加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Bennie Green - Soul Stirrin' (Blue Note) 1958」ほのぼのハード・バップ風味なアルバム

ブルーノート(Blue Note Records)4000番台の紹介を進めているのですが・・・。

 

次回紹介予定の「Walkin' & Talkin' (Blue Note BST-84010)」を聴き始めたら、1500番台の最後の方で紹介し損ねた、トロンボーン奏者ベニー・グリーン(Bennie Green)がリーダーの、ブルーノート2枚目となるアルバムがあった事、思い出しました(笑)。

 

「Bennie Green - Soul Stirrin (Blue Note) 1958」ほのぼのハード・バップ風味なアルバム

 

それは、ブルーノート(Blue Note Records)のハウス・ピアニストだったピアノのソニー・クラークSonny Clark)と、ドラムスのエルヴィン・ジョーンズElvin Jones)が
参加している事から比較的、CD再発頻度高めで、のほほんとしたベニー・グリーン(Bennie Green)のアルバム中、最もハード・バップ寄りのアルバム「Soul Stirrin' (Blue Note BST-81599)」です。

 


さて、トロンボーン界期待の新人で引っ張りだこであったカーティス・フラーCurtis Fuller)が、残念ながら他のレコード会社に移籍してしまったブルーノート(Blue Note Records)。

 

そんな状況でブルーノート(Blue Note Records)に登場したのが、ハード・バップ・ジャズとは対極にある、ほのぼのムード満点で、典型的なトロンボーン奏者だとも言えるベニー・グリーン(Bennie Green)です。

 

またアルバム「Soul Stirrin' (Blue Note BST-81599)」は、ビバップ時代から活躍するヴォーカルのバブズ・ゴンザレス(Babs Gonzales)が参加する事で、ビ・バップの香りが充満する部分がある随所にある事から自分なりに表現してみると、「ビ・バップ風味強いほのぼのハード・バップ」なアルバムだな、と思う訳で・・・。

 

「Jug」の変名で「Boss Tenor」と称賛されるテナー・サックス奏者、ジーン・アモンズ(Gene Ammons as Jug)が参加しているのが嬉しいですね。

 

その他のメンバーは、これまた珍しいテナー・サックスのビリー・ルート(Billy Root)、ベースのアイク・イザック(Ike Isaacs)という、ブルーノートとしてはかなり珍しいメンバー構成となっております。

 

 

さて、「Soul Stirrin' (Blue Note BST-81599)」の収録曲を、簡単に。


1曲目「Soul Stirrin'」は、バブズ・ゴンザレス(Babs Gonzales)からの提供曲であり、
CDではボーナス・トラックとして7曲目に、「Soul Stirrin' [mono take]」が収録されており、シングル盤「Bennie Green - Soul Stirrin' / That's All (Blue Note 45-1708)」としても発売されている模様。

 


www.youtube.com

 

ベニー・グリーン(Bennie Green)とバブズ・ゴンザレス(Babs Gonzales)2人によるスキャットから始まり、フロント陣のテーマ・アンサンブルが続くという、ハードバップ時代に迷い込んだファンキー風味のビバップ・ナンバーと言った風情でございます。

 

多分、ソロの順番は、ベニー・グリーン(Bennie Green)、ジーン・アモンズ(Gene Ammons as Jug)、ソニー・クラークSonny Clark)、ビリー・ルート(Billy Root)だと思います。

 

 

軽快なアップテンポで演奏される2曲目「We Wanna Cook」は、ベニー・グリーン(Bennie Green)の自作曲で、シングル盤「Bennie Green - We Wanna Cook / Lullaby Of The Doomed (Blue Note 45-1709)」としても発売されている模様。

 

しかし、トロンボーンにテナーサックス2管という低音重視なフロント構成は、面白いですね。

 

テーマ部はスキャットからアンサンブル、そしてフロント陣のソロは後半部で残る2管のバッキング・アンサンブルが入るという凝った構成で飽きさせず曲の最後まで聴き通してしまいます。

 

 

バラッド風味の3曲目「That's All」は、「Soul Stirrin'」とカップリングしたシングル盤 (Blue Note 45-1708)にも収録されております。

 

ソニー・クラークSonny Clark)の弾くピアノ・イントロが絶品で、続くベニー・グリーン(Bennie Green)が吹くトロンボーンの音色がより優しい雰囲気に響きます。続くソロも、絶品かと・・・。

 

 

4曲目、これまたバラッド風味な「Lullaby Of The Doomed」は、バブズ・ゴンザレス(Babs Gonzales)からの提供曲で、「We Wanna Cook」とカップリングしたシングル盤 (Blue Note 45-1709)にも収録されております。

 

甘く切なく・・・といった表現がぴったりな演奏で、大人の余裕たっぷりな絶妙なるソロが続きます。

 

 

軽快なリズムが心弾む5曲目「B.G. Mambo」は、ベニー・グリーン(Bennie Green)の自作曲。

 

ベニー・グリーン(Bennie Green)の適度にブローする素敵なソロが良いですね。

 

 

ソニー・クラークSonny Clark)の素敵なピアノ・イントロから始まる6曲目「Black Pearl」は、哀愁漂うハードバップ期における典型的な1曲というか演奏に仕上がっております。

 


www.youtube.com

 

活き活きしたソニー・クラークSonny Clark)のソロとバッキングが最大の聴き処でございます。

 

 

まあ、「Soul Stirrin' (Blue Note BST-81599)」を全曲聴き通して感じるのは、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)なりの、ミュージシャンの意向と、売れるであろうアルバムを作るための「折り合いの付け方」というか、苦労というか・・・。

 

バブズ・ゴンザレス(Babs Gonzales)を入れたりと、トロンボーン奏者ベニー・グリーン(Bennie Green)の持ち味は最大限生かしつつ、何とかブルーノート(Blue Note Records)好みで売り上げが期待出来るハードバップ系統のアルバムに仕上げようと、ハウス・ピアニストだったピアノのソニー・クラークSonny Clark)と、ドラムスのエルヴィン・ジョーンズElvin Jones)を投入したりと、制作側とミュージシャンとの「せめぎ合い」を垣間見せられている様に思えてきます・・・(笑)。

 

 

アルバム「Soul Stirrin' (Blue Note BST-81599)」のジャケットは、色の濃淡に加え、配色も微妙に違うものが幾つかあるようなので、参考までにステレオ盤アナログレコードのジャケットも掲載しておきます。

 

「Bennie Green - Soul Stirrin (Blue Note) 1958」ほのぼのハード・バップ風味なアルバム

※このジャケットは「discogs」からお借りしました。

 

Bennie Green - Soul Stirrin' +1 (RVG)
Blue Note BST-81599 / 東芝EMI TOCJ-9569 [2003/12/26]

side 1 (A)
01 Soul Stirrin' (Babs Gonzales)  6:53
02 We Wanna Cook (Bennie Green)  6:40
03 That's All (Brandt, Haymes)  6:27

side 2 (B)
04. Lullaby Of The Doomed (Babs Gonzales)  6:02
05. B.G. Mambo (Bennie Green)  8:17
06. Black Pearl (Graham)  5:47

CD bonus track
07. Soul Stirrin' [mono take]  6:45


Bennie Green (tb, vo) Gene Ammons as Jug (ts) Billy Root (ts) 
Sonny Clark (p) Ike Isaacs (b) Elvin Jones (ds) Babs Gonzales (vo #1,2,7)

April 28, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

 

ソウル・スターリン

ソウル・スターリン

Amazon

 

 

ブルーノート(Blue Note Records)第1弾のご紹介は、下記リンクからどうぞ・・・。

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

 

「Time Records」には、ソニー・クラークSonny Clark)が参加する、ベニー・グリーン(Bennie Green)のリーダーアルバムもあったりします。

 

kaji-jazz.hatenablog.com