加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

Clifford Brown - Clifford Brown Memorial Album (Blue Note) 1956

ファッツ・ナバロ(Fats Navarro)同様、早逝した天才トランペッター、クリフォード・ブラウンClifford Brown)。

 

Clifford Brown - Clifford Brown Memorial Album (Blue Note) 1956

ブルーノート(Blue Note Records)1500番台の「Clifford Brown Memorial Album (Blue Note BLP-1526)」というアルバムは、1956年に発売された様です。

 

タイトルから推測出来る通り、クリフォード・ブラウンClifford Brown)が1956年06月26日、雨降る深夜、車での移動中の事故で亡くなった後、ブルーノート(Blue Note Records)に残された2枚の10インチ・アルバムに収録されたセッションから拾遺編纂の上、12インチ・アルバムとして発売されたものだと思われます。

 

1つ目のセッションは1953年08月28日に録音されており、10インチ・アルバム「Clifford Brown - New Star On The Horizon [Blue Note BLP-5032]」として発売されております。

 

Clifford Brown - New Star On The Horizon [Blue Note BLP-5032]

Clifford Brown Memorial Album (Blue Note BLP-1526)」のA面には、そのうちの6曲から5曲拾遺の上で収録されております。

 

 

2つ目のセッションは1953年06月09日に録音されており、10インチ・アルバム「Lou Donaldson & Clifford Brown - New Faces-New Sounds [Blue Note BLP-5030]」として発売されております。

 

Lou Donaldson & Clifford Brown - New Faces-New Sounds [Blue Note BLP-5030]

Clifford Brown Memorial Album (Blue Note BLP-1526)」のB面には、そのうちの6曲から5曲拾遺の上で収録されております。

 

 

Clifford Brown Memorial Album (Blue Note BLP-1526)」に収録された演奏はいずれも、きっちりと編曲を施し、そのフレーム中でクリフォード・ブラウンClifford Brown)に最良のソロを吹いてもらうという、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)のプロデューサーとしての意向が反映されております。

 

蛇足ですが、曲を提供し演奏にも参加するジジ・グライス(Gigi Gryce)と、曲のみ提供しているクインシー・ジョーンズQuincy Jones)は、ライオネル・ハンプトンLionel Hampton)楽団の一員として、いまや伝説となった1953年のヨーロッパ・ツアーにクリフォード・ブラウンClifford Brown)と共に参加し、各地で現地ミュージシャンと録音を残したバンド仲間だったりします。

 

 

 

クリフォード・ブラウンClifford Brown)のソロに駄演なし」という意味合いの言葉を、ジャズ誌などで何度も読んだ事がありますが、若く溌溂とした演奏を聴かせてくれるこのアルバムにも勿論、その言葉が当て嵌まりますね・・・。

 

録音当時23歳だったブラウニー(クリフォード・ブラウン)ですが、数学が得意であったためか曲のコード分解はお手の物。

トランペットの他に、ピアノ、ヴィヴラフォン、ドラムスなども演奏出来たらしく、ブルーノート(Blue Note Records)に残された演奏には、アップテンポで若さに任せた勢いある演奏だけでなく、バラッドですでに円熟味を帯びた雰囲気ある演奏を聴かせてくれております。

 

さて、レコードのA面に相当する最初の5曲は、1953年08月28日に録音され「Clifford Brown - New Star On The Horizon [Blue Note BLP-5032]」として発売されたものから「Brownie Eyes (Quincy Jones)」を除く5曲を拾遺、編纂されております。

 

クリフォード・ブラウンClifford Brown)の他、アルトサックスとフルートのジジ・グライス(Gigi Gryce)、テナーサックスの(Charlie Rouse)、ピアノのジョン・ルイス(John Lewis)、ベースのパーシー・ヒース(Percy Heath)、ドラムスのアート・ブレイキー(Art Blakey)が演奏に参加しております。

 


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かっちりとしたバックアンサンブルからブラウニー(クリフォード・ブラウン)の若さと勢いを感じされるソロが飛び出す瞬間がたならない1曲目「Hymn Of The Orient (Gigi Gryce)」、後半のアート・ブレイキー(Art Blakey)とのソロ交換も刺激的ですね。


2曲目「Easy Living (L.Robin-R.Rainger)」は趣あるバラッドですが、23歳とは思えぬ深く円熟味ある演奏を聴かせてくれます。


3曲目「Minor Mood (Clifford Brown)」は、日本人好みの哀愁漂う曲調で、ここでのブラウニーは、ブルース・フィーリング溢れるソロを聴かせてくれてますし、続くジジ・グライス(Gigi Gryce)のアルトサックス・ソロも良いですね。


4曲目「Cherokee (Ray Noble)」では、超アップテンポで演奏されるいるにも関わらず、端正なフレーズを次々と繰り出すブラウニーに驚嘆するばかりです。


5曲目「Wail Bait (Quincy Jones)」は、クインシー・ジョーンズが作曲しただけあって、ビックバンド風味溢れるお洒落で洗練された感じのテーマとなっております。

ブラウニーは、ピックアップ・ソロの部分からハイノートを飛ばし気味の余裕たっぷりのソロを聴かせてくれてます。

 

 

続く、レコードのB面に相当する後半5曲は、1953年06月09日に録音され「Lou Donaldson & Clifford Brown - New Faces-New Sounds [Blue Note BLP-5030]」として発売されたものから「Bellarosa (Elmo Hope)」を除く5曲を拾遺、編纂されております。

 

クリフォード・ブラウンClifford Brown)の他、双頭リーダーでもあるアルトサックスのルー・ドナルドソンLou Donaldson)、ピアノのエルモ・ホープ(Elmo Hope)、ベースのパーシー・ヒース(Percy Heath)、ドラムスのフィリー・ジョー・ジョーンズ("Philly" Joe Jones)が演奏に加わっております。

 

6曲目「Brownie Speaks (Clifford Brown)」は、ビバップ風味の長く複雑なテーマであり、アップテンポで演奏される1曲。

 


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自作曲だけあって、ブラウニーの勢いあるソロが素晴らしいですし、キャリアの後期まで多様するソロフレーズが次々と登場します。

 


7曲目「De-Dah (Elmo Hope)」は、ややラテン風味をまぶした曲で、フィリー・ジョー・ジョーンズ("Philly" Joe Jones)の煽り気味のリズムに乗り、作曲者のエルモ・ホープ(Elmo Hope)、ルー・ドナルドソンLou Donaldson)と軽快なソロが続きます。

3番目に登場するクリフォード・ブラウンClifford Brown)は、いきなりハイノートを多用したソロからスタートし、最後まで強烈にスイングするソロを聴かせてくれます。

 


8曲目「Cookin' (Lou Donaldson)」は、ルー・ドナルドソンLou Donaldson)が書いた典型的なハードバップ風味の曲であります。

ブラウニーのソロは、1954年録音のライブ盤「Art Blakey Quintet - A Night At Birdland (Blue Note)」を思い起こさせるフレーズが随所に飛び出てきております。


9曲目「You Go To My Head (J.F.Coots-H.Gillespie)」はバラッド風味の演奏。

ルー・ドナルドソンLou Donaldson)が、チャーリー・パーカーCharlie Parker)を彷彿とさせる超高速ソロフレーズを吹き、それに対抗する形でブラウニーも最初、超高速フレーズを挿入しますが、その後はゆったりとしたフレーズで演奏を盛り上げます。

 

10曲目「Carvin' The Rock (Elmo Hope-S.Rollins)」は、フィリー・ジョー・ジョーンズ("Philly" Joe Jones)の軽快なドラムから始まるアップテンポで演奏される曲。

 

ルー・ドナルドソンLou Donaldson)、クリフォード・ブラウンClifford Brown)、エルモ・ホープ(Elmo Hope)とソロは続きますが、やはりブラウニー(クリフォード・ブラウン)のソロが一番印象に残る気がします。

 

 

Clifford Brown - Clifford Brown Memorial Album (Blue Note) 1956

 

Clifford Brown - Clifford Brown Memorial Album
Blue Note BLP-1526 / Blue Note 7243 5 32141 2 8 [2001.07.31] RVG Edition

 

side 1 (A)
●August 28, 1953 at Audio-Video Studios, NYC. [BLP-5032]
01. Hymn Of The Orient (Gigi Gryce)  4:03
02. Easy Living (L.Robin-R.Rainger)  3:40
03. Minor Mood (Clifford Brown)  4:31
04. Cherokee (Ray Noble)  3:23
05. Wail Bait (Quincy Jones)  3:59

side 2 (B)
●June 9, 1953 at WOR Studios, NYC. [BLP-5030]
06. Brownie Speaks (Clifford Brown)  3:43    
07. De-Dah (Elmo Hope)  4:47    
07. Cookin' (Lou Donaldson)  3:10    
09. You Go To My Head (J.F.Coots-H.Gillespie)  4:16
10. Carvin' The Rock (Elmo Hope-S.Rollins)  3:53

 

[CD bonus Tracks]
●August 28, 1953 at Audio-Video Studios, NYC. [BLP-5032]
11. Brownie Eyes (Quincy Jones)  3:52

12. Wail Bait [alternate take] (Quincy Jones)  4:03
13. Cherokee [alternate take] (Ray Noble)  3:38
14. Hymn Of The Orient [alternate take] (Gigi Gryce)  4:01

●June 9, 1953 at WOR Studios, NYC. [BLP-5030]
15. Bellarosa (Elmo Hope)  4:11

16. Carvin' The Rock [alternate take 1] (Elmo Hope-S.Rollins)  3:48
17. Cookin' [alternate take] (Lou Donaldson)  3:50
18. Carvin' The Rock [alternate take 2] (Elmo Hope-S.Rollins)  4:02


#01-05 & 11-14  August 28, 1953 at Audio-Video Studios, NYC. [BLP-5032]
Clifford Brown
Clifford Brown (tp) Gigi Gryce (as, fl) Charlie Rouse (ts) John Lewis (p) Percy Heath (b) Art Blakey (ds)


#06-10 & 15-18  June 9, 1953 at WOR Studios, NYC. [BLP-5030]
Lou Donaldson - Clifford Brown
Clifford Brown (tp) Lou Donaldson (as) Elmo Hope (p) Percy Heath (b) "Philly" Joe Jones (ds)

 

 

 

最後に、クリフォード・ブラウンClifford Brown)関連の過去記事を貼っておきます。

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

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