「The Eminent Jay Jay Johnson Vol. 1 (Blue Note) 1953,1954」俊英達の競演と珍しい顔合わせ
「傑出した(Eminent)」ビバップ・トロンボーンの俊英、J. J. ジョンソン(Jay Jay Johnson)がブルーノートに残した3回のセッションは、3枚の10インチレコードとして発売されました。
その3回のセッションを2枚の12インチレコードに再編集したアルバムの第1弾が「The Eminent Jay Jay Johnson Vol. 1 (Blue Note BLP-1505)」です。
1953年06月22日に行われた第1回目のセッションには、J. J. ジョンソン(Jay Jay Johnson)の他、トランペットの俊英、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)、テナー・サックスとバリトン・サックスを吹くジミー・ヒース(Jimmy Heath)、ピアノのジョン・ルイス(John Lewis)、ベースのパーシー・ヒース(Percy Heath)、ドラムスのケニー・クラーク(Kenny Clarke)が参加しております。
リズム隊は、初期MJQ(Modern Jazz Quartet)のメンバー、そのままですね。
そこにクリフォード・ブラウン(Clifford Brown)、J. J. ジョンソン(Jay Jay Johnson)という若くて超絶技巧の猛者がからむという、ファンにはたまらない構図でございます。
さて、12インチレコード時代には、A面(1~5曲目)が「Jay Jay Johnson With Clifford Brown (Blue Note BLP-5028)」として発売された中から1曲除いた第1回目のセッションだけで構成されておりました。
1曲目「Turnpike」は、J. J. ジョンソン(Jay Jay Johnson)の自作曲。
超アップテンポで奏でられる三管アンサンブルから、ソロ・ブレイクで登場するクリフォード・ブラウン(愛称はブラウニー)が素晴らしいです。
二番手ジミー・ヒースに続き登場するJ. J. ジョンソン、確かに「ヴァルブ・トロンボーン」かと疑ってしまう程、トロンボーンで正確無比なソロを聴かせてくれますし、続くジョン・ルイス、パーシー・ヒースのソロも流石でございます。
2曲目「Lover Man」は、バラッド風味の演奏で、こういうテンポだとJ. J. ジョンソンのトロンボーンの音色が映えますね。
続くのはジョン・ルイスの短いソロのみで、残るフロント二人はアンサンブルに徹しております。
3曲目「Get Happy」は、アップテンポの演奏。
J. J. ジョンソンのタンギングを上手く生かした演奏に、フロント二人のアンサンブルがさりげなく奏でられております。
ジミー・ヒースのテナー・サックス・ソロに続き登場するブラウニーは、文句の付けようのない活気ある完璧なソロを聴かせてくれますし、ブラウニーに続くジョン・ルイスのソロも軽快にスイングしておりますね。
4曲目「Sketch One」は、ややクラシカルな雰囲気が如何にもジョン・ルイス (John Lewis)といった風情の作品。
ジョン・ルイスのソロの後、ミュート・トランペットで登場するブラウニーのソロが絶品で、続くJ. J. ジョンソンもゆったりとしたソロを聴かせてくれます。
演奏後半に登場する三管アンサンブルも素晴らしいです。ちなみにジミー・ヒースは、ここではバリトン・サックスを演奏しアンサンブルに徹しております。
5曲目「Capri」は、軽快なテンポで演奏されるジジ・グライス (Gigi Gryce)の作品。
J. J. ジョンソン、ジミー・ヒース、クリフォード・ブラウン、ジョン・ルイスとソロが続きますが、やはりブラウニーのソロが頭抜けているように思われます。
1954年09月24日に行われた第2回目のセッションには、J. J. ジョンソン(Jay Jay Johnson)の他、ピアノのウイントン・ケリー(Wynton Kelly)、ベースのチャールス・ミンガス(Charles Mingus)、ドラムスのケニー・クラーク(Kenny Clarke)という珍しい組み合わせのリズム隊に加え、コンガのサブー・マルティネス("Sabu" Martinez)も参加しております。
12インチレコード時代には、B面(6~10曲目)が「The Eminent Jay Jay Johnson Vol. 2 (Blue Note BLP-5057)」として発売された中から1曲除いた第2回目のセッションだけで構成されておりました。
6曲目「Jay」は、J. J. ジョンソン(Jay Jay Johnson)の自作曲。
サブー・マルティネスが叩く軽快なるコンガに煽られ、J. J. ジョンソンの華麗なソロを
聴かせてくれますし、後半に登場するJ. J. ジョンソン、サブー・マルティネス、ケニー・クラークの三者によるソロ回しも良いですね。
7曲目「Old Devil Moon」は、ミディアム・テンポで演奏されますが、コンガが入る事で陽気なラテン・ナンバーの様に聴こえてくるのが面白いですね。
まあしかし、ラテン系の演奏にはトロンボーンが似合います(笑)。
8曲目「It's You Or No One」は、バラッド風味の演奏であり、他の曲で印象が薄かったチャールス・ミンガスのベースが良く聴こえる1曲です。
なお、この曲だけサブー・マルティネスはお休みしております。
9曲目「Too Marvelous For Words」は、ミディアム・テンポで演奏される曲で、ウイントン・ケリーのファンキーなピアノ・ソロが良いですね。
10曲目「Coffee Pot」は、アップテンポで演奏されるJ. J. ジョンソン(Jay Jay Johnson)の自作曲。
しかし、スライド式のトロンボーンで、ここまで軽快に演奏出来るとは本当に驚きです。
J. J. Johnson - The Eminent Jay Jay Johnson Vol. 1 (RVG)
Blue Note BLP-1505 / 東芝EMI TOCJ-66115-16 [2001.06.20] Blue Note Complete Series
side 1 (A)
01. Turnpike (J. J. Johnson) 4:16
02. Lover Man (Ramirez) 3:52
03. Get Happy (Koehler-Arlen) 4:49
04. Sketch One (John Lewis) 4:22
05. Capri (Gigi Gryce) 3:38
side 2 (B)
06. Jay (J. J. Johnson) 3:39
07. Old Devil Moon (Lane-Harburg) 3:49
08. It's You Or No One (Styne-Cahn) 4:03
09. Too Marvelous For Words (Mercer-Whiting) 3:34
10. Coffee Pot (J. J. Johnson) 4:06
#01-05 June 22, 1953 at WOR Studios, NYC. [1st Session]
Clifford Brown (tp) Jay Jay Johnson (tb) Jimmy Heath (ts, bs)
John Lewis (p) Percy Heath (b) Kenny Clarke (ds)
#06-10 September 24, 1954 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ. [2nd Session]
Jay Jay Johnson (tb) Wynton Kelly (p) Charles Mingus (b) Kenny Clarke (ds)
"Sabu" Martinez (conga omit #08)
10インチレコード2枚の詳細も付記しておきます。
J. J. Johnson - Jay Jay Johnson With Clifford Brown
Blue Note BLP-5028
side 1 (A)
01. Get Happy (Koehler-Arlen) 4:49
02. Lover Man (Ramirez) 3:52
03. Capri (Gigi Gryce) 3:38
side 2 (B)
04. Sketch One (John Lewis) 4:22
05. Turnpike (J. J. Johnson) 4:16
06. It Could Happen To You (Bueke-Van Heusen) 4:43
●1st Session [June 22, 1953 at WOR Studios, NYC.]
Clifford Brown (tp omit #06) Jay Jay Johnson (tb) Jimmy Heath (ts, bs omit #06)
John Lewis (p) Percy Heath (b) Kenny Clarke (ds)
J. J. Johnson - The Eminent Jay Jay Johnson Vol. 2
Blue Note BLP-5057
side 1 (A)
01. Jay (J. J. Johnson) 3:39
02. Time After Time (Styne-Cahn) 4:10
03. Old Devil Moon (Lane-Harburg) 3:49
side 2 (B)
04. Too Marvelous For Words (Mercer-Whiting) 3:34
05. It's You Or No One (Styne-Cahn) 4:03
06. Coffee Pot (J. J. Johnson) 4:06
●2nd Session [September 24, 1954 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.]
Jay Jay Johnson (tb) Wynton Kelly (p) Charles Mingus (b) Kenny Clarke (ds)
"Sabu" Martinez (conga omit #02,05)