加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Art Blakey and The Jazz Messengers - Album Of The Year (Timeless) 1981」若きウイントン・マルサリスの快演

一般的にアート・ブレイキー(Art Blakey)率いる「The Jazz Messengers」が、長き低迷期を抜けだしたきっかけは、マルサリス・ファミリーの出世頭、トランペットのウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)がバンドに参加した事だと思われている様です。

 

「Art Blakey and The Jazz Messengers - Album Of The Year (Timeless) 1981」若きウイントン・マルサリスの快演


今回ご紹介する「Album Of The Year (Timeless SJP-155)」を一聴しただけで、若きウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)の登場が、如何にセンセーショナルであったか瞬時に理解出来てしまいます・・・。

 

「Art Blakey and The Jazz Messengers - Album Of The Year (Timeless) 1981」若きウイントン・マルサリスの快演

裏ジャケットは「Discogs」からお借りしました。

 

驚愕するほど、ウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)の演奏は素晴らしいです。


その他の演奏メンバーも粒ぞろいで、アルト・サックスのロバート・ボビー・ワトソン(Robert "Bobby" Watson)、テナー・サックスのビル・ピアース(Bill Pierce)、ピアノのジェームス・ウィリアムス(James Williams)、ベースのチャールス・ファムブロー(Charles Fambrough)という俊英達が揃っております。

 

特に、曲提供は勿論、音楽監督的立場に居たであろう、ロバート・ボビー・ワトソン(Robert "Bobby" Watson)の存在も非常に大きかったと思われます。

 

 

1曲目「Cheryl」は、ビバップ開祖の一人、チャリー・パーカー(Charlie Parker)の作品。アート・ブレイキー(Art Blakey)のドラム・ソロから始まるバンド・メンバーの肩慣らし的な演奏。とはいえ、ウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)の快演が光ります。

 


2曲目「Ms. B.C.」は、パメラ・ワトソン(Pamela Watson)の作品。

 


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アップテンポで緊張感溢れるテーマ部から、凄まじいソロ・ピックアップで登場するウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)の、溜息が出るほど素晴らしいソロ演奏をご堪能下さい。

 


3曲目「In Case You Missed It」は、アルト・サックスのロバート・ボビー・ワトソン(Robert "Bobby" Watson)の作品。

 


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この曲は公式に楽譜が販売されているからか、作曲者のボビー・ワトソンは勿論、日本のミュージシャンや「Ralph Peterson and The Messenger Legacy」などでも演奏されているみたいです。

 


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ソロのバックで案外細やかなドラム・バッキングをつけている、アート・ブレイキー(Art Blakey)にも注目。

 

Bobby Watson

Bobby Watson

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4曲目「Little Man」は、ベースのチャールス・ファムブロー(Charles Fambrough)の作品。ファンキーなベースによるイントロと重厚なテーマ・アンサンブルの対比が良いですね。


5曲目「Witch Hunt」は、このバンドで60年代に音楽監督を務めていた、ウェイン・ショーターWayne Shorter)の作品。

 

緩急激しいやや面倒そうなテーマを、難なく吹きこなすフロント陣の技量の高さに吃驚してしまいますね。

 

 

 

6曲目「Soulful Mister Timmons」は、ピアノのジェームス・ウィリアムス(James Williams)の作品。ボビー・テイモンズ(Bobby Timmons)の名曲「Moanin'」を彷彿とさせるイントロから、ファンキーなテーマが3管で奏でられます。

 


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フレディ・ハバードFreddie Hubbard)が、リー・モーガンLee Morgan)のソロ・フレーズをフレディ自身の奏法で披露しているかのような脳が一瞬、混乱してしまう壮絶なトランペット・ソロを吹くウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)には、口あんぐりですね(笑)。

 

 


まあ、「Album Of The Year (Timeless SJP-155)」を通して聴く事で、ウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)の登場が、ジャズ・シーンにおいて如何に衝撃的であったか、容易に理解出来ますよ・・・ここまで凄まじいと、ぐうの音も出ません(笑)。

 

 

「Art Blakey and The Jazz Messengers - Album Of The Year (Timeless) 1981」若きウイントン・マルサリスの快演


なお、オリジナル・ジャケットのデザインが旅行ガイド本風味(笑)なんで、再発時には色んなバージョンのジャケットが存在しております。

 

Art Blakey and The Jazz Messengers - Album Of The Year
Timeless SJP-155 / Teichiku TECW-20774 [1998.09.23]

side 1 (A)
01. Cheryl (Charlie Parker)  5:23
02. Ms. B.C. (Pamela Watson)  6:47
03. In Case You Missed It (Robert Watson)  8:53

side 2 (B)
04. Little Man (Charles Fambrough)  7:19
05. Witch Hunt (Wayne Shorter)  6:26
06. Soulful Mister Timmons (James Williams)  7:46


Wynton Marsalis (tp) Robert "Bobby" Watson (as) Bill Pierce (ts) 
James Williams (p) Charles Fambrough (b) Art Blakey (ds) 

April 12, 1981 at Studio Davout, Paris, France.