1958年から1961年頃までオーネット・コールマン(Ornette Coleman)率いるピアノレス・カルテットのポケット・トランペット(コルネット)奏者として注目を集めたドン・チェリー(Don Cherry)。
その後は、前衛的なジャズの影響を受けたジョン・コルトレーン(John Coltrane)や、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)、そして前衛的ジャズの代表的なサックス奏者、アルバート・アイラー(Albert Ayler)らと共演を重ねております。
そんなドン・チェリー(Don Cherry)が、アルゼンチン出身のテナー・サクソフォーン奏者、ガトー・バルビエリ(Gato Barbieri)を迎えたピアノレス・カルテットで1965年12月24日、ブルーノート(Blue Note Records)に録音したアルバムが「Don Cherry - Complete Communion (Blue Note BST-84226)」。
ほど良い刺激と共にメロディアスな前衛ジャズが聴けるアルバムです。
ついでに補足というか、蛇足。
日本では音楽監督を担当しグラミー賞まで受賞した1972年の映画「ラストタンゴ・イン・パリ(Last Tango in Paris)」で有名なガトー・バルビエリ(Gato Barbieri)ですが、ニックネームの「ガトー」とは、スペイン語で「猫」を意味するだそうです。
また、ガトー・バルビエリ(Gato Barbieri)は、イタリアのローマを拠点に活動していた時にドン・チェリー(Don Cherry)と出会い、1965年にニューヨークに移住を移してから、ドン・チェリー(Don Cherry)のバンドに参加したそうです。
なお今回、フロントの2人を支えるリズム隊は、ベースのヘンリー・グライムス(Henry Grimes)と、ドラムスのエド(ワード)・ブラックウェル(Edward Blackwell)です。
さて、アルバム「Don Cherry - Complete Communion (Blue Note)」は、アナログ・レコードの片面づつにドン・チェリー(Don Cherry)の書いた約20分の曲がそれぞれ刻まれており、各曲とも4つのパートに分かれているみたいです。
1曲目「Complete Communion」は、「a. Complete Communion / b. And Now / c. Golden Heart / d. Remembrance」という4つのパートに分かれているそうです。
キュートなドン・チェリー(Don Cherry)のコルネットに、ガトー・バルビエリ(Gato Barbieri)の熱狂的なテナーサックスが程よく絡み、ほど良い刺激を伴ったメロディアスな前衛ジャズが展開されていきます。
2曲目「Elephantasy」は医学用語で「象皮病」という意味みたいで、「a. Elephantasy / b. Our Feelings / c. Bishmallah/ d. Wind, Sand And Stars」という4つのパートに分かれているそうです。
かなり前衛色の濃い無調気味なテーマの後、ドン・チェリー(Don Cherry)の悲鳴にも
似たブローと、ガトー・バルビエリ(Gato Barbieri)のファラオ・サンダース(Pharoah Sanders)風味強めなテナーの咆哮が鳴り響きます。
演奏の後半に差し掛かると、何故かスパニッシュ風味のメロディが登場するのが面白いですね。
Don Cherry - Complete Communion (SBM)
Blue Note BST-84226 / 7243 5 22673 2 3 [2000.02.15] Blue Note Connoisseur Series
side 1 (A)
01. Complete Communion (Don Cherry) 20:38
a. Complete Communion
b. And Now
c. Golden Heart
d. Remembrance
side 2 (B)
02. Elephantasy (Don Cherry) 19:36
a. Elephantasy
b. Our Feelings
c. Bishmallah
d. Wind, Sand And Stars
Don Cherry (cor) Leandro 'Gato' Barbieri (ts) Henry Grimes (b) Edward Blackwell (ds)
December 24, 1965 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.