「Sonny Rollins - Newk's Time (Blue Note) 1957」4000番台のスタートはソニー・ロリンズ
今回はジャズ界の巨人の一人、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)のブルーノート(Blue Note Records)最終作であり、きら星の如き名盤ひしめく4000番台の冒頭を飾るアルバム「Newk's Time (Blue Note BLP-4001)」のご紹介です。
さて、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)率いるブルーノート(Blue Note Records)への録音期間は約1年と短いものでしたが、計4枚のアルバムが録音されました。
最初はソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)本人の希望に従い、ドナルド・バード(Donald Byrd)を相方に据えたクインテット編成による1回目のセッション、「Sonny Rollins Vol. 1 (Blue Note BLP-1542)」を1956年12月16日に録音。
続いて曲によってセロニアス・モンク(Thelonious Monk)をゲストに迎え、「Misterioso」などのモンクの名曲を収録した2回目のセッション、「Sonny Rollins Vol. 2 (Blue Note BLP-1558)」を1957年04月14日に録音。
ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)のソロ・スペースを増やす為か、カルテット編成に縮小し、3回目のセッション、今回ご紹介する「Newk's Time (Blue Note BLP-4001)」を1957年09月22日に録音。
最後にピアノレス・トリオに縮小された4回目のセッションが、1957年11月03日録音に録音された「A Night At The Village Vanguard (Blue Note BLP-1581)」となります。
アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)自身の希望としては、いきなりピアノレス・トリオで録音したいと考えていた様ですが、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の意向に従い、クインテット、カルテット、ピアノレス・トリオと順に録音を行い、その結果として、聴けばご納得していただけると思われますが、いずれもソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)絶頂期の良好な演奏が記録される事となりました。
そんな経緯で、カルテット編成による3回目に行われた1957年09月22日の録音「Newk's Time (Blue Note BLP-4001)」が4枚目のアルバムとして発売された訳ですが。
1500番台の1枚目がマイルス・ディヴィス(Miles Davis)の編集盤である事を考慮するに、4000番台の1枚目としてソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)のスタジオ録音である
「Newk's Time (Blue Note BLP-4001)」を据えたのは、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)が、シャイなソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)に「君が世界で一番のテナーサックス奏者だよ」と、(無言の)賛辞を与えたと考えるのが、妥当かと思われます。
という事で「Newk's Time (Blue Note BLP-4001)」は、豪快かつ奔放に歌心溢れるメロディを吹きまくるソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)を堪能出来る1枚となっております。
バックのピアノ・トリオのメンバーは、ピアノのウイントン・ケリー(Wynton Kelly)、ベースがダグ・ワトキンス(Doug Watkins)、ドラムスがフィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones)という、ハード・バップ期における、これまた最高峰の面子が揃っております。
蛇足ながらソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)はこの頃、マイルス・ディヴィス(Miles Davis)のバンドにも時々、参加していた模様。
では、「Newk's Time (Blue Note BLP-4001)」収録曲の簡単な解説をば。
1曲目がマイルス・ディヴィス(Miles Davis)作曲の「Tune Up」というのも、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)の意図というか遊び心を感じますね。
ソロの冒頭、ドラムスとベースのみをバックに豪快に吹きまくるソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)をお楽しみ下さい。
2曲目は「Asiatic Raes」というタイトル表記ですが、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)が作曲した「Lotus Blossom」の別名です。
フィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones)の煽りまくるドラムを背に受け、負けじと奔放に吹まくるソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)、続くウイントン・ケリー(Wynton Kelly)はその熱気を適度に冷ますかの如く、軽快にスイングして演奏を盛り上げます。
3曲目「Wonderful! Wonderful!」は、軽快にスイングするハードバップといった風情の曲で、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)、ウイントン・ケリー(Wynton Kelly)と文句の付けようがない素敵なソロを聴かせてくれます。
4曲目「飾りのついた四輪馬車(The Surrey With The Fringe On Top)」は、6分半にも及ぶテナー・サックスとドラムとによる、壮絶なるデュオ演奏。
ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)がドラムだけを従え、自由奔放に吹きまくっているのですが、ソロで紡ぎ出されるメロディの何と歌心溢れている事か・・・フィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones)も心なしか、ロリンズの気迫に押され気味である様に感じられます。
5曲目「Blues For Philly Joe」は、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の自作曲で、4曲目「飾りのついた四輪馬車」の壮絶なる演奏を聴いた後に、この曲を聴くとほっと一息つける気がします(笑)。
ユーモア溢れ明るい雰囲気がするソロが続きます。
アルバム最後となる6曲目「Namely You」は、ゆったりとした雰囲気漂う曲。
そこはかとなく牧歌的な感じは、アルバム「Way Out West (Contemporary C3530)」に似てますね。
Sonny Rollins - Newk's Time (RVG)
Blue Note BST-84001 / 東芝EMI TOCJ-9501 [2003.06.25] 24 Bit By RVG
side 1 (A)
01. Tune Up (Miles Davis) 5:45
02. Asiatic Raes (Kenny Dorham) 5:57
03. Wonderful! Wonderful! (Raleigh, Edwards) 6:00
side 2 (B)
04. The Surrey With The Fringe On Top (Rodgers-Hammerstein) 6:32
05. Blues For Philly Joe (Sonny Rollins) 6:44
06. Namely You (DePaul, Mercer) 3:18
Sonny Rollins (ts) Wynton Kelly (p #1-3,5,6)
Doug Watkins (b #1-3,5,6) Philly Joe Jones (ds)
September 22, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.