加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Jutta Hipp - At the Hickory House Vol. 2 (Blue Note) 1956」ユタ・ヒップの貴重なライブ録音(2)

短い活動期間の中、ブルーノート(Blue Note Records)に何枚かのアルバムを残したユタ・ヒップ(Jutta Hipp)の「At the Hickory House Vol. 1 (Blue Note BLP-1515)」に続くライブ盤第2弾が「At the Hickory House Vol. 2 (Blue Note BLP-1516)」です。

 

「Jutta Hipp - At the Hickory House Vol. 2 (Blue Note) 1956」ユタ・ヒップの貴重なライブ録音(2)


英国生まれの白人系ベーシスト、ピーター・インド(Peter Ind)と、ドラムスのエド・シグペンEd Thigpen)をバックに、ユタ・ヒップ(Jutta Hipp)が曲毎にガラッと雰囲気変えつつ演奏しております。


1曲目「Gone With The Wind」は、若干重めのスイングな感じがしますが、それがさらにユタ・ヒップのホレス風味が増す気がします。

 


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2曲目「After Hours」は、一変してごりごりとしたファンキーな演奏で、ユタ・ヒップが強く影響されたという、ホレス・シルヴァーHorace Silver)スタイルの研究の成果が存分に発揮されております。

 


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3曲目は、タッド・ダメロンTadd Dameron)の「The Squirrel」は、豪快な感じの演奏。最初からピアノをゴリゴリと弾くユタ・ヒップですが、調子が出て来たのか演奏が進むにつれ豪快さが増していきます。


4曲目「We'll Be Together Again」は、バラッド風味の演奏。何となくエロル・ガーナー(Erroll Garner)の名曲「Misty」に似た様な雰囲気で演奏が進みます。

 


5曲目「Horacio」は、唯一のユタ・ヒップ(Jutta Hipp)自作曲。

 


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曲名から容易に推測出来る通り、ホレス・シルヴァーHorace Silver)調の曲で、ユタ・ヒップはソロ部分で、ホレス・シルヴァーお得意のフレーズを端々に聴かせてくれます。

 


6曲目「I Married An Angel」は、軽快にスイングする演奏で、エド・シグペンとピーター・インドの堅実なるサポート演奏をバックに、ユタ・ヒップの力強いソロが紡がれていきます。

 

7曲目「Moonlight In Vermont」は、バラッド風味の演奏。ユタ・ヒップは、ここでもホレス・シルヴァー風味のソロを聴かせてくれます。

 

8曲目「Star Eyes」は、超アップテンポでの演奏。チャーリー・パーカーCharlie Parker)などが残した演奏とは異なるキー設定なのかな。

 


ユタ・ヒップ自身の曲紹介から始まる9曲目「If I Had You」ではベースのピーター・インド(Peter Ind)が珍しくテーマを奏でております。

じっくり聴いてみるとピーター・インドのベースって、結構ファンキーな感じだったんですね。

 


10曲目「My Heart Stood Still」は、アップテンポの演奏。若干哀愁を感じるテーマから、ユタ・ヒップはゴリゴリとピアノを奏でております。

 

 

こうして1956年04月05日にニューヨークのヒッコリー・ハウスで録音された2枚のライブアルバムを通して聴くと、ユタ・ヒップ(Jutta Hipp)がホレス・シルヴァーHorace Silver)の多大なる影響を受けつつも、曲によりまったく異なるスタイルで演奏しているのが興味深いですね。

 

案外ファンキーなベースを弾いてるピーター・インド(Peter Ind)、地味ながらも堅実なドラムスのエド・シグペンEd Thigpen)という二人のミュージシャンのさりげないサポートも、中々な感じがします。

 

他のアルバムでも感じた事なんですが最初、東芝EMIさんのアナログ・レコード「最後の復刻」シリーズで聴いた時は、演奏がイマイチな感じがしたのですが・・・。

試しに、ルディ・ヴァン・ゲルダーが自らリマスターを手掛けたCDで聴き直すと、あーら不思議、ピアノ・トリオそれぞれの演奏が物凄く良く聴こえるのは何故でしょうねえ。

 

今だルディ・ヴァン・ゲルダーの魔法に惑わされっぱなしです、私(笑)。

 

 

Jutta Hipp - At the Hickory House Vol. 2 (RVG)
Blue Note BLP-1516 /  EMI Music Japan TOCJ-7042 [2007.10.24]

side 1 (A)
01. Gone With The Wind (Magidson-Wrubell)  4:51
02. After Hours (Avery Parrish)  4:41
03. The Squirrel (Tadd Dameron)  3:46
04. We'll Be Together Again (Fisher-Lane)  3:14
05. Horacio (Jutta Hipp)  3:21

side 2 (B)
06. I Married An Angel (Rodgers-Hart)  4:20
07. Moonlight In Vermont (Blackburn-Suessdorf)  3:23
08. Star Eyes (DePaul-Raye)  3:56
09. If I Had You (Shapiro-Campbell)  4:01
10. My Heart Stood Still (Rodgers-Hart)  4:24


Jutta Hipp (p) Peter Ind (b) Ed Thigpen (ds) 
April 5, 1956 at Hickory House, NYC.

 

 

ヒッコリー・ハウスのユタ・ヒップ Vol.2

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「Jutta Hipp - At the Hickory House Vol. 1 (Blue Note BLP-1515)」の記事は、下記リンクからどうぞ。

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

 

ドイツ時代の演奏は、ブルーノート5000番台に残されております。こちらのアルバム紹介も、機会があれば・・・。