ハード・バップ全盛期の超売れっ子ドラマー、アート・テイラー(Art Taylor)。
そんなアート・テイラー(Art Taylor)が唯一、ブルーノート(Blue Note Records)に残したリーダー・アルバムが、今回の「A.T.'s Delight (Blue Note BST-84047)」です。
まあ、唯一と書きましたが、サイドマンとしては、数多のアルバムに参加しているんですけどね(笑)。
1960年08月06月にヴァン・ゲルダー・スタジオに集まった録音メンバーは、トランペットのデイブ・バーンズ(Dave Burns)、テナーサックスのスタンレー・タレンタイン(Stanley Turrentine)、ピアノのウィントン・ケリー(Wynton Kelly)、ベースのポール・チェンバース(Paul Chambers)、ドラムスのアート・テイラー(Art Taylor)、コンガのカルロス”ポタト”ヴァルデス(Carlos "Potato" Valdez)。
ブルーノート(Blue Note Records)としては、少し異色のメンバー構成ですね。
で、このアルバムを値千金にしているのは、ホーン・セクション二人の快演。
当時、ブルーノート(Blue Note Records)が売り出し中であったソウルフル・テナー奏者のスタンレー・タレンタイン(Stanley Turrentine)と、ビ・バップからスタートし、有名ビック・バンドを渡り歩いた経験を生かした緩急自在な演奏が魅力的な、トランペットのデイブ・バーンズ(Dave Burns)。
特に、デイブ・バーンズ(Dave Burns)の温かみある溌剌とした演奏が聴けるのは嬉しいですね。
中でも、コンガをバックに疾走するミュート・トランペットが素晴らしい3曲目の「Move」がお勧め。
1曲目「Syeeda's Song Flute」は、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)の作品ですが、ここではスタンレー・タレンタイン(Stanley Turrentine)のソウルフルなテナーが聴き処となっております。
以前書いた関連記事は、こちらから。
コンガのカルロス”ポタト”ヴァルデス(Carlos "Potato" Valdez)と、アート・テイラー(Art Taylor)の絶妙なコンビネーションを堪能したい方は、セロニアス・モンク(Thelonious Monk)作曲の2曲目「Epistrophy」と、アート・テイラー(Art Taylor)の書下ろした5曲目「Cookoo and Fungi」をお聴き下さい。
この2曲はシングル盤「Art Taylor - Cookoo & Fungi / Epistrophy (Blue Note 45-1800)」としても発売されている様です。
4曲目「Hight Seas」と、6曲目「Blue Interlude」は、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)に書下ろし依頼した楽曲の様です。
いずれも日本人好みの哀愁漂う、ハード・バップ・ジャズ好きにはたまらない曲ですね。
※色が微妙に違うジャケット画像は、「Discogs」からお借りしました。
Art Taylor - A.T.'s Delight (RVG)
Blue Note BST-84047 / 東芝EMI TOCJ-9096 [1999.03.25]
side 1 (A)
01. Syeeda's Song Flute (John Coltrane) 6:32
02. Epistrophy (Thelonious Monk) 6:49
03. Move (Denzil Best) 5:46
side 2 (B)
04. Hight Seas (Kenny Dorham) 6:45
05. Cookoo and Fungi (Art Taylor) 5:28
06. Blue Interlude (Kenny Dorham) 5:20
Dave Burns (tp -omit 5) Stanley Turrentine (ts) Wynton Kelly (p -omit 5)
Paul Chambers (b) Art Taylor (ds) Carlos "Potato" Valdez (conga #2,3,5)
August 6, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
デイブ・バーンズ(Dave Burns)は1924年生まれなんで、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)より2歳年上なんですね。
10代の頃には、ミントンズ・プレイハウス(Minton's Playhouse)でディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)らの当時革新的な演奏を体験。
1946年から1949年まで、ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)楽団に参加。
1950年から1952年まで、デューク・エリントン(Duke Ellington)楽団に参加。
また、テナーサックス奏者のジェームス・ムーディ(James Moody)とは1943年から1945年、1940年代後半から1950年年代初頭までのビックバンドでの活動を経て、1957年まで共演していたみたいですね。
リーダー・アルバムは下記二枚のみで他、サイドマンとしての録音が多数残っております。
●Dave Burns (Vanguard VRS-9111, 1962)
●Warming Up! (Vanguard VRS-9143, 1964)