ジョン・コルトレーン(John Coltrane)をリーダーとし、1958年01月10日の録音と、1958年12月26日の録音から拾遺されたアルバムが「The Believer (Prestige PRLP-7292)」です。
いずれの録音もピアノのレッド・ガーランド(Red Garland)、ベースのポール・チェンバース(Paul Chambers)を含む、ハード・バップ時代の典型的なクインテット編成となっております。
マイルス・デイヴィス(Miles Davis)のバンドに復帰した時期に当たる1958年01月10日の録音には、フロントの相方としてドナルド・バード(Donald Byrd)が加わっております。
セロニアス・モンク(Thelonious Monk)とファイブ・スポットで伝説のライブを繰り広げた後に当たる1958年12月26日の録音には、フレディ・ハバード(Freddy Hubbard)が加わり、いずれの録音もハードバップ時代を代表するトランペッターが、フロントの相方として起用されておりますね。
ここに天才トランペッターとして名高いリー・モーガン(Lee Morgan)が居れば完璧なんですが、契約上の関係で起用出来ないんでしょう・・・残念ではありますが、このアルバムでは寝技的な感じで、リー・モーガンが絡んでくるのが面白かったりします。
さて、1曲目と2曲目は、1958年01月10日の録音です。
トランペットのドナルド・バード(Donald Byrd)、ピアノのレッド・ガーランド(Red Garland)、ベースのポール・チェンバース(Paul Chambers)、ドラムスのルイス・ヘイズ(Louis Hayes)というクインテット編成。
1曲目「The Believer」は、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)が書いた3拍子の曲。
レッド・ガーランド(Red Garland)の力強いバッキング・イントロに続き、超シンプルなテーマが二管で奏でられます。
ドナルド・バード(Donald Byrd)の落ち着いた感じなソロの後、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)の、「少しは落ち着けよ(笑)」と突込みしたくなる程の、高速フレーズ連なるソロとなります。
その後、レッド・ガーランド(Red Garland)、ポール・チェンバース(Paul Chambers)とツボを心得たソロが続きます。
2曲目「Nakatini Serenade」は、カル・マッセイ(Cal Massey)の作品。
何処かで聴いた事のあるメロディだなあ・・・と思えば、微妙にタイトルが異なりますがリー・モーガン(Lee Morgan)のアルバム「Leeway (Blue Note BST-84034)」の4曲目に収録された「Nakatini Suite (Calvin Massey) 」と、同じ曲の様ですね・・・。
ただ、リー・モーガン(Lee Morgan)のバージョンよりややテンポが速く、ハードな演奏ではあります。
しっかし、このセッションでは、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)がジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)並みの早吹きなソロを聴かせておりますが、「そんなに急いで何処行くの」的な感じですが、ドラムスのルイス・ヘイズ(Louis Hayes)が相当に煽っていたんでしょうかねえ(笑)。
高域を上手く駆使するドナルド・バード(Donald Byrd)、スインギーなシングル・トーンでクールに攻めるレッド・ガーランド(Red Garland)と素敵なソロ・リレーが続きます。
3曲目は、1958年12月26日の録音です。
トランペットのフレディ・ハバード(Freddy Hubbard)、ピアノのレッド・ガーランド(Red Garland)、ベースのポール・チェンバース(Paul Chambers)、ドラムスのアート・テイラー(Art Taylor)というクインテット編成。
3曲目「Do I Love You Because You're Beautiful」は、ゆったりとしたバラッド風味の演奏です。
ジョン・コルトレーン(John Coltrane)、レッド・ガーランド(Red Garland)、フレディ・ハバード(Freddy Hubbard)と比較的落ち着いていて優雅なソロが続きます。
John Coltrane - The Believer
Prestige PRLP-7292 / Victor Entertainment VICJ-2151 [1996.11.27]
side 1 (A)
01. The Believer (John Coltrane) 13:49
side 2 (B)
02. Nakatini Serenade (Cal Massey) 11:03
03. Do I Love You Because You're Beautiful (Rodgers & Hammerstein) 5:12
#01,02 January 10, 1958 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Donald Byrd (tp) John Coltrane (ts) Red Garland (p) Paul Chambers (b) Louis Hayes (ds)
#03 December 26, 1958 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Freddy Hubbard (tp) John Coltrane (ts) Red Garland (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)
因みに1958年01月10日録音の演奏は、「Lush Life (Prestige PRLP-7188)」「The Last Trane (Prestige PR-7378)」にも収録されております。
また、1958年12月26日録音の演奏は、「Stardust (Prestige PRLP-7268)」「Bahia (Prestige PR-7353)」にも収録されております。
ジョン・コルトレーン(John Coltrane)のリーダー作でご紹介済みなものを、以下に適度に貼り付けておきます。