ケン・マッキンタイヤー(Ken McIntyre)という聴きなれないマルチリード奏者のリーダー作に、同じくマルチリード奏者であるエリック・ドルフィー(Eric Dolphy)が参加するアルバムが「Looking Ahead (New Jazz NJLP-8247)」です。
この「Looking Ahead (New Jazz NJLP-8247)」も、エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)のBOXセットに収録されていたので聴く事が出来たのですが、このアルバム単体で聴く事は多分、一生涯なかったでしょう(笑)。
ケン・マッキンタイヤー(Ken McIntyre)はエリック・ドルフィー(Eric Dolphy)同様、チャーリー・パーカー(Charile Parker)を源流としたビバップ・スタイルを習得し、後にセシル・テイラー(Cecil Taylor)と共演するなど、前衛系のミュージシャンとの共演が多い様です。
また、ボストン音楽院で作曲を学んだ後に公立学校で音楽を教えるなど、教育者として活動の方に力を入れていたみたいです。
アルバム「Looking Ahead (New Jazz NJLP-8247)」で演奏される曲は「They All Laughed」を除き、全てケン・マッキンタイヤー(Ken McIntyre)の手によるもので、ハード・バップ風味で洗練された感じの曲が並んでおります。
ケン・マッキンタイヤー(Ken McIntyre)の自作曲は、ボストン音楽院で知的なサックス奏者として知られるジジ・グライス(Gigi Gryce)に師事した為か、そこはかとなくジジ・グライス風味が漂ってる様にも感じますね(笑)。
ピアノのウォルター・ビショップ Jr.(Walter Bishop Jr.)、ベースのサム・ジョーンズ(Sam Jones)、ドラムスのアート・テイラー(Art Taylor)という、ハード・バップ系のアルバムではお馴染みのメンバーを揃っている為か、どんなにエリック・ドルフィー(Eric Dolphy)のアルト・サックスが咆哮しても、演奏は想定外(笑)にオーソドックスなハード・バップ系、といった印象を受けます。
という事でアルバム全編でBGMで聴くには丁度良い、心地よく適度に刺激がある演奏が続きます。
・・・つまり、曲によってあまり差異が感じされないので、何曲かかいつまんでご紹介するに留めます。
ミディアムテンポで演奏される1曲目「Lautir」は、ケン・マッキンタイヤー(Ken McIntyre)の自作曲。
ケン・マッキンタイヤー(Ken McIntyre)の若干、ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)風味漂うアルト・サックスによるソロと、続くエリック・ドルフィー(Eric Dolphy)のフルート・ソロのコントラストが中々よろしいです。
ソロ3番目に登場するウォルター・ビショップ Jr.(Walter Bishop Jr.)のハードバップみ溢れるソロも中々・・・。
5曲目の10分にも及ぶ「Head Shakin'」も、ケン・マッキンタイヤー(Ken McIntyre)の自作曲で、ハード・バップ系の典型的な1曲だと思います。
ウォルター・ビショップ Jr.(Walter Bishop Jr.)のツボを心得たちょっとファンキーなピアノ・ソロ、エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)の若干フリーキーなアルト・サックス・ソロ、ケン・マッキンタイヤー(Ken McIntyre)の若干ファンキーなフルート・ソロと、素敵なソロが続きます。
6曲目の3拍子で書かれた「Dianna」では、ケン・マッキンタイヤー(Ken McIntyre)はフルート、エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)はバス・クラリネットを演奏しております。
ケン・マッキンタイヤー(Ken McIntyre)の可憐な感じ漂うフルート・ソロ、エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)の奔放なるバス・クラリネット・ソロ、ウォルター・ビショップ Jr.(Walter Bishop Jr.)の安定したハード・バップ系のソロと続きます。
最後はフルートとバス・クラリネットが交互に登場する珍しいソロ交換で演奏は収束していきます。
・・・中々良いハード・バップ系のアルバムだったんですね、「Looking Ahead (New Jazz NJLP-8247)」。
もっと早くに、しっかり聴いておけば良かった(BOXセットあるある)。
Ken McIntyre with Eric Dolphy - Looking Ahead
New Jazz NJLP-8247
side 1 (A)
01. Lautir (Ken McIntyre) 4:04
02. Curtsy (Ken McIntyre) 5:52
03. Geo's Tune (Ken McIntyre) 7:12
04. They All Laughed (George Gershwin - Ira Gershwin) 5:08
side 2 (B)
05. Head Shakin' (Ken McIntyre) 10:46
06. Dianna (Ken McIntyre) 9:07
Ken McIntyre (as, fl) Eric Dolphy (as, b-cl, fl) Walter Bishop Jr. (p) Sam Jones (b)
Art Taylor (ds)
June 28, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.