1950年代前半からチャーリー・パーカー(Charlie Parker)直系のアルトサックス奏者として頭角を現したルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)。
1950年代後半にはソウルフルでファンキーな路線にシフトし、ピアノのハーマン・フォスター(Herman Foster)、コンガのレイ・バレット(Ray Barretto)らと共に録音した「Blues Walk (Blue Note BST-81593)」が大ヒットを記録しております。
そんなルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)のブルーノート(Blue Note Records)4000番台における最初のアルバムが1959年02月18日録音の「LD+3 (Blue Note BST-84012)」。
ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)が、オルガンのジミー・スミス(Jimmy Smith)をリーダーとする数多のジャムセッションで、ソウル系ミュージシャンとの共演を聴いたアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)は、相性の良さを見出したのでしょう・・・。
それならば、という事で・・・「LD+3 (Blue Note BST-84012)」では、ソウル系ミュージシャンで当時、ブルーノートの稼ぎ頭となりつつあった人気ピアノ・トリオ「スリー・サウンズ(The Three Sounds)」を、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)のバックに起用。
その結果、両者の特性が存分に生かされた、ソウル・ファンキー路線の傑作アルバムが誕生したという訳です。
ちなみに「スリー・サウンズ(The Three Sounds)」は、ピアノのジーン・ハリス(Gene Harris)、ベースのアンドリュー・シンプキン(Andrew Simpkins)、ドラムスのビル・ダウディ(Bill Dowdy)の3名からなるユニットで当初、サックス入りのカルテット「4 Sounds」で活動していたものの、サックス奏者を中々固定出来なかった為に、トリオ編成によるユニットになった経緯があったりします。
アナログレコードの「LD+3 (Blue Note BST-84012)」裏ジャケットには、「スリー・サウンズ(The Three Sounds)」の3人が、しっかり掲載されていますね。
「金太郎飴」と表現される事もある「スリー・サウンズ(The Three Sounds)」の絶対的に安定した演奏に、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)直系のビバップ奏法を会得し、ソウル風味を付け加えた演奏で人気を得たルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)が加わる事で、唯一無比で安定した楽しい演奏が繰り広げられております。
さて、1曲目アップテンポで演奏される「Three Little Words」では、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)、スリー・サウンズ(The Three Sounds)ともに好調で、ソウル風味満点のハードバップといった仕上がりの演奏が繰り広げられております。
2曲目「Smooth Groove」は、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)の自作曲であり、「Blues Walk」の続編的な匂いのするブルース・ナンバーです。
ご機嫌なビバップ・フレーズを連発するルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)に続き、アンドリュー・シンプキン(Andrew Simpkins)のベース・ソロ、ジーン・ハリス(Gene Harris)極めつけのファンキーなソロと続きますが、このメンバーで、こういう曲を演奏されたら、黙ってひたすら拝聴するしかないですね。
アップテンポ気味に演奏される3曲目「Just Friends」は、ビバップの香りは残しつつ、
ソウル方面の味付け濃厚な演奏に仕上がっております。
ソウル風味強いバラッドで演奏される4曲目「Blue Moon」では、野太い音でビバップ・フレーズを軽快に奏でるルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)、ブロック・コードを多用したきらびやかなでわくわくするソロを聴かせるジーン・ハリス(Gene Harris)と、「金太郎飴」と表現される事もある、ブレのない安定した演奏を聴く事が出来ます。
軽快でアップテンポで演奏される5曲目「Jump Up」は、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)の自作曲で、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)、アンドリュー・シンプキン(Andrew Simpkins)、ジーン・ハリス(Gene Harris)、そして再びルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)と、ブレなき安定のソロ・リレーが繰り広げられます。
6曲目「Don't Take Your Love from Me」では、冒頭からルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)の泣きのサックスが炸裂(笑)、そこにスリー・サウンズ(The Three Sounds)の明るくファンキーなバッキングとソロが絶妙に絡みいていきます。
7曲目「Confirmation」はビバップ奏法の始祖、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)が書いた有名曲。
余裕たっぷりに吹きまくるルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)に続き、ジーン・ハリス(Gene Harris)、アンドリュー・シンプキン(Andrew Simpkins)の後、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)とドラムスのビル・ダウディ(Bill Dowdy)によるソロ交換を経て再び、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)が吹きまくります。
ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)とスリー・サウンズ(The Three Sounds)による、安定した隙なき演奏は、まさに名人芸の域に達してますね・・・「LD+3 (Blue Note BST-84012)」はブルーノート(Blue Note Records)4000番台屈指とも言える、ソウル・ファンキー路線の傑作でございます。
Lou Donaldson with The 3 Sounds – LD+3 (RVG)
Blue Note BST-84012 / 東芝EMI TOCJ-7155 [2008.10.22]
side 1 (A)
01. Three Little Words (Bert Kalmar, Harry Ruby) 6:20
02. Smooth Groove (Lou Donaldson) 5:51
03. Just Friends (John Klenner, Lewis) 5:11
04. Blue Moon (Hart, Rodgers) 3:05
side 2 (B)
05. Jump Up (Lou Donaldson) 6:34
06. Don't Take Your Love from Me (Henry Nemo) 5:49
07. Confirmation (Charlie Parker) 5:34
Lou Donaldson (as) Gene Harris (p) Andrew Simpkins (b) Bill Dowdy (ds)
February 18, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
最後にルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)関連で以前紹介したアルバムへのリンクも貼っておきます。