加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Bobby Hutcherson - Natural Illusions (Blue Note) 1972」レア・グルーヴ界の定番

ヴァイヴラフォン奏者「ボビー・ハッチャーソン(Bobby Hutcherson)」のレア・グルーヴやクラブ・ジャズ・ジャズ・シーンで定番アイテムとなっているアルバムが今回の「Natural Illusions (Blue Note BST-84416)」。

 

「Bobby Hutcherson - Natural Illusions (Blue Note) 1972」レア・グルーヴ界の定番

 

イギリス付近から火がついた、ロックに駆逐されたジャズ系の埋もれてはいたものの、聴けば「踊れる」音源(レコード)を掘り出し、それを聴きつつ、クラブで盛り上がという音楽シーンの流れが1980年代初頭から始まりまして。

 

それが日本にも伝播し「クラブ・ジャズ」と呼ばれるムーブメントにまで発展した様ですが・・・。

 

「Natural Illusions (Blue Note BST-84416)」は、それに関連する音源に対する再発熱が高まった頃(1990年代)から定番アイテムとして、日本ではCD、アナログレコードと形を変えつつ、コンスタントに再発されている1枚であったりします。

 


1972年03月02日にボビー・ハッチャーソン(Bobby Hutcherson)含むギター入りクインテットで録音した演奏に翌03月03日、ウェイド・マーカス(Wade Marcus)編曲の壮大かつメローなストリングスをオーバーダビング。

 

いずれの録音も、お馴染みルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオ(Van Gelder Studio)で行われております。

 

クインテットのメンバーは、ハンク・ジョーンズHank Jones)のピアノ、ジーン・バートンチーニ(Gene Bertoncini)のギター、ロン・カーターRon Carter)のベース、ジャック・ディジョネットJack DeJohnette)という、豪華すぎるメンバーを揃えております。

 

ウェイド・マーカス(Wade Marcus)が編曲した、オーバーダビング部分の演奏を担当したメンバーの中にフルートのヒューバート・ローズ(Hubert Laws)が入っているのも、時代を感じさせるというか、面白いですね。

 

今回も、何曲かかいつまんでご紹介してしていきます(時間がないのよ)。

 

3曲目にデューク・エリントンDuke Ellington)楽団の名曲「Sophisticated Lady」が収録されておりますが、1970年前半という激動の時代性を反映しつつも、耽美的で美しい仕上がりの演奏です。

 


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どのトラックの演奏にも言える事ですが、ジャズ・スタンダードでもオリジナル曲であっても、極上のBGMに仕上げられているウェイド・マーカス(Wade Marcus)が手掛ける編曲の巧みさが光っております。

 

 

このアルバム最大の聴き処、4曲目の「Rain Every Thursday」は、ジャック・ディジョネットJack DeJohnette)が叩き出す冒頭のドラム・ブレイクと、歌謡曲の如きメロディが絶妙な加減を生み出すキャッチーな1曲。

 


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「Rain Every Thursday」はミックス・ネタとしては鉄板みたいで、「DJ bobo James a.k.a DEV LARGE」によるミックス・シリーズ「Ghetto Funk」に収録されたり。

 

1994年リリースの「WKCR 89.9 FM (NYC)」で披露された音源をまとめた「Stretch Armstrong & Bobbito – Freestyle Frenzy Vol. 1」2曲目収録の「Nasty Nas & Six Nine – Freestyle (October '93)」に入っていたりするそうです。

 


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「Rain Every Thursday」を丸々使い、2000年に12インチアナログレコードで発売されたらしい「ナゼナラ - キエるマキュウ」というトラックもあるみたいですね(日本語ラップ)。

 


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7曲目のバラッド「Shirl」は、ホレス・シルヴァーHorace Silverクインテットが結成された初期、ブルーノート(Blue Note Records)にも演奏が残された名曲。

 


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イージー・リスニング風の演奏と混ぜて、デューク・エリントンDuke Ellington)楽団の曲や、こういった1950年代に書かれたメローな名曲を取り上げる辺り、当時のボビー・ハッチャーソン(Bobby Hutcherson)の音楽的志向に共感するというか、他のアルバム群を全て、聴いてみたい気持ちにさせられたりします。

 

多少は聴いてますが、再発を見逃すとアルバムによっては途端にお値段高騰するのが、この時代のボビー・ハッチャーソン(Bobby Hutcherson)のアルバム群だったりします。

 

 

Bobby Hutcherson - Natural Illusions
Blue Note BST-84416 / EMI Music Japan TOCJ-6744 (2000)

side 1 (A)
01. When You're Near (Bobby Hutcherson)  4:01
02. The Thrill Is Gone (Lew Brown, Ray Henderson)  4:28
03. Sophisticated Lady (D. Ellington, I. Mills, M. Parish)  6:08
04. Rain Every Thursday (Loonis McGlohon)  3:44

side 2 (B)
05. The Folks Who Live On The Hill (J. Kern, O. Hammerstein II)  5:03
06. Lush Life (Billy Strayhorn) 5:33
07. Shirl (Horace Silver)  5:13


Bobby Hutcherson (vib) Hank Jones (p) Gene Bertoncini (g)
Ron Carter (b) Jack DeJohnette (ds) 

+ overdubs: Wade Marcus (arr) 
Phil Bodner, Hubert Laws, Romeo Penque, Daniel Trimboli (fl) 
George Marge (oboe) John Leone (bassoon) 
Aaron Rosand, Irving Spice (violin) Julian Barber, Seymour Berman (viola) 
Seymour Barab (cello) Eugene Bianco (harp) George Duvivier (b) 

March 2, 1972 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
overdubbed March 3, 1972 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

 

 

ナチュラル・イリュージョンズ

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