ホレス・シルヴァー(Horace Silver)脱退後のジャズ・メッセンジャーズ(The Jazz Messengers)は、ブルーノートのオーナー、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)が録音を控えるほど、タガが緩んでおりました。
そんなバンドの再建を引き受けたのが、作編曲家でテナーサックス奏者のベニー・ゴルソン(Benny Golson)。
ディジー・ガレスピー(Dizzy Giollespie)楽団で共演したトランペット奏者、リー・モーガン(Lee Morgan)らをバンドに迎え入れ、1958年10月30日に録音した「Art Blakey And The Jazz Messengers - Moanin' (Blue Note BLP-4003)」が世界的な大ヒットを記録。
1958年11月末から12月にかけ巡った欧州各地で熱狂的な歓迎と、数々の名ライブ録音を残す事になります。
Art Blakey's Jazz Messengers - 1958-Paris Olympia (Fontana 680 202 ML)
Art Blakey Et Les Jazz-Messengers Au Club St. Germain Vol. 1-3 (RCA 430.043-430.045)
世界的な人気に火がついたアート・ブレイキー(Art Blakey)率いるジャズ・メッセンジャーズ(The Jazz Messengers)ですが、当初の予定通りベニー・ゴルソン(Benny Golson)が脱退します。
翌年の1959年03月08日には、ハンク・モブレー(Hank Mobley)に入れ替わったバンドで「Just Coolin'」、「Hipsippy Blues」、「M&M」といった、ハンク・モブレー(Hank Mobley)の作品をスタジオ録音するものの、2020年に「Art Blakey and The Jazz Messengers - Just Coolin' (Blue Note ST-64102)」として発売されるまでお蔵入り。
そんな流れで1959年04月15日、スタジオ録音したもののお蔵入りした楽曲を含む新曲を多数携え、お馴染みのバードランド(Birdland)でライブ録音されたのが「At The Jazz Corner Of The World Vol. 1 (Blue Note BST-84015)」です。
※裏ジャケットの画像は「discogs」からお借りしました。
ドラマーのアート・ブレイキー(Art Blakey)率いるジャズ・メッセンジャーズ(The Jazz Messengers)のメンバーは、トランペットのリー・モーガン(Lee Morgan)、お久しぶりなテナーサックスのハンク・モブレー(Hank Mobley)、ピアノのボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)、ベースのジミー・メリット(Jymie Merritt)です。
バンドメンバーのウォーミングをかすかに聴こえる中、ピー・ウィー・マーケット(Pee Wee Marquette)の甲高いアナウンスが流れた後、始まるのがハンク・モブレー(Hank Mobley)の作品「Hipsippy Blues」で、この曲はジュークボックス向けのシングル盤「Hipsippy Blues Parts 1 & 2 (Blue Note 45-1786)」としても発売された模様。
大名曲「Moanin'」に近いリズムパターンで、ファンキーかつ哀愁のハードバップといった感じの曲調がたまらないですね。
ハンク・モブレー(Hank Mobley)、リー・モーガン(Lee Morgan)、ボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)と文句なしのソロの後、ボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)のソロに被さるようにフロント陣のバック・リフが登場したりと、最後まで飽きさせない演出もよろしいです。
アート・ブレイキー(Art Blakey)が長めのドラム・ソロを叩いた後聴こえてくるのが、セロニアス・モンク(Thelonious Monk)が書いた「Justice」。
ぎこちない感じのテーマの後、いきなり全力疾走といった感じでソロを吹き始めるリー・モーガン(Lee Morgan)がいいですね。
その後はハンク・モブレー(Hank Mobley)、ボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)、ジミー・メリット(Jymie Merritt)、アート・ブレイキー(Art Blakey)と息をつかせぬソロが続きます。
「The Theme」は各セットの終演時に演奏されたものでしょう、短めの演奏ですがボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)がソロを弾く中、フロント2人による魅力的なバック・リフが次々と繰り出されます。
アナログレコードではB面にあたる冒頭はアート・ブレイキー(Art Blakey)のアナウンスで、その後始まるのが、これまた哀愁漂うハードバップ風味の「Close Your Eyes」で、ジュークボックス向けのシングル盤「Close Your Eyes Parts 1 & 2 (Blue Note 45-1787)」としても発売された様です。
この手の曲調でリー・モーガン(Lee Morgan)にソロを吹かせたら無敵(笑)で、続くちょっと固めの音色でハードボイルドなソロを吹くハンク・モブレー(Hank Mobley)も中々良いです。
ファンキーなボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)、ジミー・メリット(Jymie Merritt)とソロが続いた後、バック・リフを挟んでテーマに戻ります。
アート・ブレイキー(Art Blakey)のアナウンスの後、始まるのがハンク・モブレー(Hank Mobley)作曲の「Just Coolin'」で、「Moanin' (Blue Note BLP-4003)」収録の「Are You Real」に近い明るめのハードバップといった感じの曲調です。
ハンク・モブレー(Hank Mobley)、リー・モーガン(Lee Morgan)、ボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)と軽快なソロリレーが続いた後、ちょっと複雑なセカンド・リフを挟み再び短いリー・モーガン(Lee Morgan)とハンク・モブレー(Hank Mobley)のソロを聴く事が出来ます。
ステレオ盤にはジャケットそのままで、金色の「STEREO」シールが貼られていた様です。
Art Blakey and The Jazz Messengers - At The Jazz Corner Of The World Vol. 1 (RVG)
Blue Note BST-84015 / 東芝EMI TOCJ-9207 [2000.07.26]
side 1 (A)
01. Announcement By Pee Wee Marquette 0:39
02. Hipsippy Blues (Hank Mobley) 8:46
03. Justice (Thelonious Monk) 7:37
04. The Theme 2:22
side 2 (B)
05. Announcement By Art Blakey 0:26
06. Close Your Eyes (Bernice Petkere) 10:37
07. Announcement By Art Blakey 0:20
08. Just Coolin' (Hank Mobley) 7:47
Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) Bobby Timmons (p)
Jymie Merritt (b) Art Blakey (ds) Pee Wee Marquette (ann)
April 15, 1959 at Birdland, NYC.