加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

Clifford Brown - Clifford Brown Memorial Album (Blue Note) 1956

ファッツ・ナバロ(Fats Navarro)同様、早逝した天才トランペッター、クリフォード・ブラウンClifford Brown)。

 

Clifford Brown - Clifford Brown Memorial Album (Blue Note) 1956

ブルーノート(Blue Note Records)1500番台の「Clifford Brown Memorial Album (Blue Note BLP-1526)」というアルバムは、1956年に発売された様です。

 

タイトルから推測出来る通り、クリフォード・ブラウンClifford Brown)が1956年06月26日、雨降る深夜、車での移動中の事故で亡くなった後、ブルーノート(Blue Note Records)に残された2枚の10インチ・アルバムに収録されたセッションから拾遺編纂の上、12インチ・アルバムとして発売されたものだと思われます。

 

1つ目のセッションは1953年08月28日に録音されており、10インチ・アルバム「Clifford Brown - New Star On The Horizon [Blue Note BLP-5032]」として発売されております。

 

Clifford Brown - New Star On The Horizon [Blue Note BLP-5032]

Clifford Brown Memorial Album (Blue Note BLP-1526)」のA面には、そのうちの6曲から5曲拾遺の上で収録されております。

 

 

2つ目のセッションは1953年06月09日に録音されており、10インチ・アルバム「Lou Donaldson & Clifford Brown - New Faces-New Sounds [Blue Note BLP-5030]」として発売されております。

 

Lou Donaldson & Clifford Brown - New Faces-New Sounds [Blue Note BLP-5030]

Clifford Brown Memorial Album (Blue Note BLP-1526)」のB面には、そのうちの6曲から5曲拾遺の上で収録されております。

 

 

Clifford Brown Memorial Album (Blue Note BLP-1526)」に収録された演奏はいずれも、きっちりと編曲を施し、そのフレーム中でクリフォード・ブラウンClifford Brown)に最良のソロを吹いてもらうという、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)のプロデューサーとしての意向が反映されております。

 

蛇足ですが、曲を提供し演奏にも参加するジジ・グライス(Gigi Gryce)と、曲のみ提供しているクインシー・ジョーンズQuincy Jones)は、ライオネル・ハンプトンLionel Hampton)楽団の一員として、いまや伝説となった1953年のヨーロッパ・ツアーにクリフォード・ブラウンClifford Brown)と共に参加し、各地で現地ミュージシャンと録音を残したバンド仲間だったりします。

 

 

 

クリフォード・ブラウンClifford Brown)のソロに駄演なし」という意味合いの言葉を、ジャズ誌などで何度も読んだ事がありますが、若く溌溂とした演奏を聴かせてくれるこのアルバムにも勿論、その言葉が当て嵌まりますね・・・。

 

録音当時23歳だったブラウニー(クリフォード・ブラウン)ですが、数学が得意であったためか曲のコード分解はお手の物。

トランペットの他に、ピアノ、ヴィヴラフォン、ドラムスなども演奏出来たらしく、ブルーノート(Blue Note Records)に残された演奏には、アップテンポで若さに任せた勢いある演奏だけでなく、バラッドですでに円熟味を帯びた雰囲気ある演奏を聴かせてくれております。

 

さて、レコードのA面に相当する最初の5曲は、1953年08月28日に録音され「Clifford Brown - New Star On The Horizon [Blue Note BLP-5032]」として発売されたものから「Brownie Eyes (Quincy Jones)」を除く5曲を拾遺、編纂されております。

 

クリフォード・ブラウンClifford Brown)の他、アルトサックスとフルートのジジ・グライス(Gigi Gryce)、テナーサックスの(Charlie Rouse)、ピアノのジョン・ルイス(John Lewis)、ベースのパーシー・ヒース(Percy Heath)、ドラムスのアート・ブレイキー(Art Blakey)が演奏に参加しております。

 


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かっちりとしたバックアンサンブルからブラウニー(クリフォード・ブラウン)の若さと勢いを感じされるソロが飛び出す瞬間がたならない1曲目「Hymn Of The Orient (Gigi Gryce)」、後半のアート・ブレイキー(Art Blakey)とのソロ交換も刺激的ですね。


2曲目「Easy Living (L.Robin-R.Rainger)」は趣あるバラッドですが、23歳とは思えぬ深く円熟味ある演奏を聴かせてくれます。


3曲目「Minor Mood (Clifford Brown)」は、日本人好みの哀愁漂う曲調で、ここでのブラウニーは、ブルース・フィーリング溢れるソロを聴かせてくれてますし、続くジジ・グライス(Gigi Gryce)のアルトサックス・ソロも良いですね。


4曲目「Cherokee (Ray Noble)」では、超アップテンポで演奏されるいるにも関わらず、端正なフレーズを次々と繰り出すブラウニーに驚嘆するばかりです。


5曲目「Wail Bait (Quincy Jones)」は、クインシー・ジョーンズが作曲しただけあって、ビックバンド風味溢れるお洒落で洗練された感じのテーマとなっております。

ブラウニーは、ピックアップ・ソロの部分からハイノートを飛ばし気味の余裕たっぷりのソロを聴かせてくれてます。

 

 

続く、レコードのB面に相当する後半5曲は、1953年06月09日に録音され「Lou Donaldson & Clifford Brown - New Faces-New Sounds [Blue Note BLP-5030]」として発売されたものから「Bellarosa (Elmo Hope)」を除く5曲を拾遺、編纂されております。

 

クリフォード・ブラウンClifford Brown)の他、双頭リーダーでもあるアルトサックスのルー・ドナルドソンLou Donaldson)、ピアノのエルモ・ホープ(Elmo Hope)、ベースのパーシー・ヒース(Percy Heath)、ドラムスのフィリー・ジョー・ジョーンズ("Philly" Joe Jones)が演奏に加わっております。

 

6曲目「Brownie Speaks (Clifford Brown)」は、ビバップ風味の長く複雑なテーマであり、アップテンポで演奏される1曲。

 


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自作曲だけあって、ブラウニーの勢いあるソロが素晴らしいですし、キャリアの後期まで多様するソロフレーズが次々と登場します。

 


7曲目「De-Dah (Elmo Hope)」は、ややラテン風味をまぶした曲で、フィリー・ジョー・ジョーンズ("Philly" Joe Jones)の煽り気味のリズムに乗り、作曲者のエルモ・ホープ(Elmo Hope)、ルー・ドナルドソンLou Donaldson)と軽快なソロが続きます。

3番目に登場するクリフォード・ブラウンClifford Brown)は、いきなりハイノートを多用したソロからスタートし、最後まで強烈にスイングするソロを聴かせてくれます。

 


8曲目「Cookin' (Lou Donaldson)」は、ルー・ドナルドソンLou Donaldson)が書いた典型的なハードバップ風味の曲であります。

ブラウニーのソロは、1954年録音のライブ盤「Art Blakey Quintet - A Night At Birdland (Blue Note)」を思い起こさせるフレーズが随所に飛び出てきております。


9曲目「You Go To My Head (J.F.Coots-H.Gillespie)」はバラッド風味の演奏。

ルー・ドナルドソンLou Donaldson)が、チャーリー・パーカーCharlie Parker)を彷彿とさせる超高速ソロフレーズを吹き、それに対抗する形でブラウニーも最初、超高速フレーズを挿入しますが、その後はゆったりとしたフレーズで演奏を盛り上げます。

 

10曲目「Carvin' The Rock (Elmo Hope-S.Rollins)」は、フィリー・ジョー・ジョーンズ("Philly" Joe Jones)の軽快なドラムから始まるアップテンポで演奏される曲。

 

ルー・ドナルドソンLou Donaldson)、クリフォード・ブラウンClifford Brown)、エルモ・ホープ(Elmo Hope)とソロは続きますが、やはりブラウニー(クリフォード・ブラウン)のソロが一番印象に残る気がします。

 

 

Clifford Brown - Clifford Brown Memorial Album (Blue Note) 1956

 

Clifford Brown - Clifford Brown Memorial Album
Blue Note BLP-1526 / Blue Note 7243 5 32141 2 8 [2001.07.31] RVG Edition

 

side 1 (A)
●August 28, 1953 at Audio-Video Studios, NYC. [BLP-5032]
01. Hymn Of The Orient (Gigi Gryce)  4:03
02. Easy Living (L.Robin-R.Rainger)  3:40
03. Minor Mood (Clifford Brown)  4:31
04. Cherokee (Ray Noble)  3:23
05. Wail Bait (Quincy Jones)  3:59

side 2 (B)
●June 9, 1953 at WOR Studios, NYC. [BLP-5030]
06. Brownie Speaks (Clifford Brown)  3:43    
07. De-Dah (Elmo Hope)  4:47    
07. Cookin' (Lou Donaldson)  3:10    
09. You Go To My Head (J.F.Coots-H.Gillespie)  4:16
10. Carvin' The Rock (Elmo Hope-S.Rollins)  3:53

 

[CD bonus Tracks]
●August 28, 1953 at Audio-Video Studios, NYC. [BLP-5032]
11. Brownie Eyes (Quincy Jones)  3:52

12. Wail Bait [alternate take] (Quincy Jones)  4:03
13. Cherokee [alternate take] (Ray Noble)  3:38
14. Hymn Of The Orient [alternate take] (Gigi Gryce)  4:01

●June 9, 1953 at WOR Studios, NYC. [BLP-5030]
15. Bellarosa (Elmo Hope)  4:11

16. Carvin' The Rock [alternate take 1] (Elmo Hope-S.Rollins)  3:48
17. Cookin' [alternate take] (Lou Donaldson)  3:50
18. Carvin' The Rock [alternate take 2] (Elmo Hope-S.Rollins)  4:02


#01-05 & 11-14  August 28, 1953 at Audio-Video Studios, NYC. [BLP-5032]
Clifford Brown
Clifford Brown (tp) Gigi Gryce (as, fl) Charlie Rouse (ts) John Lewis (p) Percy Heath (b) Art Blakey (ds)


#06-10 & 15-18  June 9, 1953 at WOR Studios, NYC. [BLP-5030]
Lou Donaldson - Clifford Brown
Clifford Brown (tp) Lou Donaldson (as) Elmo Hope (p) Percy Heath (b) "Philly" Joe Jones (ds)

 

 

 

最後に、クリフォード・ブラウンClifford Brown)関連の過去記事を貼っておきます。

 

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Fats Navarro - The Fabulous Fats Navarro Vol. 2 (Blue Note) 1957

天才トランペッター、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)の才能に惚れ込み、自身が率いるバンドに起用し続けたのが、ピアニスト兼作編曲家であるタッド・ダメロンTadd Dameron)です。

 

タッド・ダメロンTadd Dameron)楽団が演奏した曲の中には、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)がトランペットを吹くことを想定して書き下ろされた曲が幾つかあるという話も、雑誌などの文字媒体で読んだ事があります。

 

そんな二人の濃密な関係から生まれた名演の数々を、最良の形で楽しめるのがブルーノート(Blue Note Records)に残されたアルバムだったりします。

 

Fats Navarro - The Fabulous Fats Navarro Vol. 2 (Blue Note) 1957

さて、「Vol. 1 (Blue Note BLP-1531)」に続き発売された「The Fabulous Fats Navarro Vol. 2 (Blue Note BLP-1532)」。

 

タッド・ダメロンTadd Dameron)楽団名義で1948年09月13日に録音されたセッションの3曲(6トラック)を主軸に据え、そこにハワード・マギー(Howard McGhee)、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)の双頭バンド名義の1948年10月11日に録音されたセッションから3曲、バド・パウエルBud Powell)をリーダーとする1949年08月09日に録音されたセッションから2曲を加え編纂されております。

 

という訳で。

 

まず、タッド・ダメロンTadd Dameron)をリーダーとする「The Tadd Dameron Septet / Sextet」名義で1948年09月13日に録音されたセッションからは、他のミュージシャンが演奏する事が割と多い「Lady Bird」、「All The Things You Are」のコード進行を下敷きにしたと思われるアフロ・キューバン風味の「Jahbero」、ビバップ時代の名残を残す曲調の「Symphonette」の計3曲(別テイク含め6トラック)の演奏を聴く事が出来ます。

 

3管編成のフロントとしてファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)の他、テナーサックスのアレン・イーガー(Allen Eager)とワーデル・グレイ(Wardell Gray)が参加し、アフロ・キューバン風味の「Jahbero」では、チノ・ポゾ(Chino Pozo)のボンゴが演奏を盛り上げております。

 

「The Fabulous Fats Navarro Vol. 1 (Blue Note BLP-1531)」、「The Fabulous Fats Navarro Vol. 2 (Blue Note BLP-1532)」の2枚に収録された演奏のうちで、真っ先に聴いて欲しいのが、アフロ・キューバン風味な「Jahbero」という曲の2テイク。

 

どちらのテイクも甲乙つけがたい出来ではありますが。

「Jahbero [alternate master]」におけるテーマ部が終わり、チノ・ポゾ(Chino Pozo)のボンゴだけが鳴り響くパートを経て、ドラムスのシンバルを合図に開始されるファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)のソロの物凄さ・・・。

 


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高音の伸び、ソロ・フレーズの切れの良さ、効果的な緩急の付け方と文句なしの出来です(個人的感想)。

 

 

「The McGhee-Navarro Boptet」名義で1948年10月11日に録音されたセッションからは、急速調でトランペット・バトルも熱を帯びる「Double Talk [alternate master]」、ミルト・ジャクソンMilt Jackson)のゴリゴリといった感じのパーカッシブなピアノ・バッキングがたまらない「The Skunk [alternate master]」、テーマ部の超絶難しいメロディを軽く吹きこなすフロント陣にまず驚かされる「Boperation」の3曲を聴く事が出来ます。

 


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3曲いずれも、ハワード・マギー(Howard McGhee)、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)によるトランペット・バトルがあり、それぞれの個性を堪能出来ます。

 

ハワード・マギー(Howard McGhee)、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)のダブル・トランペットに、アルトサックスのアーニー・ヘンリー(Ernie Henry)がフロントで、ヴィヴラフォンの他にピアノまで弾くミルト・ジャクソンMilt Jackson)の参加が、演奏に良き刺激を与えております。

 

 

バド・パウエルBud Powell)をリーダーとする「Bud Powell's Modernists」名義で1949年08月09日に録音されたセッションからは、緊張感を保ちつつ、ゆったりとしたテンポで演奏される「Bouncing With Bud [alternate master #1]」、フロント二人の奏でる不穏なアンサンブルから一転し、ビバップ風の綺麗なテーマが始まる「Dance Of The Infidels [alternate master]」という2曲を聴く事が出来ます。

 

バド・パウエルBud Powell)の体調を考慮し「保険」的な意味合いでの参加させたというファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)、ソニー・ロリンズSonny Rollins)のフロント陣ですが、「The Fabulous Fats Navarro Vol. 1 (Blue Note BLP-1531)」同様、主役を喰う勢いの気迫がこもったソロを聴かせてくれてます。

 

 

Fats Navarro - The Fabulous Fats Navarro Vol. 2 (Blue Note) 1957

Fats Navarro - The Fabulous Fats Navarro Vol. 2 (1957)
Blue Note BLP-1532 / 東芝EMI TOCJ-9136 [1999.09.22] 


side 1 (A)
●The Tadd Dameron Septet / Sextet [September 13, 1948 at Apex Studios, NYC.]
01. Lady Bird [alternate master] (Tadd Dameron)  2:53
02. Lady Bird (Tadd Dameron)  2:48
03. Jahbero [alternate master] (Tadd Dameron)  2:59
04. Jahbero (Tadd Dameron)  2:51
05. Symphonette [alternate master] (Tadd Dameron)  3:05
06. Symphonette (Tadd Dameron)  3:04


side 2 (B)
●The McGhee-Navarro Boptet [October 11, 1948 at Apex Studios, NYC.]
07. Double Talk [alternate master] (Navarro, McGhee)  5:18

Bud Powell's Modernists [August 9, 1949 at WOR Studios, NYC.]
08. Bouncing With Bud [alternate master #1] (Bud Powell)  3:06
09. Dance Of The Infidels [alternate master] (Bud Powell)  2:48

●The McGhee-Navarro Boptet [October 11, 1948 at Apex Studios, NYC.]
10. The Skunk [alternate master] (Navarro, McGhee)  2:55
11. Boperation (Navarro)  3:07

 

#01-06  September 13, 1948 at Apex Studios, NYC.
●The Tadd Dameron Septet / Sextet
Fats Navarro (tp) Allen Eager (ts) Wardell Gray (ts) Tadd Dameron (p) 
Curley Russell (b) Kenny Clarke (ds) Chino Pozo (bongo #3,4)


#07, 10, 11  October 11, 1948 at Apex Studios, NYC.
●The McGhee-Navarro Boptet
Howard McGhee (tp) Fats Navarro (tp) Ernie Henry (as) Milton Jackson (vib, p) 
Curley Russell (b) Kenny Clarke (ds) 


#08, 09  August 9, 1949 at WOR Studios, NYC.
Bud Powell's Modernists
Fats Navarro (tp) Sonny Rollins (ts) Bud Powell (p) Tommy Potter (b) Roy Haynes (ds)

 

 

 

私が特に好きで、学生時代からよく聴いている下記のライブ・エアチェック音源をCD化したものでも、病状が悪化したのか、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)が不在のトラックが収録されていたりします。

 

そんな訳でファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)の具合が演奏活動に支障をきたす程悪化した1949年頃、タッド・ダメロンTadd Dameron)楽団でマイルス・デイヴィスMiles Davis)がナヴァロの代役を嬉々として果たしております。

 

 

その当時の演奏は、「The Miles Davis/Tadd Dameron Quintet In Paris Festival International De Jazz, May, 1949 (Columbia JC 34804)」で聴くことが出来ます。

 

 

また、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)が亡くなった後、1953年06月11日に行われたタッド・ダメロンTadd Dameron)楽団の録音では、ナヴァロが可愛がっていた後輩にあたるクリフォード・ブラウンClifford Brown)が抜擢されており、その演奏は現在、「Clifford Brown Memorial (Prestige PRLP-7055)」で聴くことが出来ます。

 

 

ジャズ・ファンの皆様ならご存じの通り、クリフォード・ブラウンClifford Brown)も、多大な可能性を秘めたまま、早逝してしまうんですけどね・・・・。

 

Fats Navarro - The Fabulous Fats Navarro Vol. 1 (Blue Note) 1957

早逝の天才トランペッター、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)は、ディジー・ガレスピーDizzy Gillespie)、マイルス・デイヴィスMiles Davis)、クリフォード・ブラウンClifford Brown)など、同じ時代の人気トランペット奏者からも一目置かれていた存在です。

 

 

ジャズ・シンガー、ビリー・エクスタイン(Billy Eckstine)が率いる楽団に、ディジー・ガレスピーDizzy Gillespie)の後釜として、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)が入団した事でも、その実力の程が伺えます・・・。

 

ただ残念な事に、ディジー・ガレスピーDizzy Gillespie)とチャーリー・パーカーCharlie Parker)が中心となり確立されたビバップ(bebop)・ジャズを、よりモダンなスタイルに発展させる可能性を示しながら、1950年07月07日に26歳という若さで没しております。

 

ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)はスイング・ジャズがまだ人気だった1943年からプロとして演奏活動を行っており、亡くなる1950年には「Birdland」という有名ライブスポットで、チャーリー・パーカーCharlie Parker)、バド・パウエルBud Powell)、アート・ブレイキー(Art Blakey)らとビバップ時代の名曲を中心に演奏したライブ録音「One Night in Birdland (columbia)」を残しております。

 

 

・・・てな訳で今回は、ブルーノート(Blue Note Records)が編纂した渾身の拾遺集「Fats Navarro - The Fabulous Fats Navarro Vol. 1 (Blue Note BLP-1531)」です。

 

Fats Navarro - The Fabulous Fats Navarro Vol. 1 (Blue Note) 1957

小川隆夫さんのこれまた渾身の著作「ブルーノートの真実」を読むと、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)自身が話したエピソードとして、「ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)が急死しなければ、次はファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)をリーダーとしたアルバムを制作する予定だった」と語っており、それが実現していれば、今でも「知る人ぞ知る」的な存在のナヴァロが、もう少し多くの人々に知られるきっかけになったのでは・・・と思ったり。

 

 

さて、アルバム「Fats Navarro - The Fabulous Fats Navarro Vol. 1 (Blue Note BLP-1531)」は、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)がサイドメンとして演奏した録音を拾遺したものですが、タッド・ダメロンTadd Dameron)楽団の演奏を筆頭に、いずれの演奏もナヴァロが吹くトランペット・ソロの素晴らしさを堪能出来たりします。

 

ふくよかな音色、綺麗に伸びるハイトーン・フレーズ、最初から事前に構成を考え吹いていると思われるモダンなソロ・フレーズと、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)が同じトランペット奏者から絶賛された理由が演奏を聴くことで、現代でも再確認出来るのが嬉しいですね。

 

 

アルバムの主軸となるタッド・ダメロンTadd Dameron)楽団名義で1947年09月26日に行われたセッションから4曲(別テイク含めると計8テイク)ほど収録されております。

 

その他、ハワード・マギー(Howard McGhee)、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)の双頭バンド名義で1948年10月11日に行われたセッションから1曲、バド・パウエルBud Powell)をリーダーとする1949年08月09日に行われたセッションから2曲され、ライオン(Alfred Lion)渾身の編纂により、天才トランペッター、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)の素晴らしさを今も堪能する事が出来る訳でございます。

 

 

てな訳でまずは、「The Tadd Dameron Sextet」名義で1947年09月26日に行われたセッションから。

 

このセッションではタッド・ダメロンTadd Dameron)が書いた曲の中でも良く演奏される若干ハネ気味にスイングする「Our Delight」の他、ゆったりとしたテンポで演奏される「The Squirrel」、タイトル通り急かす風にアップテンポで演奏される「The Chase」、アルバム最後に収録された、ゆったりとしたテンポの中、時折挿入されるファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)による倍テンのソロが素晴らしい「Dameronia」の4曲(別テイク含めると計8テイク)の演奏を聴くことが出来ます。

 

3管編成のフロントにはファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)の他、アルトサックスのアーニー・ヘンリー(Ernie Henry)、テナーサックスのチャーリー・ラウズ(Charlie Rouse)が加わり、演奏を盛り上げております。

 

 

ルフレッド・ライオン(Alfred Kion)痛恨の手配ミスで双頭バンド「The McGhee-Navarro Boptet」名義に変更され録音された1948年10月11日に行われたセッションからは、テーマ部から軽いトランペット・バトルが展開され、ソロに入り、二人のチェイスの過激さが増す9曲目「Double Talk」が収録されております。

 


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ハワード・マギー(Howard McGhee)、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)のダブル・トランペットに、アルトサックスのアーニー・ヘンリー(Ernie Henry)、ミルト・ジャクソンMilt Jackson)はヴィヴラフォンの他にピアノまで弾いております。

 

 

バド・パウエルBud Powell)をリーダーとする「Bud Powell's Modernists」名義で1949年08月09日に行われたセッションからは、2曲の別マスターを収録。

 

バド・パウエルの快調なピアノから始まるアップテンポな7曲目「Wail [alternate master]」、8曲目「Bouncing With Bud [alternate master #2]」は、ゆったりとしたテンポで軽快にスイングする演奏です。

 

ルフレッド・ライオン(Alfred Lion)自身の話によると、ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)、ソニー・ロリンズSonny Rollins)のフロント陣は元々、バド・パウエルBud Powell)の体調が悪くなって録音に支障をきたした時の「保険」的な意味合いでの参加だったそうですが、そんな事を感じさせない、主役を喰う勢いの気迫がこもったソロを聴かせてくれてます。

 

バド・パウエルBud Powell)名義の演奏は、「The Amazing Bud Powell Vol. 1 (Blue Note BLP-1503)」などでもお楽しみいただけます。

 

 

Fats Navarro - The Fabulous Fats Navarro Vol. 1 (Blue Note) 1957

Fats Navarro - The Fabulous Fats Navarro Vol. 1 (1957)
Blue Note BLP-1531 / 東芝EMI TOCJ-9135 [1999.09.22]


side 1 (A)
●The Tadd Dameron Sextet [September 26, 1947 at WOR Studios, NYC.]
 01. Our Delight [alternate master] (Tadd Dameron)  3:04
 02. Our Delight (Tadd Dameron)  2:56
 03. The Squirrel [alternate master] (Tadd Dameron)  3:20
 04. The Squirrel (Tadd Dameron)  2:56
 05. The Chase [alternate master] (Tadd Dameron)  2:55
 06. The Chase (Tadd Dameron)  2:42

side 2 (B)
Bud Powell's Modernists [August 9, 1949 at WOR Studios, NYC.]
 07. Wail [alternate master] (Bud Powell)  2:40
 08. Bouncing With Bud [alternate master #2] (Bud Powell)  3:17

●The McGhee-Navarro Boptet [October 11, 1948 at Apex Studios, NYC.]
 09. Double Talk (Navarro, McGhee)  5:31

●The Tadd Dameron Sextet [September 26, 1947 at WOR Studios, NYC.]
 10. Dameronia [alternate master] (Tadd Dameron)  3:10
 11. Dameronia (Tadd Dameron)  3:00


#01-06, 10, 11  September 26, 1947 at WOR Studios, NYC.
●The Tadd Dameron Sextet
Fats Navarro (tp) Ernie Henry (as) Charlie Rouse (ts) Tadd Dameron (p) 
Nelson Boyd (b) Shadow Wilson (ds) 


#09  October 11, 1948 at Apex Studios, NYC.
●The McGhee-Navarro Boptet
Howard McGhee (tp) Fats Navarro (tp) Ernie Henry (as) Milton Jackson (vib, p) 
Curley Russell (b) Kenny Clarke (ds) 


#07, 08  August 9, 1949 at WOR Studios, NYC.
Bud Powell's Modernists
Fats Navarro (tp) Sonny Rollins (ts) Bud Powell (p) Tommy Potter (b) Roy Haynes (ds)

 

 

 

参考までに、バド・パウエルBud Powell)名義の演奏「The Amazing Bud Powell Vol. 1 (Blue Note BLP-1503)」について書いた過去記事も掲載しておきます。

 

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