2023年、明けましておめでとうございます。このブログを開始したのは、2022年01月だったので、もうすぐ1年が過ぎようとしております。
用事が重なると、きっかり定時に「1日1枚更新」という感じにはなりませんが、「1日1枚ジャズのアルバムを紹介する」という方針は、そのままで続けたいと思います。
なお、2022年12月にやったような、手持ちの「FMエアチェック音源」を混ぜる頻度は上がると思われます。
元日の前置きはこれくらいにして、本題に入りたいと思います。
1957年当時、最高のテナーサックス奏者として、フランスのバルネ・ウィラン(Barney Wilen)をはじめ、世界中のミュージシャンがお手本としたミュージシャンが、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)です。
マイルス・デイヴィス(Miles Davis)やセロニアス・モンク(Thelonious Monk)らとの共演で有名となり、天才トランペッター、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)とマックス・ローチ(Max Roach)の双頭バンドに参加する事で更なる高みに上り始めた1956年、名盤「Sonny Rollins – Saxophone Colossus (Prestige PRLP-7079)」を録音するものの、その直後にクリフォード・ブラウンらの事故死した事でバンドは空中分解。
「Sonny Rollins – Saxophone Colossus (Prestige PRLP-7079)」含む、プレステッジ(Prestige Records)での録音を経て、「今のソニー・ロリンズは絶好調だから録音しておいた方が良い(意訳)」というマックス・ローチ(Max Roach)からの推薦により、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)のブルーノート(Blue Note Records)でも録音を開始する訳でございます。
さて、番号順では1500番台の3枚目となりますが、実際の録音としては3枚分のスタジオ録音を経て、1957年11月03日、ニューヨークのジャズクラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード (The Village Vanguard)」で4回目の録音に相当するライブ・レコーディングが行われました。
レギュラー・メンバーで演奏された「昼の部」は機材チェックを兼ねた録音だと思われますが何曲か録音され、録音用に集められたメンバーによる「夜の部」がメインで記録されました。
アナログ・レコードに換算すると3枚分にも及ぶ録音の中から厳選された曲を1枚にまとめたアルバムが「Sonny Rollins – A Night At The Village Vanguard (Blue Note BLP-1581)」です。
演奏メンバーはソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の他にベースのウィルバー・ウェア(Wilbur Ware)、ドラムスのエルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)というこのライブ録音の為に集められたメンバー。
5曲目「A Night In Tunisia」のみ、当時ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)が率いていたバンド・メンバーであるベースのドナルド・ベイリー(Donald Bailey)、ドラムスのピート・ラロカ(Pete La Roca)による演奏となっております。
テナー・サックス、ベース、ドラムというピアノレス・トリオによる演奏ではありますが、コード楽器がない故、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の自由奔放に湧き出るメロディを堪能出来る1枚となっております。
賑やかな店内を背景にソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)自身のカウントから始まる1曲目「Old Devil Moon」から、豪快でありながら歌心溢れるテナー・サックスの音色を堪能出来ます。
堅実にベース・ラインでリズムを刻むウィルバー・ウェア(Wilbur Ware)、野性味あふれる予測不能なリズム・パターンでソニー・ロリンズを煽りまくるエルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)のドラムスも素晴らしいですね。
ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)自身によるメンバー紹介に続いて演奏されるのが、2曲目「Softly As In A Morning Sunrise」。
唸り声を上げながらミディアム・テンポでブラシを駆使したドラムスを聴かせるエルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)をバックに、ソニー・ロリンズの奔放なソロを聴く事が出来ます。この曲では、ウィルバー・ウェア(Wilbur Ware)の堅実なるベース・ソロも登場。続いて、ソニー・ロリンズとエルヴィン・ジョーンズによる刺激的なソロ交換に突入していきます。
軽快なテンポで演奏される3曲目「Striver's Row」は、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の自作曲。
途中からテーマだかアドリブだか分からない感じで、そのまま高速フレーズを駆使したソロに移行していきますが、この曲はソニー・ロリンズの独り舞台みたいな感じとなっております。後半でエルヴィン・ジョーンズとのソロ交換が挟まれますが、流石のエルヴィンも、絶好調のロリンズの前では、その豪快さすら色褪せて聴こえてしまいます。
高揚気味なのか早口でアナウンスするソニー・ロリンズの声が聴こえた後に演奏されるのが4曲目「Sonnymoon For Two」。この曲は、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の自作のブルースであり、シングル盤「Sonny Rollins - Sonnymoon For Two, Part 1 & 2 (Blue Note 45-1698)」としても発売された模様。
このアルバムに収録された中で一番長い9分弱の演奏ではありますが、助走をつけた後、豪快に疾走するソニー・ロリンズ、それを煽るエルヴィン・ジョーンズ、相互の刺激的な演奏が徐々に熱を帯びてくるのが録音を通じて容易に感じる事が出来ますね。
後半はソニー・ロリンズ、ウィルバー・ウェア、エルヴィン・ジョーンズ、全員がソロ交換に登場し、演奏をさらにヒートアップしていきます。
ソニー・ロリンズの曲紹介から始まる5曲目「A Night In Tunisia」のみ、当時ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)のレギュラー・メンバーで演奏された昼の演奏から。
つまり、この曲だけバックが、ベースのドナルド・ベイリー(Donald Bailey)、ドラムスのピート・ラロカ(Pete La Roca)に代わります。
豪快さという点では劣るものの、レギュラー・メンバーらしい一体感あるキメの細かいバッキングで、ソニー・ロリンズの演奏も、徐々にスピードが加速されていく様な、密度の高い演奏を聴く事が出来ます。
ソニー・ロリンズのソロの後、ピート・ラロカ(Pete La Roca)のドラム・ソロが出てきますが、このソロを聴くと、ピート・ラロカの演奏スタイルがマックス・ローチ(Max Roach)の影響下にある事を、何となく察する事が出来たりします。
このアルバム最後となる6曲目「I Can't Get Started」は、エンディングに相応しいバラッド風の演奏。
バラッドなのに、感情抑えきれず吹きまくるソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)と、それを煽るエルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)、そして一人淡々とリズム・キープに徹するウィルバー・ウェア(Wilbur Ware)と三者の個性が良く分かる演奏であったりもします。
前述の通り、1957年11月03日、ニューヨークのジャズクラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード (The Village Vanguard)」で録音された曲は、アナログ・コレード3枚分、CDにまとめると2枚分もあったりする訳ですが。
全曲入りのアルバムと1枚に凝縮されたアルバムでは、聴いた後の演奏の印象がまったく異なるので、まずこの1枚に凝縮された「Sonny Rollins – A Night At The Village Vanguard (Blue Note BLP-1581)」を聴いてから、他のアイテムに手を伸ばす事をお勧め致します。
Sonny Rollins – A Night At The Village Vanguard (RVG)
Blue Note BLP-1581 / 東芝EMI TOCJ-9011 [1998.07.23] 24bit by RVG
side 1 (A)
01. Old Devil Moon (Lane, Harburg) 7:41
02. Softly As In A Morning Sunrise (Romberg-Hammerstein) 8:00
03. Striver's Row (Sonny Rollins) 5:44
side 2 (B)
04. Sonnymoon For Two (Sonny Rollins) 8:46
05. A Night In Tunisia (Gillespie-Robin) 7:50
06. I Can't Get Started (Gershwin, Duke) 4:30
#01-04,06 November 3, 1957 at Village Vanguard, NYC. evening set
Sonny Rollins (ts) Wilbur Ware (b) Elvin Jones (ds)
#05 November 3, 1957 at Village Vanguard, NYC. afternoon set
Sonny Rollins (ts) Donald Bailey (b) Pete La Roca (ds)
後年発掘された音源はアナログ・レコードで2枚分にも及び、CD時代になってからは演奏順に2枚のCDにまとめられて発売されました。
私は当初、RVG盤の紙ジャケットを購入し、その後、現存する全曲を収録した米RVG盤(2枚組)を所有していた関係で、一旦、RVG盤の紙ジャケットの方を手放してしまったのですが。
音源を確認すると、「完全版」であるはずの2枚組CDには、A Night At The Village Vanguard (Blue Note BLP-1581)」に収録されていた、とあるアナウンスがバッサリとカットされており、慌てて紙ジャケット盤を買い直したりしておりました。
そんな感じでアナログ・レコード3枚分の録音が現存しているため、発売されるCDによって収録曲や順番が異なるものが存在しますので、注意が必要となります。
ブルーノート(Blue Note Records)1500番台に残されたに他のリーダー・アルバムは、下記リンクからどうぞ。