加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Art Blakey and The Jazz Messengers - Live At Sweet Basil (Paddle Wheel) 1985」新生ジャズメッセンジャーズの快演

1974年、ニューヨークのグリニッジビレッジ(Greenwich Village)にオープンした
ライブスポット、スイート・ベイジル(Sweet Basil)は、1990年には日本の尼崎勝士氏をオーナーに迎え、2001年まで営業を続けていた様です。


そんな日本と縁が深いスイート・ベイジル(Sweet Basil)で、アート・ブレイキー(Art Blakey)率いる「The Jazz Messengers」が、1985年03月24日にライブ録音を行います。

 

「Art Blakey and The Jazz Messengers - Live At Sweet Basil (Paddle Wheel) 1985」新生ジャズメッセンジャーズの快演

 

その時の演奏から4曲収録したアルバムが「Live At Sweet Basil (Paddle Wheel K28P-6357)」です。

 


御大アート・ブレイキー(Art Blakey)率いる「The Jazz Messengers」は、結成当初から「若手ミュージシャンの登竜門」としての役割を担っておりまして。

 

1980年には大型新人ウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)を世に送り出した事で、ポピュラー・ミュージックに接近したクロスオーバー・ジャズ全盛のジャズ界を、1960年代前半まで隆盛したアコーステック・ジャズに回帰させるきっかけとなったりしましたね。

 

てな訳で、今回ライブに参加するメンバーは、トランペットのテレンス・ブランチャードTerence Blanchard)、アルト・サックスのドナルド・ハリソン(Donald Harrison)、テナー・サックスのジーン・トゥーサン(Jean Toussaint)、ピアノのマルグリュー・ミラー(Mulgrew Miller)、ベースのロニー・ロニー・プラキシコ(Lonnie Plaxico)という当時、若手の有望株だったメンバーが揃っている感じです。


特にトランペットのテレンス・ブランチャードTerence Blanchard)は、ウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)の推薦で入団した期待の新人だったと記憶しております。


あと、トニー・ウイリアムス(Tony Williams)率いるクインテットの凄腕ピアニストであったピアノのマルグリュー・ミラー(Mulgrew Miller)の経歴を調べると、何気に凄いですね。

 

1977年から1980年まで、マーサー・エリントン(Mercer Ellington)率いるデューク・エリントンDuke Ellington)楽団に在籍。

1980年にベティ・カーター(Betty Carter)と共演し、1983年まではウディ・ショウ(Woody Shaw)のバンドで活動。

 

で、1984年にジャズ・メッセンジャーズ(The Jazz Messengers)に入団し、1986年まで在籍していた模様。

 

 

さて、1985年03月24日録音のライブアルバム「Live At Sweet Basil (Paddle Wheel K28P-6357)」の話に戻します。

 

1曲目「Jodi」は、ウォルター・デイヴィス Jr(Walter Davis)の作品。

 


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アート・ブレイキー(Art Blakey)のドラム・ソロから、華々しいテーマが始まり、各メンバーのソロの合間にも、律儀にテーマが演奏される処が面白かったりします。

 

で、テレンス・ブランチャードTerence Blanchard)のトランペット・ソロが頭抜けて素晴らしいですね。

 


2曲目「Blues March」は、晩年のライブ定番曲であるベニー・ゴルソンBenny Golson)の作品。

 

元々、御大アート・ブレイキー(Art Blakey)をカッコよく目立たせる事を目的に作られただけあって、ゆったりしてはいるものの、ドラムの響きが目立つ曲であります。

 


3曲目「Mr. Babe」は、アルト・サックスで参加するドナルド・ハリソン(Donald Harrison)の作品。

 

御大のドラム・ソロの後、超アップテンポのテーマが始まります。「Donnna Lee」かな、この曲のコード進行の元ネタは。

 


4曲目「Moanin'」は、晩年のライブ定番曲だったボビー・ティモンズBobby Timmons)の作品。

 


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マルグリュー・ミラー(Mulgrew Miller)の軽快なピアノによるイントロから、ピアノとフロント陣との印象的なコール&レスポンスを交えたテーマが聴こえてくると、わくわくしますね。

 

ここでもテレンス・ブランチャードTerence Blanchard)の快演が光っております。

 

Art Blakey and The Jazz Messengers - Live At Sweet Basil

Paddle Wheel/King Records K28P-6357, K32Y-6024 / KICJ-8828 [1997.07.02]

side 1 (A)
01. Jodi (Walter Davis)  12:18
02. Blues March (Benny Golson)  12:04

side 2 (B)
03. Mr. Babe (Donald Harrison)  11:57
04. Moanin' (Bobby Timmons)  10:45


Terence Blanchard (tp) Donald Harrison (as) Jean Toussaint (ts) 
Mulgrew Miller (p) Lonnie Plaxico (b) Art Blakey (ds)

March 24, 1985 at Sweet Basil, Greenwich Village, NYC.

 

 

 

 

「Art Blakey and The Jazz Messengers - Live At Sweet Basil (Paddle Wheel) 1985」新生ジャズメッセンジャーズの快演

画像は「Discogs」からお借りしました。


なお1985年03月24日、スイート・ベイジル(Sweet Basil)でのライブは「Hard Champion (Paddle Wheel K28P-6472)」にも収録されておりますね。