加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

マイルス・デイヴィスが演奏する「There Is No Greater Love」の印象が薄すぎる理由について

おもいっきり私事ではありますが。

 

2025年の秋頃から、何年かぶりにジャズ・バンドに参加しておりまして、2026年はありがたいことに夏から秋にかけて各種音楽イベントで演奏する予定が入っております。

 

niigatajazzstreet.com

 

2026年夏の「新潟ジャズストリート」は、写真撮影の裏方(予定)だけでなく、某バンドの一員として、演奏でも参加予定。

 

で、よい曲ではあるものの(トランペットの運指的に)キー設定がムズい曲が何曲が演奏候補に挙がっており、練習の度にテーマを吹くだけでも四苦八苦していたりします・・・(笑)。

 

 

さて、演奏するセットリストの案が出てきた中に、秋に演奏した「There Is No Greater Love」という曲が出て来ておりまして。

 

そういえばこの曲、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)も演奏してなかったっけ?

 

と思い出し、動画投稿サイトを検索すると、「スタジオ録音」と「ライブ録音」があったんですね・・・ただし、「There Is No Greater Love」を演奏している印象がまったく
ない(笑)。

 

どうして曲の印象が残っていないのだろうと、該当する演奏を真面目に聴き直してみました。

 

 

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「スタジオ録音」は、1955年11月16日録音の「Miles (Prestige PRLP-7014)」の2曲目に収録されておりますね。

 


www.youtube.com

 

このバージョンは、ややスローテンポ気味のワンホーン(カルテット)で演奏されており、テーマの後はほぼ、ピアノのレッド・ガーランド(Red Garland)がブロック・コードを駆使してタメの効いたファンキーなソロを演奏しており、マイルスのソロらしい部分は、ほぼない感じです。

 

あと重要なポイントは、マイルスがテーマ部分から原曲を大幅に崩した、ほぼソロ的な演奏に終始している事。

 

テーマ部分から崩して演奏しているため、曲名を見ながら演奏聴かなければ、「There Is No Greater Love」を演奏しているという記憶にほぼ、結び付かない訳です(笑)。

 


「ライブ録音」の方は、1964年02月12日「Philharmonic Hall」における、途中に何故か旧友のマックス・ローチ(Max Roach)が、(勘違いで)抗議のためステージに乱入してきたライブですね。

 

 

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このライブは、バラッド中心の「My Funny Valentine (Columbia CS-9106/CL-2306)」と、アップテンポな演奏中心の「'Four' & More (Columbia CS-9253/CL-2453)」に分散収録されております。

 

ここでの「There Is No Greater Love」は、第2部で演奏されたみたいです。

 


www.youtube.com

 

やや崩し気味にテーマを演奏した後、マイルスはそのままソロに突入しますが、「フリー・ブローイング時代」と呼ばれる時期のライブ演奏なので、ミディアム・テンポでかなり奔放なソロ・フレーズを使ったソロ多めです。

 

若手トリオの煽りを受けたマイルスの(ややキレ気味な)ソロを聴いた後、ジョージ・コールマン(George Coleman)の端正なソロが出て来ると、一息つける感じ(笑)。

 

 


今回、マイルス・デイヴィスが演奏する「There Is No Greater Love」をしっかり聴き比べた事で、何故何度も聴いているアルバムなのに、曲の印象が全く残っていなかったのか、よーく理解出来ました(笑)。

 

そりゃ、テーマ崩されて演奏してたら、記憶にも残らんよなあ・・・。

 

 

Miles Davis - Miles (The New Miles Davis Quintet)
Prestige PRLP-7014 / OJCCD-006-2 / Victor Entertainment VICJ-60302 [2002.01.23]

side 1 (A)
01. Just Squeeze Me (Duke Ellington, Lee Gaines)  7:27
02. There Is No Greater Love (Isham Jones, Marty Symes)  5:19
03. How Am I To Know? (Dorothy Parker, Jack King)  4:39

side 2 (B)
04. S'posin' (Paul Denniker, Andy Razaf)  5:15
05. The Theme (Miles Davis)  5:49
06. Stablemates (Benny Golson)  5:18


Miles Davis (tp) John Coltrane (ts #1, 3-6) Red Garland (p) 
Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds) 

November 16, 1955 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

 

 

 

 

Miles Davis - 'Four' & More
Columbia CS-9253/CL-2453 / Sony Records SRCS-9111 [1996.09.21]


side 1 (A)
01. So What (Miles Davis)  9:10
02. Walkin' (R. Carpenter)  8:08
03. Joshua / Go-Go (Theme And Announcement) (Victor Feldman)  11:13

side 2 (B)
04. Four (Miles Davis)  6:19
05. Seven Steps To Heaven (Miles Davis, Victor Feldman)  7:46
06. There Is No Greater Love / Go-Go (Theme And Announcement) (I. Jones, M. Symes)  11:26


Miles Davis (tp) George Coleman (ts) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds) 
February 12, 1964 at Philharmonic Hall, Lincoln Center, NYC.

 

Four & More (MOV Vinyl) [Analog]

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中山康樹「ウィントン・マルサリスは本当にジャズを殺したのか?」

用事ついでに、資料探して新発田市と新潟市内で図書館巡りやっております。

 

きっちりとした(ディープな)資料は、新潟県下越地区においては、収納スペースが広大な「ほんぽーと(新潟市中央図書館)」にしかない事を実感致しました。

 

てな訳で、前から読みたかった本も借りてきました。

 

中山康樹「ウィントン・マルサリスは本当にジャズを殺したのか?」

中山康樹「ウィントン・マルサリスは本当にジャズを殺したのか?」

 

ウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)に関する情報は、本人サイドから得られるものがこれまで手元にほぼ無かったので、この本を読んで、ウイントン登場時からの「騒動の裏側」を垣間見れて、かなり面白かったです。

 

また、この本を書き下ろした中山康樹さんの遺作であった事も、あとがきで知りました。

 

 

どうりで断定文多めの「マイルスを聴け!」の作者とは思えぬ、冷静で真摯な文章が続く訳ですね・・・。

 

 

 

さて、本文を読み進めるとマルサリス兄弟の故郷、ジャズの聖地ニューオリンズであっても、ウィントン・マルサリスの幼少期から学生時代においては、ジャズが既に「廃れた音楽」であり、観光客向けの施設でかろうじて演奏されていた事、父親のジャズ・ピアニスト、エリス・マルサリス(Ellis Marsalis)の稼ぎより、マルサリス兄弟がファンク・バンドで演奏した際にもらったギャラの方が高かった事など、ウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)が世に知られる前のアメリカのジャズ事情が赤裸々に語られております。

 

また、ウイントンがジャズの良さを意識した体験として、テレビから流れる犬のスヌーピー(Snoopy)が登場する漫画アニメ「ピーナッツ(Peanuts)」を観た事であったというのも、ジャズが廃れていた時代を象徴する事柄であると思ったりします。

 

 

そんな中、トランペットを与えられたウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)が、プロのクラッシック奏者になるべく、1日中トランペットの練習に明け暮れた事、ジャズに関連する知識は、後に交流のある人達を通じて「学習(勉強)」した事など、ジャズ界に文字通りの旋風を巻き起こすまでの経緯含めて、ウイントン側からの視点で当時の様子を知る事が出来ます。

 

 

学生時代にファンク・バンドで演奏していた話を読んだ後、アート・ブレイキー率いるジャズ・メッセンジャーズにおいて、フレディ・ハバード(Freddide Hubbard)やリー・モーガン(Lee morgan)以上に感じられる強力にメリハリつけた、(ある意味)かなりハッタリを効かせた演奏に終始していたのは、元々、ファンク・バンドで演奏していた経験からくるものだよなあ・・・と、妙に納得したりする訳です(笑)。

 

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この本では、ウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)がアメリカでは着々と地位も人気も上昇していったいったのに対し、日本では「Standard Time Vol. 1 (columbia)」以降の諸作が、ジャズ・ジャーナリズムに従事する方々だけでなく、ジャズ・ファンからもまったく無視された状態が何故発生したのか・・・という点に疑問を投げかける事で、「ウィントン・マルサリスは本当にジャズを殺したのか?」という疑問に対する、うっすらとした回答を提示している様にも思えます。

 

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日本のジャズ・ファンからすれば、「新世紀エヴァンゲリオン」の主人公・碇シンジ君のセリフ「裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったな!」という事かもしれませんけど、ウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)からすれば、デビュー当時から一貫して「誤解されまくってるんですけど・・・」という感じなのではないかと思ったりします。

 

 

ちなみに私がウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)を生で聴いた唯一の機会は、新宿ピット・インにおけるエルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)カルテットによる、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)トリビュート企画でした。

 

 

その時、サイドマンとして全力でトランペットを吹きまくるウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)の真摯な姿とトランペットの音色は、今でも忘れられぬ体験でありました。

 

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しかも私が観た回はCDとして発売された「至上の愛」以外の曲で、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)が作曲したものだったので、今振り返るとお得だったよなあ・・・と。

 

 

とにかく、1980年代に廃れていたアコーステック・ジャズ界隈を見事に活性化し、その後のアメリカ・ジャズ界におけるニューオリンズ・ジャズまで遡るジャズの歴史再認識運動の中心的役割を果たしたウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)の巨大すぎる功績に背を向け続ける日本のジャズ・ファン達にこそ、この本を読んで欲しいなあ・・・と思います。

 

 

 

ウィントン・マルサリスは本当にジャズを殺したのか?

著者:中山康樹
出版社:シンコーミュージック
発売日:2015年07月27日

 

 

 

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小川隆夫「マイルス・スピークス」マイルス・デイヴィスが語ったすべてのこと

私が西暦2000年頃、(なんちゃって)ジャズ・アルバム・レビューを始めた頃から参考にしている、ジャズ・ジャーナリストで本業がお医者さんである小川隆夫さん

 

これまでの小川さんの新刊は3千~5千円とあまりに高額すぎて、おいそれと手が出せなかったのですが・・・。

 

小川隆夫「マイルス・スピークス」マイルス・デイヴィスが語ったすべてのこと

今回の「マイルス・スピークス」は文庫で、お値段千円超えてますが、まあ、手が出せない価格帯ではないので、今書いてるブログの参考資料として購入してみました。

 

実は、5月の連休明けに地元・新発田市の大型書店を探し回ったのですが、どこも在庫なしという感じで、多分、入荷しなかったのか、入荷しても1冊位ですぐ売り切れたんだろうと思います。

 

他の本屋を見回る機会もないまま幾日も過ぎたとある日、加茂市「LJ Studio」にてジャズ・セッションに参加するため車で向かっていた途中、ふと思いついて加茂の「コメリ書房」に立ち寄ったら、幸いな事に1冊だけ残ってたので、速攻で購入したのでした。

 


さて、いわゆる「エレクトリック・マイルス」期のアルバム群に関しては、その当時の音楽シーンの流行り廃りなど、時代背景が頭に入ってないと、何で「ビッチェズ・ブリュー」みたいな、ジャズでもロックでもない摩訶不思議な無国籍サウンドを演奏しようとしたのか、曲目含めて説明が出来ないので、かなり放置しておりまして。

 

 

 

 


ちなみに、中山康樹さんの翻訳によるマイルス・デイヴィス(Miles Davis)の「自伝」は、ある程度読み込んではいるのですが・・・自分の言葉で綴るアルバム・レビューは「In A Silent Way」を書き終えた後、ぱったりと書く意欲が失せてました・・・というか、どう書こうかという方針すら浮かばない状況だったりします。

 

 

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「エレクトリック・マイルス」期の描写は、レコード会社とか周辺の人間関係のゴタゴタとか、余計な描写が多すぎて、肝心の「音楽」に関する描写が薄い印象があり、「自伝」を副読本にアルバム・レビューを書こうと思っても、中々糸口が見いだせないで
おりました。

 

今回、「マイルス・スピークス」を入手し、読んだ後で、何とか「沈黙期」までのアルバム群を片付けてしまおうかと思ってます(今の処の予定)。

 

 

 

マイルス・デイヴィスが語ったすべてのこと
マイルス・スピークス
著者:小川隆夫
出版社:小学館文庫 お 48-1(464ページ)
発売日 ‏ : 2026年05月01日

 

ざっと一通り読んで確認した本の概要は、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)と小川隆夫さんの出会いから始まり、何度かの交流を経て、何とか信用を勝ち取った小川さんに、マイルスが時系列は入れ替わるものの、マイルス自身の関わるエピソードを、マイルス本人が語るという(ある意味)驚異的な内容が綴られております。

 

また、マイルスが、姉や親族との赤裸々なやりとりを、小川隆夫さんの目の前で繰り広げるという、普通では考えられないエピソードなどが挟まれる事で、プレイベートというか「素」のマイルス・デイヴィス(Miles Davis)はどんな感じだったかという事が、垣間見れたりします。

 

 

マイルス・デイヴィス大百科

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マイルス・デイヴィス大事典

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新たに始めた【note】で、このブログの過去記事を順次、振り返っております。

 

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