加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Miles Davis - Miles In Berlin (Columbia)」ウェイン・ショーター加入後のライブ

Miles Davis - Miles In Berlin (CBS S-62-976/Columbia C2-38506)」は、これまでの一連のライブ録音とは一味違う演奏なので参考資料漁りつつ、どう感想を書こうか悩んでたら、結構時間が過ぎてしまいましたね。

 

週末は終日、遠方に出かける事が多いので、なかなか思うように思考する時間が取れません。

 

「Miles Davis - Miles In Berlin (Columbia)」ウェイン・ショーター加入後のライブ


さて、1964年後半、ウェイン・ショーターWayne Shorter)が、アート・ブレイキー(Art Blakey)率いるジャズ・メッセンジャーズを退団します。

 

 

その情報を聞きつけたマイルス・デイヴィスMiles Davis)と「The Trio」のメンバーは、一刻も早くマイルスのバンドに合流する様、ウェイン・ショーターに熱烈なラブコールを送ったみたいです。

 

という事で、「The Trio」を構成するドラムスのトニー・ウィリアムスTony Williams)、ベースのロン・カーターRon Carter)、ピアノのハービー・ハンコックHerbie Hancock)の暴走(笑)する若者達3人に、アート・ブレイキー(Art Blakey)率いるジャズ・メッセンジャーズを退団した直後のテナー・サックス奏者、ウェイン・ショーターWayne Shorter)が加入したライブアルバムが「Miles Davis - Miles In Berlin (CBS S-62-976/Columbia C2-38506)」という訳です。

 

1964年09月25日、ベルリンの「Berlin Philharmonie」で録音されたこのアルバム、最初は西ドイツのCBSから発売され、後に米国・コロンビア(Columbia Records)からも発売された模様。

 


冒頭の「Milestones」を聴いた事のある方は容易に理解出来ると思われますが、これまでのライブ録音とは、マイルスとバンドの一体感というか、連携密度が異なります。

 

バンド・メンバーの誰一人、無駄な事をせず、お互いの演奏を補完しながら演奏中の緊密感をより高める方向に向かっている事が感じ取れます。

 

マイルスの自叙伝等の資料を読むと、作・編曲者の面を持ち合わせたウェイン・ショーターが、マイルスのバンドに参加してすぐ「自分が為すべき事(役割)」を理解し、マイルスと「The Trio」のメンバーに強烈な刺激を与えていた様ですね。

 


アップテンポの1曲目「Milestones」では「The Trio」のメンバーが、自由自在に演奏のテンポを変えつつ、マイルスのご機嫌なソロをサポートしております。

 


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ウェイン・ショーターのややダークというかマジカル風味なソロは、これ以降に再開されるスタジオ録音の方向性を暗示しているように思えますし、続いてソロを取るハービー・ハンコックも、耽美的なソロにややダークな色彩を帯びているのが面白いですね。

 


毎度お馴染みな2曲目「Autumn Leaves」も、これまでの演奏とは一味違います。

 


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マイルスもウェイン・ショーターの影響をモロに受けソロを吹く音色に、幻想的というかダークな色彩が色濃くなっております。


続くウェイン・ショーターの演奏は、「真夜中の枯葉」とでも表現した方がしっくり来る摩訶不思議な風味を帯びたソロを聴かせてくれますし、ソロ3番手のハービー・ハンコック、珍しく暗めの音色を響かせるブロック・コードを多用しておりますが、これもウェインの影響でしょうね。

 


アップテンポで演奏される3曲目「So What」も、耽美な雰囲気が濃厚ですね。
マイルスが吹くソロも、ウェインが吹くソロ・フレーズに似た感じがします。

 


トニー・ウィリアムスお気に入りの4曲目「Walkin'」では、トニーが大暴れしておりますが、今までのとは異なり、一体化したバンド演奏の中での暴れ方なので、何というかドラム・ソロに「痴性」要素が全く入り込む余地がない「知性」的なフレーズが繰り出されております。

 


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ウェイン・ショーターのソロは、これがブルースの曲なのか一瞬忘れてしまう程、摩訶不思議なフレーズが綴られていきますし、ウェインに合わせるリズム隊の変幻自在なサポートも、お見事です。

 


5曲目「Theme」は、ライブのクロージング・テーマ代わりなんでしょが、ここでようやくロン・カーターのベース・ソロが登場します。

 

 

Miles Davis - Miles In Berlin
CBS S-62-976/Columbia C2-38506 / Sony Records SRCS-9304 [1997.06.21]

side 1 (A)
01. Milestones (Miles Davis)  8:59
02. Autumn Leaves (J. Prevert, J. Kosma)  12:49

side 2 (B)
03. So What (Miles Davis)  10:40
04. Walkin' (R. Carpenter)  10:38
05. Theme (Miles Davis)  1:47


Miles Davis (tp) Wayne Shorter (ts) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds) 
September 25, 1964 at Berlin Philharmonie, Berlin, West Germany.

 

私が購入した後に発売されたCDでは「Stella By Starlight」が追加収録されているみたいですね。見つけたら、買わなきゃ(笑)。

 

 


まあしかし、「Miles Davis - Miles In Berlin (CBS S-62-976/Columbia C2-38506)」を久々に聴き直してみましたが、ウェイン・ショーターの影響がかなり大きいライブだったんですね。

 

 

バンドのサウンドが劇的に変わった事を喜んだマイルスは、ようやく重い腰を上げ、バンドのメンバーが書いた新曲を携え、スタジオ録音を再開する事となります。