John Coltrane - Dakar (Prestige) 1957
1957年04月20日に録音されたジョン・コルトレーン(John Coltrane)をリーダーとする
アルバム「Dakar (Prestige PRLP-7280)」は後述の通りコルトレーンの存在は薄く、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)の圧倒的な存在感が光る1枚です。
という訳で、「Dakar (Prestige PRLP-7280)」は、2人のバリトン・サックス奏者、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)とセシル・ベイン(Cecil Payne)を加えた、かなり珍しい重低音3管編成。
バックを務めるピアノ・トリオには、ピアノのマル・ウォルドロン(Mal Waldron)、ベースのダグ・ワトキンス(Doug Watkins)、ドラムスのアート・テイラー(Art Taylor)という、それぞれリーダー級のミュージシャンが据えられ、テナーサックスとバリトン・サックス2管という変わった3管編成が、ソロにアンサンブルに暴れまくっております(笑)。
ちなみに、テナーサックスに近いバリトン・サックスを吹いているのが、セシル・ベイン(Cecil Payne)で、演奏仲間から「ナイフ」とあだ名されたほど切れ味鋭いゴリゴリとした感触のバリトン・サックスを吹いているのが、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)です。
また全6曲中、3曲がヴィヴラフォン奏者でもあるテディー・チャールズ(Teddy Charles)の作品である事から、テディー・チャールズが何らかの形でこのアルバム企画に関わっているかもしれません。
アルバムを最後まで聴き通すと、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)の切れ味鋭いバリトン・サックスの音色しか耳に残らない感じがするので、バリトン・サックス好きにはたまらないアルバムだと思われますが(私含む)。
ジョン・コルトレーン(John Coltrane)のファンにとっては「庇を貸して母屋を取られる」的なアルバムではないかと、思ったりします(笑)。
さて、1曲目「Dakar」は、テディー・チャールズ(Teddy Charles)の作品。
ドスが利いた重厚なAパートアンサンブルから、軽快にスイングする哀愁漂うBパートを挟むこの曲、案外、日本人好みなのでは・・・と思ったりします。
ジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)よりのソフト気味なソロを吹くセシル・ベイン(Cecil Payne)、いつも通り我が道を突き進むジョン・コルトレーン(John Coltrane)に続き、ドスの利いた切れ味鋭いフレーズで攻めるペッパー・アダムス(Pepper Adams)が登場します。
ペッパー・アダムスの切れ味鋭いソロの後登場するマル・ウォルドロン(Mal Waldron)もフロントに影響されてか、いつになく高揚感溢れるソロを聴かせてくれます。
2曲目「Mary's Blues」は、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)が書いた、リズムがハネ気味で、ファンキー風味満載なブルース。
ペッパー・アダムス(Pepper Adams)、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)、セシル・ベイン(Cecil Payne)とフロントのソロが終わりアンサンブル(セカンド・テーマ)を挟んだ後、マル・ウォルドロン(Mal Waldron)のソロとなります。
その後、フロント3人よる4小節ソロ交換に突入しますが、これも中々迫力満点です。
3曲目「Route 4」は、1曲目に続くテディー・チャールズ(Teddy Charles)の作品。
アップテンポな演奏で、前の2曲と対比をなすように、クールで知的な雰囲気漂う演奏となっておりますが、テンポアップなためか、フロント3人のソロ演奏に必要以上に熱が帯びてますね。
4曲目「Velvet Scene」は、マル・ウォルドロン(Mal Waldron)の書いた、スローテンポ気味なバラッド。
ジョン・コルトレーン(John Coltrane)がメインテーマを吹いて、2人のバリトン奏者がアンサンブルに終始するという構成は、正解だと思ったりしますし、バラッド演奏でも、ドスが利いたソロを展開するペッパー・アダムス(Pepper Adams)が、最大の聴き処だと思います(笑)。
5曲目「Witches Pit」は、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)が書いた、豪快かつアップテンポな曲。
ジョン・コルトレーン(John Coltrane)、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)、マル・ウォルドロン(Mal Waldron)、セシル・ベイン(Cecil Payne)と、魅力的なソロが続きます。
6曲目「Cat Walk」は、テディー・チャールズ(Teddy Charles)の作品。
ややゆったりとしたファンク風味の演奏にのり、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)、セシル・ベイン(Cecil Payne)、マル・ウォルドロン(Mal Waldron)の順で、各人の個性光るソロが続いていきます。
なお、別仕様の配色をしたジャケットもあるようなので、参考までに掲載しておきます。
John Coltrane - Dakar
Prestige PRLP-7280 / Victor Entertainment VICJ-2122 [1996.09.28]
Masters Of Jazz - The History Series – 25
side 1 (A)
01. Dakar (Teddy Charles) 7:09
02. Mary's Blues (Pepper Adams) 6:46
03. Route 4 (Teddy Charles) 6:54
side 2 (B)
04. Velvet Scene (Mal Waldron) 4:52
05. Witches Pit (Pepper Adams) 6:41
06. Cat Walk (Teddy Charles) 7:12
John Coltrane (ts) Pepper Adams (bs) Cecil Payne (bs) Mal Waldron (p)
Doug Watkins (b) Art Taylor (ds)
April 20, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.