります。
アルバム「Seven Steps To Heaven (Columbia CS-8851/CL-2051)」の録音に入る直前、マイルスはリズム隊の三人を自宅に呼び寄せ、数日間演奏させたらしいですが、その時、三人と演奏する事でバンドがとてつもないものになると予感したとの事。
そこでプロモーターのジャック・ウィットモア(Jack Whitmore)に連絡して、夏の仕事を沢山取るように指示して決まった内の一つがこの1963年07月27日、フランス・アンテーヴで行われた「Juan-les-Pins Jazz Festival」なんでしょうね。
このライブの演奏メンバーは、マイルスの他、ドラムスのトニー・ウィリアムス(Tony Williams)、ベースのロン・カーター(Ron Carter)、ピアノのハービー・ハンコック(Herbie Hancock)という若手3人「The Trio」に、テナーサックスのジョ-ジ・コールマン(George Coleman)という布陣。
ライブ全編が、トニー・ウィリアムスのボコボコ叩きまくるドラムの煽りを受け、(図らずも)白熱した演奏が続きます・・・。
トラック1の「Introduction」は、フランス語によるメンバー紹介。
トラック2の「Autumn Leaves (Long Version)」は、トニー・ウィリアムスのブラシとハービー・ハンコックのちょっとテンション高いピアノのバッキング、ロン・カーターの意外と重厚なベースをバックに、マイルスがエコー少な目のミュート・トランペットでハードなフレーズをザクザク刻んでいきます。
で、ジョ-ジ・コールマンのソロは若干、コルトレーンっぽいですね。
続くハービー・ハンコックのソロはビル・エヴァンス風ハーモニーに、ウィントン・ケリーの軽快さ、そして若干フリーの要素を兼ね備えた、ハービー独特の味わいを感じさせており、ロン・カーターは、ポール・チェンバースが得意だった弓弾きソロを聴かせてくれます。
トラック3の「Milestones」は、トニーのドラムが冴えるアップテンポで演奏される曲。
オープンでトランペットを吹くマイルス、「The Trio」に刺激を受けたのか、今まで吹いた事のないフレーズを連発します。ハービー・ハンコックもバッキングにソロにと、存在感ある演奏してますね。
トラック4の「Joshua (Long Version)」、ベースの印象的なイントロから始まる曲。
トニー・ウィリアムスの切れ味鋭いドラムが、マイルスを筆頭にメンバー全員を煽りまくっております。
トラック5の「All Of You (Long Version)」は、ややスロー寄りのミディアム・テンポで
演奏される曲。
ゆったりした演奏になるのかと思いきや、この曲もトニー・ウィリアムスのドラムが気持ちよくソロを吹いている他のメンバーの背後から袈裟懸けで切りつけるかの如く時々襲い掛かります(笑)。
トラック6の「Walkin'」は、トニー・ウィリアムスが好きな曲だという事で、ライブで度々演奏されるようになったみたいです。
マイルスのバックで、タムをボコボコ鳴らし煽りまくるトニー・ウィリアムスの何と容赦のない事か・・・。こんなドラムをバックに延々演奏してたら、体がもたないですね(笑)。
Miles Davis In Europe
Columbia CS-8983 / Sony Records SRCS-9303 [1997.06.21]
side 1 (A)
01. Introduction 0:59
02. Autumn Leaves (Long Version) (J. Prevert, J. Kosma) 13:56
03. Milestones (M. Davis) 9:21
04. Joshua (Long Version) (V. Feldman) 11:31
side 2 (B)
05. All Of You (Long Version) (C. Porter) 16:55
06. Walkin' (R. Carpenter) 16:17
Miles Davis (tp) George Coleman (ts) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b)
Tony Williams (ds)
July 27, 1963 at Juan-les-Pins Jazz Festival, Antibes, France.