加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Thad Jones - Detroit-New York Junction (Blue Note) 1956」デトロイト人脈を従えたブルーノート第1弾

最晩年にカウント・ベイシーCount Basie)楽団を率いるなど、ビックバンド界隈での活躍が目立つ、トランペット奏者であり作編曲もこなすマルチプレイヤーで、デトロイト出身のサド・ジョーンズThad Jones)。

 

サド・ジョーンズThad Jones)は自作曲携え、ブルーノート(Blue Note Records)にコンボ編成のアルバムを何枚か残しておりますが、第1弾となるのがこの「Detroit-New York Junction (Blue Note BLP-1513)」です。

 

「Thad Jones - Detroit-New York Junction (Blue Note) 1956」デトロイト人脈を従えたブルーノート第1弾

ギターのケニー・バレルKenny Burrell)、ピアノのトミー・フラナガンTommy Flanagan)らデトロイト出身の豪華メンバーを揃え、その他、テナーサックスのビリー・ミッチェル(Billy Mitchell)、ベースのオスカー・ペティフォード(Oscar Pettiford)、ドラムスのシャドウ・ウィルソン(Shadow Wilson)というメンバーが顔を揃えております。

デトロイト出身のメンバーが3名も居るので「Detroit-New York Junction」なんてタイトル付けたんでしょうね。

 

ブルーノート(Blue Note Records)のオーナー、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)も切望していたと思われますが、こんな感じのコンボ編成の録音、もっと残して欲しかったなあ・・・。

 

デトロイト出身のサド・ジョーンズThad Jones)は、ジャズ界隈で有名な「ジョーンズ3兄弟」の真ん中なんだそうです。

 

兄は端正なピアニストのハンク・ジョーンズHank Jones)、弟はポリリズムの権化(笑)、ドラマーのエルヴィン・ジョーンズElvin Jones)ですね。

 

作編曲もこなすサド・ジョーンズThad Jones)を他のブルーノート録音で例えると・・・トランぺッターのファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)とピアニストのタッド・ダメロンTadd Dameron)による名コンビを「一人で兼ねている」感じですか。

 

ザ・ファビュラス・ファッツ・ナヴァロ Vol.1

 

とりあえずアルバム「The Fabulous Fats Navarro(BLP-1531/1532)」を参照下さい。

シャドウ・ウィルソン(Shadow Wilson)が参加する1947年9月の録音を聴けば、ご納得いただけるかと思われます。

 

ついでに。

「Detroit-New York Junction (Blue Note BLP-1513)」と同時期の録音に、サド・ジョーンズThad Jones)が当時在籍していた、カウント・ベイシー楽団の大名盤「Count Basie - April In Paris (Verve V6-8012)」があったりします。

エイプリル・イン・パリ

エイプリル・イン・パリ

Amazon

 

表題曲「April In Paris」は、後にコンボ作品でも録音しておりますね。

 

ザ・マグニフィセント

ザ・マグニフィセント

Amazon

 

さて、ブルーノート(Blue Note Record)第1弾である、「Detroit-New York Junction (Blue Note BLP-1513)」に話を戻します。

 

1曲目「Blue Room」は、ゆったりとしたテンポで演奏される寛いだ曲。

 


www.youtube.com


サド・ジョーンズのふくよかなトランペットの音色に癒されます・・・・。

 

2曲目「Tariff」は、アップテンポの歯切れ良い曲。


3曲目「Little Girl Blue」は、ケニー・バレル(g)とオスカー・ペティフォード(b)だけをバックに演奏されるバラッド。

 


www.youtube.com

サド・ジョーンズの奏でる暖かなトランペットの音色と、ケニー・バレルのギターがうまくブレンドされてます。

 

4曲目「Scratch」は、ビック・バンド風の落ち着いた感じの曲。

ソロ最初に登場するサド・ジョーンズ、最初から16分音符を多用したファッツ・ナバロを連想させるモダンなフレーズを聴かせてくれます。

 

5曲目「Zec」は、アップテンポのうきうきするような1曲であり、ファッツ・ナバロ(Fats Navarro)直系のモダンなフレーズをお楽しみいただけます。

 


www.youtube.com


節々に、ファッツ・ナバロそっくりのフレーズが登場するのが、ファンには嬉しい所。

そういう視点で聴いていると、リズム隊のバッキングがだんだん、タッド・ダメロンTadd Dameron)バンドの様に聴こえてくるのが、何とも不思議だったりします。

 

 

Thad Jones - Detroit-New York Junction (RVG)
Blue Note BLP-1513 / 東芝EMI TOCJ-9127 [1999.08.25]

side 1 (A)
01. Blue Room (Thad Jones)  6:49
02. Tarriff (Thad Jones)  5:33
03. Little Girl Blue (Rodgers-Hart)  2:51

side 2 (B)
04. Scratch (Thad Jones)  10:30
05. Zec (Thad Jones)  8:46


Thad Jones (tp) Billy Mitchell (ts omit #3) Tommy Flanagan (p omit #3) 
Kenny Burrell (g) Oscar Pettiford (b) Shadow Wilson (ds omit #3)

[March 13, 1956 at Audio-Video Studios, NYC.

 

デトロイト・ニューヨーク・ジャンクション

デトロイト・ニューヨーク・ジャンクション

Amazon
Detroit-New York Junction