若手のジョン・コルトレーン(John Coltrane)とベテラン、ポール・クイニシェット(Paul Quinichette)というスタイルの異なるテナー奏者の双頭リーダー・アルバムが「Cattin' with Coltrane ahd Quinichette (Prestige PRLP-7158)」です。
ちなみにポール・クイニシェット(Paul Quinichette)は、13歳の頃に指導を受けた「大統領」のニックネームでも知られるレスター・ヤング(Lester Young)スタイルのテナー奏者であったため、「副大統領」のニックネームで親しまれていたそうです。
バックを支えるピアノ・トリオのメンバーは、ピアノのマル・ウォルドロン(Mal Waldron)、ベースのジュリアン・ユール(Julian Euell)、ドラムスのエド・シグペン(Ed Thigpen)です。
ブルースのコード進行で作られた1曲目「Cattin'」は、マル・ウォルドロン(Mal Waldron)の作品。
無骨なジョン・コルトレーン(John Coltrane)に続く、優雅なポール・クイニシェット(Paul Quinichette)のテナー・ソロは、時代性や演奏スタイルは違えど素晴らしいと思います。
2曲目「Sunday」は、フロントの両者とも最初はポール・クイニシェット寄りの大人しめの演奏だったにも関わらず、後半にはコルトレーン寄りの白熱したテナー・バトルとなり、その落差が面白かったりします。
3曲目「Exactly Like You」 は、優雅なポール・クイニシェットのテナー・ソロが一層引き立つ、ゆったりとした歌モノであり、コルトレーンはお休みです。
4曲目「Anatomy」はマル・ウォルドロン(Mal Waldron)の作品ですが、これまたゆったりとした曲調で、テナーサックスによる低音アンサンブルが心地よいです。
ソロ最初に登場するジョン・コルトレーンが少し苦めのソロを聴かせてくれますけど、ソロのバッキングを追ってると、この曲のコード進行が「All The Things You Are」を元に作られているのが分かった途端、苦笑いがこみあげてきました(笑)。
5曲目「Vodka」も、4曲目に続きマル・ウォルドロン(Mal Waldron)の作品ですが、哀愁漂う感じは、こういう曲調を好むハードバップ好きな日本人には刺さると思います。
いわゆる「シーツ・オブ・サウンド」で音を連ねていくジョン・コルトレーンの独断場といった感じですが、続くポール・クイニシェットのソフトなソロも中々・・・。
CDのボーナス・トラックとして6曲目に「Tea For Two」が収録されておりますが、こういう歌モノは、ポール・クイニシェット向け、という事でコルトレーンはお休み。
蛇足ですが、プレステッジ(Prestige Records)は再発の時に、タイトルやジャケットの色を変えてきたりするので、どれがオリジナル盤なのか、分からなくなりますね・・・。
John Coltrane & Paul Quinichette - Cattin' with Coltrane ahd Quinichette +1
Prestige PRLP-7158 / Victor Entertainment VICJ-2125 [1996.09.28]
side 1 (A)
01. Cattin' (Mal Waldron) 7:21
02. Sunday (Stein, Miller) 7:01
03. Exactly Like You (Jimmy McHugh) 6:48
side 2 (B)
04. Anatomy (Mal Waldron) 8:52
05. Vodka (Mal Waldron) 9:06
CD Bonus Track
06. Tea For Two (Caesar, Youmans) 8:07
John Coltrane (ts #1,2,4,5) Paul Quinichette (ts) Mal Waldron (p) Julian Euell (b) Ed Thigpen (ds)
May 17, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.