加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Quincy Jones - Live In Ludwigshafen 1961 (Jazzhaus)」豪華メンバーによる痛快なるライブ

南西ドイツ放送局(SWR)が保有していたアーカイヴ音源から、クインシー・ジョーンズQuincy Jones)が豪華なビッグバンドを率いて1961年03月15日、ドイツのルートヴィヒスハーフェン(Ludwigshafen)で行ったライブで演奏された13曲を収録したアルバムが、今回ご紹介する「Live In Ludwigshafen 1961 (Jazzhaus JAH-455)」です。

 

「Quincy Jones - Live In Ludwigshafen 1961 (Jazzhaus)」豪華メンバーによる痛快なるライブ

 

児山紀芳さんが倉庫から発掘し、1984年に日本で発売された6曲入りの「The Great Wide World Of Quincy Jones Live! (Mercury/Nippon Phonogram 195J-32/822 613-2)」は、スイスのチューリッヒ(Zurich)で1961年03月10日に録音されたものなので、その5日後の演奏なんですね。

 

 

03月10日にはジョージ・ガーシウィン(George Gershwin)の「Bess You Is My Woman Now」が演奏されておりましたが5日後、03月15日のライブでは「Summertime」が代わりに演奏されております。

 

さて、クインシー・ジョーンズQuincy Jones)が率いるビックバンドのトランペット・セクションは、ベニー・ベイリー(Benny Bailey)、フレディ・ハバードFreddie Hubbard)、ポール・コーエン(Paul Cohen)、ロルフ・エリクソン(Rolf Ericson)。

 

トロンボーン・セクションは、カーティス・フラーCurtis Fuller)、デヴィッド・ベイカー(David Baker)、メルバ・リストン(Melba Liston)、アケ・パーソン(Åke Persson)

 

フレンチホルンのジュリアス・ワトキンス(Julius Watkins)も参加してますね。

 

サックス・セクションに目を移すとアルト・サックスのフィル・ウッズPhil Woods)とジョー・ロープス(Joe Lopes)、テナー・サックスにはバド・ジョンソン(Budd Johnson)とエリック・ディクソン(Eric Dixon)、バリトン・サックスにはサヒブ・シハブ(Sahib Shihab)と、かなり豪華な面子が参加。


リズム・セッションに移るとギターとフルートのレス・スパン(Les Spann)、ピアノのパティ・ボウン(Patti Bown)、ベースのジョージ・キャレット(George Catlett)、ドラムスのストゥ・マーティン(Stu Martin)。

 

そしてゲスト枠として、コンガ・パーカッションのポテト・ヴァルデス('Patato' Valdes)が加わっております。

 

 

では、「Live In Ludwigshafen 1961 (Jazzhaus JAH-455)」で聴ける13曲をざっと紹介していきます。

 


1曲目「Air Mail Special」は、ベニー・グッドマンBenny Goodman)楽団の演奏が有名ですが、クインシー・ジョーンズQuincy Jones)の楽団は、オープニング用の曲として演奏していた模様。

 


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ここではド派手かつ超アップテンポに演奏されており、ソロはトロンボーンのアケ・パーソン(Åke Persson)、アルト・サックスのジョー・ロープス(Joe Lopes)が吹いており、いずれもかなりインパクト高めなソロを聴かせてくれます。

 


ファンキーで重厚なアンサンブル演奏が繰り広げられる2曲目「G'wan Train」は、ピアノで参加しているパティ・ボウン(Patti Bown)の作品。ソロは高域を多用するフレンチホルンのジュリアス・ワトキンス(Julius Watkins)と、ファンキーにブローするアルト・サックスのフィル・ウッズPhil Woods)です。

 


バラット風味に演奏される3曲目「Solitude」は、デューク・エリントンDuke Ellington)の名曲で、編曲をトロンボーンで参加しているメルバ・リストン(Melba Liston)の手によるもの。

 

抒情感溢れるソロは、メルバ・リストン(Melba Liston)が吹いている様です。

 


4曲目「Stolen Moments」は、オリバー・ネルソン(Oliver Nelson)の作品をクインシー・ジョーンズQuincy Jones)がビックバンド用に編曲したもの。

 


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「The Great Wide World Of Quincy Jones Live! (Mercury/Nippon Phonogram 195J-32/822 613-2)」と比べると、あっさりとしたソロで少し肩透かし気味(笑)なトランペットのフレディ・ハバードFreddie Hubbard)の後、テナー・サックスのエリック・ディクソン(Eric Dixon)のソロに続きます。

 


5曲目「Lester Leaps In」は、レスター・ヤングLester Young)の作品で、編曲はアーニー・ウィルキンス(Ernie Wilkins)が担当したもので、ソロはピアノのパティ・ボウン(Patti Bown)、朴訥な感じでかなり長めのギター・ソロを弾きまくるレス・スパン(Les Spann)、出だしにアンサンブルに煽られながら豪快なソロを吹くテナー・サックスのエリック・ディクソン(Eric Dixon)と続きます。

 


6曲目「Moanin'」は有名なボビー・ティモンズBobby Timmons)の作品で、トランペット・ソロはド派手に吹きまくるのでフレディ・ハバードFreddie Hubbard)と思いきや(笑)、クレジットを眺めると、ベニー・ベイリー(Benny Bailey)でした。まあ、虎だと思ったら「鹿でした!」的な感じですね(笑)。

 


7曲目、冒頭からド派手なサックス・ソリで始まるのこの曲は何じゃ?と思ったらジョージ・ガーシウィン(George Gershwin)の「Summertime」ですね。

 


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ソロはトランペットのベニー・ベイリー(Benny Bailey)、テナー・サックスのエリック・ディクソン(Eric Dixon)で、両者ともかなり気合入っております。

 


8曲目は、ベニー・ゴルソンBenny Golson)の名曲「I Remember Clifford」で、編曲はカウント・ベイシー(Count Basine)の影武者というか代役としても知られるナット・ピアース(Nat Pierce)。

 

トランペットのベニー・ベイリー(Benny Bailey)が、高域を駆使したド派手な感じでテーマ・メロディに続き、ソロを吹きまくっております

 


ややシリアスな雰囲気の9曲目「Ghana」は、アーニー・ウィルキンス(Ernie Wilkins)の作品。

 

ソロはフルートのレス・スパン(Les Spann)、中々良いソロを聴かせるバリトン・サックスのサヒブ・シハブ(Sahib Shihab)、シンプルながらちょっとファンキーな感じでブロック・コードを弾くピアノのパティ・ボウン(Patti Bown)と続きます。

 

 

10曲目「Banja Luka」は、フィル・ウッズPhil Woods)の作品で、「The Great Wide World Of Quincy Jones Live! (Mercury/Nippon Phonogram 195J-32/822 613-2)」より、ややゆったり気味な感じ演奏されております。

 

ソロはまず、白熱気味な会場をクールダウンしてくれそうなテナー・サックスのバド・ジョンソン(Budd Johnson)、続いて高域中心でブローするフレンチホルンのジュリアス・ワトキンス(Julius Watkins)、前半は中域中心で、後半倍速フレーズを交えつつ起伏あるソロを聴かせるトロンボーンカーティス・フラーCurtis Fuller)、そしてピアノのパティ・ボウン(Patti Bown)と続きます。

 


11曲目「Caravan」のソロは、フレンチホルンのジュリアス・ワトキンス(Julius Watkins)。

 


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曲が始まる前にクインシーがMCで告げたように、ポテト・ヴァルデス('Patato' Valdes)のコンガの音がフューチャーというか、前面に押し出されます。

 


穏やかでゆったりとした感じで演奏される12曲目「The Midnight Sun Will Never Set」は、クインシー・ジョーンズQuincy Jones)が書いた作品の中でも比較的知られている曲ですかねえ。メイン・テーマとソロは、アルト・サックスのフィル・ウッズPhil Woods)が吹いております。

 


クインシー・ジョーンズQuincy Jones)のバンド・メンバー紹介を挟んだ後、超アップテンポでド派手に演奏される13曲目「The Birth Of A Band」もクインシー・ジョーンズQuincy Jones)の作品。

 

クレジットにはソロリストは記載されていないものの、まずテナー・バトルがあり、ピアノ、ギター、最後にドラム・ソロという感じで、随所にメンバーのちょっとしたソロが登場します。

 

 

いやー、オリバー・ネルソン(Oliver Nelson)の「Stolen Moments」を演奏してて、かつフレディ・ハバードFreddie Hubbard)の豪快なソロが聴けるという事で、私が高校生時代から長年愛聴していた「The Great Wide World Of Quincy Jones Live! (Mercury/Nippon Phonogram 195J-32/822 613-2)」以上のライブが発掘されるなんて夢の様です。

 

 

 

フレディ・ハバードFreddie Hubbard)が参加した1961年のライブは、もう1枚、パリでの演奏が発売されているみたいなので、後ほど入手予定です・・・いやー、凄い音源が続々発掘されるヨーロッパの放送局に保管される音源が、世に出て来る事を祈るばかりであります。

 

Live in Paris 14.3.1961

Live in Paris 14.3.1961

Amazon

 

 

昔はNHK-FMで「Jazz In Europe」なんてお正月特番がありまして、オランダ放送協会とNHK-FMが「ライブテープの交換」という形式で入手した、ヨーロッパ各地のジャズ・フェスティバルで収録された貴重なライブ音源を毎回6時間位放送してたんですが。

 

私がエアチェックして保管してるもので、レコードやCDで発売されてないものが、かなりの時間分あるので、そろそろ整理再開しないと・・・。

 

 

Quincy Jones - Live In Ludwigshafen 1961
NAXOS Germany GmbH / Jazzhaus JAH-455 [2016] Bigbands Live


01. Air Mail Special (Benny Goodman, Charlie Christian, Jimmy Mundy)  3:52
02. G'wan Train (Patti Bown / arr by Quincy Jones)  6:21
03. Solitude (Duke Ellington / arr by Melba Liston)  2:40
04. Stolen Moments (Oliver Nelson / arr by Quincy Jones)  11:27
05. Lester Leaps In (Lester Young / arr by Ernie Wilkins)  10:45
06. Moanin' (Bobby Timmons / arr by Quincy Jones)  2:57
07. Summertime (George Gershwin / arr by Quincy Jones)  3:09
08. I Remember Clifford (Benny Golson / arr by Nat Pierce)  3:58
09. Ghana (Ernie Wilkins)  4:08
10. Banja Luka (Phil Woods)  9:43
11. Caravan (Juan Tizol)  2:39
12. The Midnight Sun Will Never Set (Quincy Jones)  4:36
13. Quincy Jones Introduces His Orchestra  1:54
14. The Birth Of A Band (Quincy Jones)  6:29

 


Benny Bailey, Freddie Hubbard, Paul Cohen, Rolf Ericson (tp) 
Curtis Fuller, David Baker, Melba Liston, Åke Persson (tb) 
Julius Watkins (french horn) 
Joe Lopes, Phil Woods (as) Budd Johnson, Eric Dixon (ts) 
Sahib Shihab (bs) 
Les Spann (el-g,fl) Patti Bown (p) George Catlett (b) 
Stu Martin (ds) 'Patato' Valdes (congas #11)
Quincy Jones (conductor) 


March 15, 1961 in concert at Ludwigshafen, Pfalzbau by SWR (SWF at the time of the recording).