私が大好きなフランスのサックス奏者バルネ・ウィラン(Barney Wilen)名義のアルバム「Barney Wilen – Barney (RCA France 430.053.)」。
オリジナル・アナログ・レコードには、フランスはパリの「Club Saint-Germain」で、1959年04月24日と25日にかけライブ録音された音源から厳選された4曲が収録されておりまして、1995年に大量の未発表曲と共にCD化されました。
裏ジャケットは「Discogs」からお借りしました。
アメリカから、仏映画「彼奴を殺せ(Un Temoin Dans La Ville)」のサウンド・トラックを録音するためパリに招聘されたらしい、ピアノストのデューク・ジョーダン(Duke Jordan)と、トランペッターのケニー・ドーハム(Kenny Dorham)がライブに参加しておりますが、日本では「いぶし銀」と表現される事の多い二人が、何故か躁状態とでも表現するしかない、ノリノリな演奏を聴かせてくれる事が、このアルバムを推す最大のポイントです。
ここまでノリまくった二人の演奏を聴いていると、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)は、「Flight To Denmark (SteepleChase SCS-1011)」、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)だと「Quiet Kenny (New Jazz NJLP-8225)」を愛聴してる方が、このライブを聴いたら口あんぐりになるんではないかと思ったりします。
1曲目「Besame Mucho」ではケニー・ドーハム(Kenny Dorham)がテーマ部を主導しており、そのまま饒舌過ぎる感じもするソロに突入していきます。
ソロ二番手のバルネ・ウィラン(Barney Wilen)も情熱的で熱いソロを聴かせてくれ、ソロ三番手のデューク・ジョーダン(Duke Jordan)も、熱に浮かされたかの如き、高音部を駆使した圧倒的なソロを展開しております。
2曲目「Stablemates」は、前年の1958年11月から12月にかけ、「Art Blakey and The Jazz Messengers」の一員として、ヨーロッパ中を熱狂の渦に巻き込んだベニー・ゴルソン(Benny Golson)の作品。
ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)、バルネ・ウィラン(Barney Wilen)、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)とソロが続きますが、中でもデューク・ジョーダン(Duke Jordan)のソロが光ってますね。
3曲目「Jordu」は、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)の名演で有名な、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)初期の代表曲。
前のめり気味に圧倒的なソロを展開する、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)が素晴らしいです。バルネ・ウィラン(Barney Wilen)、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)とソロが続きますが、いつになく高音を多用するケニー・ドーハム(Kenny Dorham)も凄いですね。
でも、ドラムスとのソロ交換で登場するデューク・ジョーダン(Duke Jordan)の気迫にはかないません(笑)。
4曲目「Lady Bird」は、私が大好きなタッド・ダメロン(Tadd Dameron)の作品。
しかし、バルネ・ウィラン(Barney Wilen)のソロの後ろでバッキングに徹するデューク・ジョーダン(Duke Jordan)の気迫というか存在感が物凄いですね。絶好調ですわ(笑)。
タッド・ダメロン(Tadd Dameron)と共演した事もあるケニー・ドーハム(Kenny Dorham)は軽々と珍しく陽気なソロを展開、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)はアクセント強めな歯切れの良いソロを聴かせてくれます。
以降はCD化の際に追加された曲ですが、未発表であったのが不思議な位、ジャズ・ファンにとっては興味深い曲が揃っております。
5曲目「Lotus Blossom」は、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)書いた曲の中で、一番有名であろう1曲。いやー、しかし、「Lotus Blossom」のライブ・バージョンを、まさか公式録音で聴けるとは。
快調に飛ばすケニー・ドーハム(Kenny Dorham)、バルネ・ウィラン(Barney Wilen)、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)と三者三様のノリに乗ったソロが展開されます。
6曲目「Everything Happens To Me (Matt Dennis, Tom Adair)では、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)の美しいイントロから始まり、バルネ・ウィラン(Barney Wilen)がソプラノ・サックスに持ち替えて、テーマを奏で、そのままソロに。
デューク・ジョーダン(Duke Jordan)は、玉を転がすような美しく軽快なソロを聴かせてくれます。
7曲目「I'll Remember April」 (Don Raye, Gene DePaul, Patricia Johnston)は、アップテンポで演奏される如何にもハードバップといった風情の演奏となっております。
デューク・ジョーダン(Duke Jordan)、バルネ・ウィラン(Barney Wilen)と快調なソロが展開されます。
8曲目「Témoin Dans La Ville」はバルネ・ウィラン(Barney Wilen)の作品で、仏映画「彼奴を殺せ(Un Temoin Dans La Ville)」のサウンド・トラック1曲目に収録された曲だったりします。
この曲はブルースのコード進行で作られている様で、イントロでデューク・ジョーダン(Duke Jordan)が洒落っ気たっぷりに、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の演奏でお馴染みな「Walkin'」のイントロをそのまま演奏してたりするのが面白いですね。
サウンド・トラックでは渋めな曲調だったのですが、このライブではテーマからファンキー風味に演奏され、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)、バルネ・ウィラン(Barney Wilen)、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)とソロが続きますが、これまた三者三様ノリに乗ったソロを聴かせてくれます。
という訳で。
仏映画「彼奴を殺せ(Un Temoin Dans La Ville)」のサウンド・トラックが録音ときにパリの「Club Saint-Germain」で、1959年04月24日と25日にかけライブ録音された「Barney Wilen – Barney (RCA France 430.053.)」ですが、CD再発時に公開された未発表曲すらも捨て曲なしという素晴らしいライブ録音となっております。
Barney Wilen – Barney +4
RCA 430.053. / RCA Victor/BMG France 74321-45409-2 [1995]
side 1 (A)
01. Besame Mucho (Consuelo Velazquez) 12:53
02. Stablemates (Benny Golson) 5:35
side 2 (B)
03. Jordu (Duke Jordan, Norman Mapp) 9:05
04. Lady Bird (Moira Heath, Tadd Dameron) 11:29
CD Bonus Tracks
05. Lotus Blossom (Kenny Dorham) 8:29
06. Everything Happens To Me (Matt Dennis, Tom Adair) 6:53
07. I'll Remember April (Don Raye, Gene DePaul, Patricia Johnston) 7:56
08. Témoin Dans La Ville (Barney Wilen, Raymond Fol) 10:15
Kenny Dorham (tp) Barney Wilen (ts #1-5,7, ss #6,8) Duke Jordan (p)
Paul Rovere (b) Daniel Humair (ds)
April 24 & 25, 1959 at the Club Saint-Germain, Paris, France.
そんな訳で未発表曲の残りは1998年、アルバム「Barney Wilen - More From Barney At The Club Saint-Germain (BMG France 74321-54422-2)」として再発されておりますので、機会があればご紹介したいと思います。