加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Sonny Clark - Sonny's Crib (Blue Note) 1957」ジョン・コルトレーン参加の人気アルバム

ブルーノート(Blue Note Records)の1500番台でハウス・ピアニストとして活躍した
ソニー・クラークSonny Clark)が、1957年07月21日録音の初リーダーアルバム「Dial "S" For Sonny (Blue Note BLP-1570)」に続いて録音したリーダー・アルバム第2弾が1957年09月01日録音の「Sonny's Crib (Blue Note BLP-1576)」です。

 

「Sonny Clark - Sonny's Crib (Blue Note) 1957」ジョン・コルトレーン参加の人気アルバム

 

トロボーンのカーティス・フラーCurtis Fuller)以外のメンバーを、テナー・サックスのジョン・コルトレーンJohn Coltrane)を筆頭にブルーノート(Blue Note Records)でもお馴染みとなっていた実力派若手メンバーに入れ替え、第1弾録音よりハード・バップ濃度が高いアルバムに仕上がっております。

 

他の参加メンバーはトランペットのドナルド・バードDonald Byrd)、ベースのポール・チェンバースPaul Chambers)、ドラムスのアート・テイラーArt Taylor)という、プレステッジ(Prestige Records)など他のジャズ・レーベルで行われる録音で頻繁に共演していたであろう面子を揃えております。

 


また、録音時には逆だった様ですがアナログ・レコード時代のA面が有名ジャズス・タンダード、B面がソニー・クラークSonny Clark)自身のオリジナル作品を配しておりまして、3管編成のためか、全5曲ともシングル盤に入りきらない長尺の演奏となっております。

 

 

前述の通りアナログ・レコード時代のA面3曲がジャズ・スタンダードなんですが、フロントの3人を曲毎にメインに据えるという仕掛けを施しております。


1曲目「With A Song In My Heart」は、8分ほどの演奏で、ドナルド・バードDonald Byrd)の溌剌としたトランペットが主導するテーマ部から、そのままソロ・ブレイクを経て、クリフォード・ブラウンClifford Brown)を彷彿とさせるきらめくトランペット・ソロに突入していきます。

 


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続くジョン・コルトレーンJohn Coltrane)は、独特の硬質なテナー・サックスの音色で高速フレーズを連発し、カーティス・フラーCurtis Fuller)はトロボーンの特徴を上手く生かした温かみのあるソロを聴かせてくれます。

 

ソロ最後に登場するソニー・クラークSonny Clark)は、短いながらも端正で印象的なソロとなっておりますが、しかしまあ、最初のスタンダード3曲の中では一番、各メンバーの顔見せ的印象が強い演奏になっておりますね。

 

 

2曲目「Speak Low」は7分弱の演奏で、ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)がテーマを主導し、そのまま縦横無尽に吹きまくるソロへと突入していきます。

 


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続いてカーティス・フラードナルド・バードソニー・クラークとそれぞれ比較的ゆったりとしたソロを聴かせてくれます。

 

 

3曲目「Come Rain Or Come Shine」は7分強の演奏で、ゆったりとしたテンポでカーティス・フラーCurtis Fuller)がテーマを主導し、そのままソロに移行します。

 

続くソニー・クラークジョン・コルトレーンドナルド・バードとも穏やかなソロを聴かせてくれますが、この位のテンポだとやはりドナルド・バードが活き活きとしますね(笑)。

 

それを熟知しているブルーノートの首脳陣だけあって、ラストはドナルド・バード
締めくっております。

 

 

アナログ・レコード時代のB面2曲は、ソニー・クラークSonny Clark)自身のオリジナル作品です。

 

4曲目「Sonny's Crib」は、ホレス・シルヴァーHorace Silver)風味強めのファンキーで13分半にも及ぶ演奏であり、最初に登場するジョン・コルトレーンは、自身のリーダー・アルバム「Blue Train (BLP-1577)」を彷彿とさせる高速フレーズを連発するソロを聴かせてくれます。

 

 

続いてカーティス・フラードナルド・バードソニー・クラークポール・チェンバースの順で、ブルージーかつファンキーなソロを聴かせてくれます。

 


5曲目「News For Lulu」は、少し緊張感高めな哀愁漂う8分半の演奏で、曲の雰囲気が何となく「Blue Minor」にも似ているような気がしますし、最初に登場するソニー・クラークの哀愁感漂うピアノ・ソロが素晴らしいですね。

 


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ドナルド・バードは、はきちれんばかりのトランペット・ソロで演奏を盛り上げ、ジョン・コルトレーンはお得意の高速ソロ・フレーズを連発し、カーティス・フラーは高音域を多用したソロで演奏の熱量を高めております。

 

ポール・チェンバースの比較的ゆったりとしたベース・ソロがフロント三人の熱気を鎮めた後、力強い後テーマに突入していきます。

 

 

Sonny Clark - Sonny's Crib (RVG)
Blue Note BLP-1576 / 東芝EMI TOCJ-9047 [1998.11.26] 24 Bit By RVG

side 1 (A)
01. With A Song In My Heart (Rodgers-Hart)  7:57
02. Speak Low (Weill, Nash)  6:51
03. Come Rain Or Come Shine (Arlen, Mercer)  7:28

side 2 (B)
04. Sonny's Crib (Sonny Clark)  13:30
05. News For Lulu (Sonny Clark)  8:36


Donald Byrd (tp) Curtis Fuller (tb) John Coltrane (ts) Sonny Clark (p) Paul Chambers (b)

Art Taylor (ds) 

September 1, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

 

 

 

リーダー・アルバム1枚目の「Dial "S" For Sonny (Blue Note BLP-1570)」では、ホレス・シルヴァーHorace Silver)の影響を強調した演奏が続きましたが、2枚の「Sonny's Crib (Blue Note BLP-1576)」では、ソニー・クラークSonny Clark)自身が持つ個性が、演奏の端々に現れてきている様に思われます。

 

 

初リーダー・アルバムのご紹介は、下記リンクからどうぞ。

 

kaji-jazz.hatenablog.com