1985年02月22日、ニューヨークの「Town Hall」で、ブルーノート（Blue Note Records）ゆかりのミュージシャンが集結し、歴史的なコンサートが行われました。
このコンサートは「One Night With Blue Note」と題され、４枚のアルバムに分散収録、発売されました。
さて、この大規模なコンサートは、「ブルーノート（Blue Note Records）」の復活（新規録音再開）を記念して開催されたもので、会場には創始者のアルフレッド・ライオン（Alfred Lion）の他、録音技師のルディ・ヴァン・ゲルダー（Rudy Van Gelder）、アルバム・デザインを担当したリード・マイルス（Reid Miles）も顔を見せておりました。
1984年に活動再開した新生「ブルーノート（Blue Note Records）」は、ブルース・ランドヴァル（Bruce Lundvall）が社長に就任し、休止直前までお蔵入りしていた大量の未発表音源の発掘に尽力したマイケル・カスクーナ（Michael Cuscuna）が、プロデューサーとして関わっており、「Town Hall」でのコンサートも、彼らの采配で出演者が決められた模様。
さて、健康上の問題から長年、公の場に姿を見せなかった「ブルーノート（Blue Note Records）」創始者のアルフレッド・ライオン（Alfred Lion）。
アルフレッド・ライオン（Alfred Lion）が引退後初めて公の場に顔を出す事になったきっけけは、マイケル・カスクーナ（Michael Cuscuna）が1970年代から行っていたブルーノート（Blue Note Records）音源発掘の成果として、自ら立ち上げたモザイク（Mosaic Records）から1983年に発売した、セロニアス・モンク（Thelonious Monk）の４枚組ボックスセット「The Complete Blue Note Recordings Of Thelonious Monk (Mosaic Records MR4-101)」であります。
現在は新生「ブルーノート（Blue Note Records）」から、別パッケージのＣＤで発売されておりますね。
「今頃、モンクのボックスセットを発売する酔狂な人物」に興味を持ったアルフレッド・ライオン（Alfred Lion）が、ホレス・シルヴァー（Horace Silver）経由でマイケル・カスクーナ（Michael Cuscuna）の連絡先を入手し、直接電話した事から始まった交流の流れで、ブルース・ランドヴァル（Bruce Lundvall）指揮下で復活する「ブルーノート（Blue Note Records）」をお祝いするコンサートについても、アルフレッド・ライオン（Alfred Lion）に出演メンバーについて意見を聞いていたみたいです。
1985年02月22日、「Town Hall」で行われた歴史的なコンサートで唯一の心残りは、ドラムスのアート・ブレイキー（Art Blakey）との長年の確執が原因だったと推測されておりますが、ホレス・シルヴァー（Horace Silver）が出演を拒んだことですかね。
その影響は日本で開催された野外イベント「Mt. Fuji Jazz Festival with Blue Note」にも及んでおり、ホレス・シルヴァー（Horace Silver）が山梨県山中湖のステージに顔を見せたのは、アート・ブレイキー（Art Blakey）が亡くなった後の1994年の事でした。
「Town Hall」コンサートでの交流から始まり、野外イベント「Mt. Fuji Jazz Festival with Blue Note」で初来日した際のアルフレッド・ライオン（Alfred Lion）の様子に関しては、ジャズ・ジャーナリスト・小川隆夫さんの著書「ブルーノートの真実」に詳しく記載されておりますので、興味のある方はどうぞ。
前置きが思いのほか長くなってしまいましたが、ハービー・ハンコック（Herbie Hancock）中心のセットを収録した「One Night With Blue Note Vol. 1 (Blue Note BT-85113/CDP 7 46147-2)」について簡単に紹介致します。
このコンサートは幸いなことに公式なライブ映像も収録されており、「VHSビデオテープ」と「レーザー・ディスク」でも発売されておりますので、映像を見た方も多いでしょう。
アルフレッド・ライオン（Alfred Lion）に加え、録音技師のルディ・ヴァン・ゲルダー（Rudy Van Gelder）、アルバム・デザインを担当したリード・マイルス（Reid Miles）の３人が会場に居るという事で、非常にテンションの高い演奏が繰り広げられております。
特にトランペットのフレディ・ハバード（Freddie Hubbard）は、ライブイベントでは欠かせない「お祭り男」として会場を盛り上げております。
ヴィヴラフォンのボビー・ハッチャーソン（Bobby Hutcherson）を中心とするセットでは、早世したエリック・ドルフィー（Eric Dolphy）が唯一残した「Out To Lunch! (Blue Note BLP-4163)」から、難曲「Hat And Beard」が再演されております。
エリック・ドルフィー（Eric Dolphy）役として、フルート奏者のジェームス・ニュートン（James Newton）が加わっております。
コンサートのリハーサル時にボビー・ハッチャーソン（Bobby Hutcherson）が、「私はこんな難しい曲を演奏してたのか・・・」と、ボヤいていたそうですね（笑）。
裏ジャケットは「Discogs」からお借りしました。
One Night With Blue Note Vol. 1
Blue Note BT-85113/CDP 7 46147-2
side 1 (A)
01. Canteloupe Island (Herbie Hancock) / Herbie Hancock Sextet 10:49
02. Recorda Me (Joe Henderson) / Herbie Hancock Sextet 11:23
side 2 (B)
03. Little B's Poem (Bobby Hutcherson) / Bobby Hutcherson Quintet 8:15
04. Bouquet (Bobby Hutcherson) / Bobby Hutcherson Quintet 7:16
05. Hat And Beard (Eric Dolphy) / Bobby Hutcherson Quintet 7:18
#01,02 Herbie Hancock Sextet [February 22, 1985 at Town Hall, NYC.]
Freddie Hubbard (tp) Joe Henderson (ts) Bobby Hutcherson (vib #2)
Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds)
#03-05 Bobby Hutcherson Quintet [February 22, 1985 at Town Hall, NYC.]
James Newton (fl #3,5) Bobby Hutcherson (vib) Herbie Hancock (p #3,4)
Ron Carter (b) Tony Williams (ds #3,5)
最後に参考資料として1985年02月22日、ニューヨークの「Town Hall」で行われたコンサートの出演者と、該当する演奏が「One Night With Blue Note」の何枚目に収録されたか、簡単に記載しておきます。
●The All Star Jazz Messengers [Vol. 3 (Blue Note BT-85115)]
Freddie Hubbard (tp) Curtis Fuller (tb) Johnny Griffin (ts)
Walter Davis Jr. (p) Reggie Workman (b) Art Blakey (ds)
●Stanley Jordan [Vol. 4 (Blue Note BT-85116)]
Stanley Jordan (g)
●Bobby Hutcherson Quintet [Vol. 1 (Blue Note BT-85113)]
James Newton (fl) Bobby Hutcherson (vib) Herbie Hancock (p)
Ron Carter (b) Tony Williams (ds)
●Herbie Hancock Sextet [Vol. 1 (Blue Note BT-85113)]
Freddie Hubbard (tp) Joe Henderson (ts) Bobby Hutcherson (vib)
Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds)
●Charles Lloyd Quartet [Vol. 4 (Blue Note BT-85116)]
Charles Lloyd (ts, fl) Michel Petrucciani (p) Cecil McBee (b) Jack DeJohnette (ds)
●Bennie Wallace Trio [Vol. 2 (Blue Note BT-85114)]
Bennie Wallace (ts) Cecil McBee (b) Jack DeJohnette (ds)
●McCoy Tyner [Vol. 2 (Blue Note BT-85114)]
McCoy Tyner (p)
●McCoy Tyner - Jackie McLean Quintet [Vol. 2 (Blue Note BT-85114)]
Woody Shaw (tp) Jackie McLean (as) McCoy Tyner (p) Cecil McBee (b) Jack DeJohnette (ds)
●Cecil Taylor [Vol. 2 (Blue Note BT-85114)]
Cecil Taylor (p)
●Kenny Burrell Quartet [Vol. 3 (Blue Note BT-85115)]
Grover Washington Jr. (ts, ss) Kenny Burrell (g) Reggie Workman (b) Grady Tate (ds)
●Jimmy Smith - Lou Donaldson Quartet [Vol. 3 (Blue Note BT-85115)]
Lou Donaldson (as) Jimmy Smith (org) Kenny Burrell (g) Grady Tate (ds)
●Jimmy Smith - Stanley Turrentine Quartet [Vol. 3 (Blue Note BT-85115)]
Stanley Turrentine (ts) Jimmy Smith (org) Kenny Burrell (g) Grady Tate (ds)
