ジャズ・ヴィヴラフォンの名手、ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)がブルーノート(Blue Note Records)に残した1952年04月07日のリーダー録音に加え、セロニアスモンクの第4回(1948年07月02日)と第5回(1951年07月23日)から選ばれた12曲を、12インチレコード用に再編纂したアルバムが「Milt Jackson (Blue Note BLP-1509)」です。
最初は8曲収録の10インチレコード「Wizard Of The Vibes (Blue Note BLP-5011)」として発売されており、米RVGリマスター再発CDに採用されているジャケットが、10インチレコードのものだったりします。
1952年に行われたミルト・ジャクソンのリーダー録音には、MJQ(Modern Jazz Quartet)のメンバーにルー・ドナルドソンが加わる形となっておりますし、他はセロニアス・モンクのリーダー録音に、ミルト・ジャクソンが参加したセッションから拾遺されておりますから、現在の視点で眺めると、中々豪華なメンバーによるアルバムですね。
ちなみに「MJQ(Modern Jazz Quartet)」というバンドは、1951年に「MJQ(Milt Jackson Quartet)」として活動を開始したものの、翌1952年に「MJQ(Modern Jazz Quartet)」と改名。
ジョン・ルイス(John Lewis)が音楽監督を務め、クラシックの要素を大胆に取り入れる事で世界的な人気バンドとしての地位を確立した訳でございます。
さて、1952年04月07日のリーダー録音にはミルト・ジャクソン(Milt Jackson)の他、アルト・サックスのルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)、ピアノのジョン・ルイス(John Lewis)、ベースのパーシー・ヒース(Percy Heath)、ドラムスのケニー・クラーク(Kenny Clarke)が参加し、ニューヨークの「WOR Studios」で録音されました。
1曲目の「Lillie」と11曲目の「Lillie [alternate master]」は、ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)の自作曲。MJQのメンバーが哀愁漂う、ややバラッド風味で演奏しております。
2曲目の「Tahiti」は、ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)の自作曲。MJQのメンバーにアルトサックスのルー・ドナルドソンが加わり、熱気を帯びた演奏を繰り広げます。
3曲目の「What's New」は、ヴィヴラフォンの奏でる響きを存分に楽しめる演奏となっております。
4曲目の「Bags' Groove」は、ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)自作の有名なブルース。こういう曲調だとミルト・ジャクソン、ルー・ドナルドソンが俄然張り切った演奏を聴かせてくれます。
5曲目の「On The Scene」は、アップテンポで演奏されるルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)の作品。ルー・ドナルドソンの軽快な演奏の後、ミルト・ジャクソンの痛快なソロが登場します。
残りの曲は、セロニアスモンク名義で録音された第4回(1948年07月02日)と第5回(1951年07月23日)のセッションから。
1948年07月02日にニューヨークの「Apex Studios」で行われた、セロニアスモンク(Thelonious Monk)第4回の録音には、ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)の他、ベースのジョン・シモンズ(John Simmons)、ドラムスのシャドウ・ウィルソン(Shadow Wilson)が参加しております。
9曲目「Misterioso [alternate take]」は、セロニアス・モンク(Thelonious Monk)の作品。ミルト・ジャクソンとセロニアス・モンクが奏でるテーマから、個性にじみ出る演奏です。
10曲目「Evidence」は、セロニアス・モンク(Thelonious Monk)の作品。ギクシャクとした感じのテーマから、まさにモンクらしい雰囲気漂っております。
1951年07月23日にニューヨークの「WOR Studios」で行われた、セロニアスモンク(Thelonious Monk)第5回の録音には、ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)の他、アルト・サックスのサヒブ・シハブ(Sahib Shihab)、ベースのアル・マッキボン(Al McKibbon)、ドラムスのアート・ブレイキー(Art Blakey)が参加しております。
6曲目「Willow Weep For Me」はミディアムテンポで演奏されますが、モンクのリズミカルなバッキングが演奏の個性を引き立てる感じになってますね。
7曲目「Criss-Cross」は、セロニアス・モンク(Thelonious Monk)の作品。如何にもモンクらしい摩訶不思議なテーマに続き、ミルト・ジャクソン、サヒブ・シハブ、セロニアス・モンクと個性的なソロが続きます。
8曲目「Eronel」はモンクの他、アイドリース・シュリマン(Idrees Suliman)、サディック・ハキム(Sadik Hakim)の共作。これもモンクらしい個性的なテーマを持つ曲で、アート・ブレイキーのドラムスが演奏を引き立てております。
12曲目「Four In One [alternate take] 」は、セロニアス・モンク(Thelonious Monk)の作品。この曲もモンク以外は書かないであろう摩訶不思議なテーマですが、各人のソロは案外あっさりとした感じがします。
Milt Jackson - Milt Jackson (RVG)
Blue Note BLP-1509 /東芝EMI TOCJ-9124 [1999.08.25]
side 1 (A)
01. Lillie (Milt Jackson) 3:12
02. Tahiti (Milt Jackson) 3:26
03. What's New (B.Haggart-J.Burke) 3:10
04. Bags' Groove (Milt Jackson) 3:02
05. On The Scene (Lou Donaldson) 2:41
06. Willow Weep For Me (Ronell) 2:58
side 2 (B)
07. Criss-Cross (Thelonious Monk) 2:54
08. Eronel (Thelonious Monk-Idrees Suliman-Sadik Hakim) 3:02
09. Misterioso [alternate take] (Thelonious Monk) 2:42
10. Evidence (Thelonious Monk) 2:30
11. Lillie [alternate master] (Milt Jackson) 3:15
12. Four In One [alternate take] (Thelonious Monk) 3:26
#01-05,11 April 7, 1952 at WOR Studios, NYC.
Lou Donaldson (as omit #2,3,11) Milt Jackson (vib) John Lewis (p) Percy Heath (b) Kenny Clarke (ds)
#09,10 July 2, 1948 at Apex Studios, NYC. [Thelonious Monk's 4th Session]
Milton Jackson (vib) Thelonious Monk (p) John Simmons (b) Shadow Wilson (ds)
#06-08,12 July 23, 1951 at WOR Studios, NYC. [Thelonious Monk's 5th Session]
Sahib Shihab (as) Milt Jackson (vib) Thelonious Monk (p) Al McKibbon (b) Art Blakey (ds)
10インチレコード「Wizard Of The Vibes (Blue Note BLP-5011)」には、8曲収録されており、前述の通り「米RVGリマスター再発CD」には、このジャケットが使用されております。
Milt Jackson - Wizard Of The Vibes
Blue Note BLP-5011
side 1 (A)
01. Tahiti (Milt Jackson) 3:26
02. Lillie (Milt Jackson) 3:12
03. Criss-Cross (Thelonious Monk) 2:54
04. Willow Weep For Me (Ronell) 2:58
side 2 (B)
05. What's New (B.Haggart-J.Burke) 3:10
06. Bags' Groove (Milt Jackson) 3:02
07. On The Scene (Lou Donaldson) 2:41
08. Eronel (Thelonious Monk-Idrees Suliman-Sadik Hakim) 3:02
#01,02,05-07 April 7, 1952 at WOR Studios, NYC
Lou Donaldson (as omit #2,5) Milt Jackson (vib) John Lewis (p) Percy Heath (b) Kenny Clarke (ds)
#03,04,08 July 23, 1951 at WOR Studios, NYC. [Thelonious Monk's 5th Session]
Sahib Shihab (as) Milt Jackson (vib) Thelonious Monk (p) Al McKibbon (b) Art Blakey (ds)