ファッツ・ナバロ（Fats Navarro）との共演、クリフォード・ブラウン（Clifford Borwn）への作編曲の提供など、トランペット好きには外せないピアニスト兼作編家であるタッド・ダメロン（Tadd Dameron）。
そんなタッド・ダメロンが、テナーサックスの巨人ジョン・コルトレーン（John Coltrane）と共演したのが、1956年に録音されたアルバム「Tadd Dameron with John Coltrane - Mating Call (Prestige PRLP-7070) 」です。
黄色に着色された「鳥さん達の群れ」が写る、抽象的というか茫漠としたジャケットから、アルバム内容が推測出来ないのが、まあ、プレステッジ（Prestige Records）らしいといえば、らしいのですが・・・アーティストが写るジャケットに替えて欲しいよね（笑）。
何度か再発された時に、アーティストが写るジャケットもあるようですが、デザインが（以下省略）。
あの怒らせると怖いマイルス・ディヴィス（Miles Davis）と共演している時でさえ、自由気ままに吹きまくるジョン・コルトレーンですが。
「Tadd Dameron with John Coltrane - Mating Call (Prestige PRLP-7070) 」では、主役のタッド・ダメロンに合わせ、メロディアスな演奏に終始してます。
まあ、ジョン・コルトレーンの抑え気味な演奏の方が、私は好きだったりします。
この時期のジョン・コルトレーンは、マイルス・ディヴィス（Miles Davis）に入り目覚ましい成長を遂げるものの、麻薬の摂取が演奏にも悪影響を及ぼし始めたためバンドをクビになり、義憤に駆られたセロニアス・モンク（Thelonious Monk）が、自身のバンドにジョン・コルトレーンを加えます。
この時、セロニアス・モンクに「テナーサックスで和音が吹けるか？」という一見無謀な質問して、「出来る」と回答されたエピソードが、一番有名な話でしょうかねえ。
しかしセロニアス・モンク（Thelonious Monk）やタッド・ダメロンなど、作編曲出来るピアニストと共演する時のジョン・コルトレーンは、いつも以上にリラックスして演奏しているように思えます。
ついでにタッド・ダメロン（Tadd Dameron）もジョン・コルトレーン同様、麻薬の虜になっていたみたいですけど、タッド・ダメロンが日本では「玄人しか知らない」的な存在なので、麻薬常習癖とかに関連した話は、あんまり見かけないですね。
重度のジャンキーであったチェット・ベイカー（Chet Baker）の評伝に、タッド・ダメロン（Tadd Dameron）が、とあるプロモーターの食い物にされていた悲しい話が出てきますが、その話はまたの機会にでも。
横道に逸れまくってしまいましたが、そろそろ「Tadd Dameron with John Coltrane - Mating Call (Prestige PRLP-7070) 」の話に戻します。
１曲目「Mating Call」は、ビックバンドのアンサンブルの如き曲の展開が、如何にもダメロンらしい１曲。
ビバップ調の軽快な２曲目「Gnid」では、ジョン・コルトレーンがやや抑え目ながら快調に吹き切っております。
美しいピアノのイントロから始まるバラッドの３曲目「Soultrane」、これはジョン・コルトレーンと演奏するために書き下ろされた曲でしょうね。
この曲はジョン・コルトレーンのインパルス時代の超名盤「Ballads」に収録されても、違和感無いです。
後半はミディアム・テンポの４曲目「On A Misty Night」、ファンキーなブルースの５曲目「Romas」と続きます。
アップテンポの６曲目「Super-Jet」では、フィリー・ジョー・ジョーンズに煽られ、ジョン・コルトレーンらしい豪快な演奏を聴かせてくれます。
再発時に「鳥さん達の群れ」というコンセプトは同じながら、モノクロの別ジャケット（PRST-7247）に差し替えられたようなので、掲載しておきます。
※「Discogs」からお借りしました。
Tadd Dameron with John Coltrane - Mating Call
Prestige PRLP-7070 / Victor Entertainment VICJ-60425 [1999.11.20]
side 1 (A)
01. Mating Call (Tadd Dameron) 5:34
02. Gnid (Tadd Dameron) 5:07
03. Soultrane (Tadd Dameron) 5:22
side 2 (B)
04. On A Misty Night (Tadd Dameron) 6:20
05. Romas (Tadd Dameron) 6:51
06. Super-Jet (Tadd Dameron) 5:53
John Coltrane (ts) Tadd Dameron (p) John Simmons (b) Philly Joe Jones (ds)
November 30, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
