1956年に18歳で衝撃的なデビューを果たし、「Dizzy Gillespie Big Band」や「Art Blakey And The Jazz Messengers」での張ったりの効いた演奏で、天才トランペット少年の名声を欲しいままにしたリー・モーガン(Lee Morgan)。
そんなリー・モーガン(Lee Morgan)が、1961年05月14日録音の「Art Blakey And His Jazz Messengers (Alamode) (Impulse! AS-7)」以降、公式録音はぷっつりと途絶えます。
体調を崩し、故郷のフィラデルフィアに一時期引っ込んでいた様ですが、1963年末の「The Sidewinder (Blue Note BLP-4157)」で大復活を遂げる間に、1枚だけ自身がリーダー名義のスタジオ録音を残しております。
そのアルバムが1962年01月24日に録音された「Take Twelve (Jazzland JLP-980)」です。
体調を崩していた時期に録音されたものなので、演奏に往時の勢いはそれほど感じられませんが、アナログ・レコードからリマスターされたCDに買い替えて聴き直してみると、「駄盤」と切り捨ててしまうには惜しい内容である事に気がつきました(笑)。
※裏ジャケットの画像は「Discogs」からお借りしました。
リー・モーガン(Lee Morgan)以外のメンバーは、テナーサックスのクリフォード・ジョーダン(Clifford Jordan)、ピアノのバリー・ハリス(Barry Harris)、ベースのボブ・クランショウ(Bob Cranshaw)、ドラムスのルイス・ヘイス(Louis Hayes)という渋めの実力派が揃っております。
そういえば、バリー・ハリス(Barry Harris)とボブ・クランショウ(Bob Cranshaw)は、復帰第1弾の「The Sidewinder (Blue Note BLP-4157)」にも参加してましたね。
1曲目「Raggedy Ann」は、リー・モーガン(Lee Morgan)の自作曲。
テーマ部は、1963年12月に録音された「The Sidewinder (Blue Note BST-84157)」収録の「Totem Pole」のリズム・パターンを変えた感じかな。
リー・モーガン(Lee Morgan)のソロは、1957年11月と1958年02月に録音された「Candy (Blue Note BST-81590)」の表題曲「Candy」で吹いたソロを、曲調に合わせ、ややハードにした感じですかね・・・バリー・ハリス(Barry Harris)の最初ハードなソロからビバップ風味のソロに移行する辺りは面白いです。
クリフォード・ジョーダン(Clifford Jordan)のテナーは、アルトっぽい高音域を中心としたソロを聴かせてくれます。
2曲目「A Waltz For Fran」は、リー・モーガン(Lee Morgan)自作のバラッド。
クリフォード・ジョーダン(Clifford Jordan)、リー・モーガン(Lee Morgan)とソロが続きますが、さりげないフェイクにリー・モーガンの凄さを感じさせてくれますね。
3曲目「Lee-Sure Time」は、リー・モーガン(Lee Morgan)のシリアスながらファンキー風味漂う自作曲。
緩急付けたソロを聴かせてくれるクリフォード・ジョーダン(Clifford Jordan)、間を生かしたハッタリの効いたソロで、どんどんヒートアップしていくリー・モーガン(Lee Morgan)が凄いです。
4曲目「Little Spain」は、クリフォード・ジョーダン(Clifford Jordan)が書いた3拍子の曲。
どの辺が「スペイン」なのかぱっと思いつきませんが(笑)、比較的軽快なテンポでバリー・ハリス(Barry Harris)、クリフォード・ジョーダン(Clifford Jordan)と堅実なソロの後、リー・モーガン(Lee Morgan)のやんちゃなソロが続きます。
5曲目「Take Twelve」は表題曲であり、ラテン風味なエルモ・ホープ(Elmo Hope)の作品。
クリフォード・ジョーダン(Clifford Jordan)の堅実なソロの後、リー・モーガン(Lee Morgan)お得意である音の跳躍激しいソロが続きます。
6曲目「Second's Best (take 5)」と、CDのボーナストラックである7曲目「Second's Best (take 1)」は、ややシリアス調なリー・モーガン(Lee Morgan)の自作曲。
クリフォード・ジョーダン(Clifford Jordan)のバックに煽られた時、ほんの少し過激なソロを聴かせたりするのが面白いですし、リー・モーガン(Lee Morgan)のソロは最初から過激に飛ばしてます(笑)。
あれ、バリー・ハリス(Barry Harris)も珍しく高揚気味なソロを聴かせてくれますし、今まで控えめだったルイス・ヘイス(Louis Hayes)ですが、最後のソロ交換では、ド派手に暴れております(笑)。
最後まで通して聴いてみると、リー・モーガン(Lee Morgan)が案外良いソロを聴かせてくれているのですが、テナーサックスのクリフォード・ジョーダン(Clifford Jordan)が委縮気味という感じで相性よろしくない風ですし、ルイス・ヘイス(Louis Hayes)のドラムも地味というか、控えめ過ぎたのかなあ・・・。
リー・モーガン(Lee Morgan)みたいに「華のある」トランペッターは、バックが過激な位に盛り上げてくれないと、浮くというか、空回りしている感じに聴こえるんですよね・・・。
まあ、休養期間中の「リハビリ・セッション」だと納得した人向けというか、玄人向けのアルバムでございます。
リー・モーガン(Lee Morgan)ならお蔵出しセッション含め、ブルーノート(Blue Note Records)での録音の方が圧倒的に良盤が多いです。
Lee Morgan – Take Twelve +1
Jazzland JLP-980 / OJCCD-310-2 / Universal Music UCCO-9130 [2007.05.16]
side 1 (A)
01. Raggedy Ann (Lee Morgan) 6:52
02. A Waltz For Fran (Lee Morgan) 5:00
03. Lee-Sure Time (Lee Morgan) 8:31
side 2 (B)
04. Little Spain (Clifford Jordan) 7:50
05. Take Twelve (Elmo Hope) 4:59
06. Second's Best (take 5) (Lee Morgan) 7:30
CD Bonus Track
07. Second's Best (take 1) (Lee Morgan) 7:30
Lee Morgan (tp) Clifford Jordan (ts) Barry Harris (p) Bob Cranshaw (b)
Louis Hayes (ds)
January 24, 1962 at Plaza Sound Studios, NYC.