加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Miles Davis Vol. 2 (Blue Note) 1952,1953,1954」ブルーノートのマイルス(2)

マイルス・デイヴィスMiles Davis)は「麻薬の虜」になっていた1952年から1954年にかけ、毎年1回の割合で、良き理解者として付き合っていたアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)が経営するブルーノート(Blue Note Records)で録音を行っておりますが1954年、麻薬癖から脱した直後のワン・ホーンによるセッションを中心に編纂されたのが、この「Miles Davis Vol. 2 (Blue Note BLP-1502)」です。

 

「Miles Davis Vol. 2 (Blue Note) 1952,1953,1954」ブルーノートのマイルス(2)

クリーンな体になり、快調な演奏が出来るまで心身共に回復した事を世間にアピールする為、あえてワン・ホーンで録音に挑んだろうと推測します。

 

収録曲の中で1曲だけ選べと言えば「It Never Entered My Mind」ですね・・・ミュートをつけてバラードを切々と歌い上げるマイルスのプレイに涙して下さいませ。

 

「Miles Davis Vol. 2 (Blue Note) 1952,1953,1954」ブルーノートのマイルス(2)


前回も書いた通り、3回に渡るセッションは、CD化されてから様々なフォーマット(曲順)で発売されておりますが、オリジナル12インチレコードのフォーマットが聴いていて一番しっくりくるので、それに準拠した内容で書き記していきたいと思います。

 


さて1954年03月06日に録音された「Miles Davis Vol. 2 (Blue Note BLP-1502)」には、「Miles Davis Vol. 3 (Blue Note BLP-5040)」に収録された全6曲が、そのまま収録されております。

 

 

マイルスの他、ピアノにホレス・シルヴァーHorace Silver)、ベースのパーシー・ヒース(Percy Heath)、ドラムスのアート・ブレイキー(Art Blakey)が参加。

 

ちなみにピアノのホレス・シルバーとドラムスのアート・ブレイキーは1954年02月、「Blue Note All Stars」の一員としてクリフォード・ブラウンClifford Brown)らと「バードランド」で熱演したステージを繰り広げておりますね。

 


1曲目「Take Off」は、マイルスの自作曲。

 


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ここまで軽快で気合の入ったマイルスの演奏は、他では中々聴けないと思います。


2曲目「Weirdo」は、マイルス自作のブルース。ミルト・ジャクソンが書いた「Bag's Groove」っぽい感じもしますが、キー設定が同じなんでしょうね。

マイルスも快調ですが、ホレス・シルヴァーのファンキーなピアノも聴き処の一つです。


7曲目「Well You Needn't」は、セロニアス・モンク(Thelonious Monk)の作品。 ブレイキーがリズム・キープに徹し、マイルスとホレス・シルヴァーが中心となって演奏を盛り上げている感じがします。

 


8曲目「The Leap」は、マイルス作のかなりアップテンポな曲。しかし、マイルスのソロの勢いは物凄いものがありますね。

 


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9曲目「Lazy Susan」は、マイルスの自作曲で、当時(色々な意味で)お世話になった
スーザンさんに捧げた曲の様で、吹きやすいミディアム・テンポで、マイルスのソロは快調そのもの。

 


11曲目「It Never Entered My Mind」は、感涙物の名演奏と断言出来るバラッドで、幻想的な雰囲気の中、マイルスがミュート・トランペットでテーマを吹き出した瞬間、全てを持っていかれる感じがします・・・名演です。

 


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「Young Man With A Horn (Blue Note BLP-5013)」として発売された1952年05月09日のセッションには、マイルスの他、トロンボーンのJ. J. ジョンソン(J.J. Johnson)、アルトサックスのジャッキー・マクリーンJackie McLean)、ピアノのギル・コキンズ(Gil Coggins)、ベースのオスカー・ペティフォード(Oscar Pettiford)、ドラムスのケニー・クラークKenny Clarke)が参加しております。

 

3曲目「Wouldn't You」は、ディジー・ガレスピーDizzy Gillespie)が書いた曲で、「Miles Davis Vol. 1 (Blue Note BLP-1501)」には別テイクが収録されております。

分厚いテーマ・アンサンブルと、そこに絡むベースがいい雰囲気を出しております。
しかし、マイルスも気持ちよさそうにソロ吹いてますねー。


6曲目「Donna」は、ジャッキー・マクリーンJackie McLean)の曲で、「Miles Davis Vol. 1 (Blue Note BLP-1501)」には別テイクが収録されております。

プレステッジ(Prestige Records)に別名「Dig」で録音したときより、かなり遅めのテンポ。マイルスのソロもスムーズで、続くジャッキー・マクリーンのソロも快調。

 

 

Miles Davis Vol. 2 (Blue Note BLP-5022)」として発売された1953年04月20日のセッションには、マイルスの他、トロンボーンのJ. J. ジョンソン(J.J. Johnson)、テナー・サックスのジミー・ヒース(Jimmy Heath)、ピアノのギル・コキンズ(Gil Coggins)、ベースのパーシー・ヒース(Percy Heath)、ドラムスのアート・ブレイキー(Art Blakey)が参加しております。


4曲目「I Waited For You」は、ギル・フラー (Gil Fuller)  が書いた美しいバラッド。朗々としたソロを吹くマイルスに、ギル・コキンズのピアノが絡んでいきます。

 


5曲目「Ray's Idea [alternate master]」は、ギル・フラーとレイ・ブラウン(Ray Brown)の共作で、「Miles Davis Vol. 1 (Blue Note BLP-1501)」には、本テイクが収録されております。

 

本テイクと比べアート・ブレイキーのドラムスが若干ノリきれていないのかもしれませんが、重厚なアンサンブルをバックにソロを吹くマイルスは快調そのもの。

 

 

10曲目「Tempus Fugit [alternate master]」は、バド・パウエルBud Powell)の曲で、「Miles Davis Vol. 1 (Blue Note BLP-1501)」には、本テイクが収録されております。

 

別テイクは最初、アート・ブレイキードラムスが叩くリズム・パターンが異なっているんですね。
ソロの入り(ソロ・ブレイク)でマイルスがもたついてしまったので、別テイクとなったのでしょう。

ジミー・ヒース、J. J. ジョンソン、アート・ブレイキーとソロ・リレーが続きますが、演奏の入るタイミングが本テイクと比べ若干ギクシャクしてて、緊張感に欠ける気もします。

 

 

Miles Davis Vol. 2 (RVG)
Blue Note BLP-1502 / 東芝EMI TOCJ-9023 [1998.09.30]


side 1 (A)
01. Take Off (Miles Davis)  3:41
02. Weirdo (Miles Davis)  4:45
03. Wouldn't You (Dizzy Gillespie)  3:26
04. I Waited For You (Gil Fuller)  3:31
05. Ray's Idea [alternate master] (Gil Fuller, Ray Brown)  3:53
06. Donna (Jackie McLean)  3:14

side 2 (B)
07. Well You Needn't (Thelonious Monk)  5:24
08. The Leap (Miles Davis)  4:32
09. Lazy Susan (Miles Davis)  4:03
10. Tempus Fugit [alternate master] (Bud Powell)  4:01
11. It Never Entered My Mind (Lorenz Hart, Richard Rodgers)  4:01

 

#03,06 [BLP-5013]  May 9,1952 at WOR Studios, NYC.

Miles Davis (tp) J.J. Johnson (tb) Jackie McLean (as) Gil Coggins (p) 
Oscar Pettiford (b) Kenny Clarke (ds)


#04,05,10 [BLP-5022]  April 20,1953 at WOR Studios, NYC.

Miles Davis (tp) J.J. Johnson (tb #5,10) Jimmy Heath (ts #5,10) Gil Coggins (p) 
Percy Heath (b) Art Blakey (ds)


#01,02,07-09,11 [BLP-5040]  March 6,1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack,NJ.

Miles Davis (tp) Horace Silver (p) Percy Heath (b) Art Blakey (ds)

 

 

 

「Miles Davis Vol. 2 (Blue Note) 1952,1953,1954」ブルーノートのマイルス(2)

Miles Davis Vol. 3 
Blue Note BLP-5040

side 1 (A)
01. Take Off (Miles Davis)  3:37
02. It Never Entered My Mind (Rodgers-Hart)  4:02
03. Well You Needn't (T. Monk) 5:20

side 2 (B)
04. Lazy Susan (Miles Davis)  4:00
05. Weirdo (Miles Davis)  4:42
06. The Leap (Miles Davis)  4:28


Miles Davis (tp) Horace Silver (p) Percy Heath (b) Art Blakey (ds)
March 6,1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack,NJ.

 

 

 

「Miles Davis Vol. 2 (Blue Note) 1952,1953,1954」ブルーノートのマイルス(2)

Miles Davis - Young Man With A Horn 
Blue Note BLP-5013

side 1 (A)
01. Dear Old Stockholm (trad)   4:10
02. Woody'n You (Gillespie)   3:22
03. Yesterdays (Kern-Harbach)  3:42

side 2 (B)
04. Chance It (O. Pettiford)   3:00
05. Donna (Jackie McLean)   3:10
06. How Deep Is The Ocean (Berlin)  4:36


Miles Davis (tp) J.J. Johnson (tb #1,2,4,5) Jackie McLean (as #1,2,4,5) 
Gil Coggins (p) Oscar Pettiford (b) Kenny Clarke (ds)
May 9,1952 at WOR Studios, NYC.

 

 

「Miles Davis Vol. 2 (Blue Note) 1952,1953,1954」ブルーノートのマイルス(2)

Miles Davis Vol. 2 
Blue Note BLP-5022

side 1 (A)
01. Tempus Fugit (Bud Powell)   3:47
02. Enigma (J.J. Johnson)   3:20
03. Ray's Idea (Fuller-Brown)   3:41

side 2 (B)
04. Kelo (J.J.Johnson)   3:15
05. I Waited For You (W. Fuller)  3:28
06. C.T.A. (Jimmy Heath)   3:30


Miles Davis (tp) J.J. Johnson (tb #1-4,6) Jimmy Heath (ts #1-4,6) 
Gil Coggins (p) Percy Heath (b) Art Blakey (ds)
April 20,1953 at WOR Studios, NYC.

 

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