加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

John Coltrane - Black Pearls (Prestige) 1958

ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)をリーダーとするアルバム「Black Pearls (Prestige PR-7316)」は、この時代のプレステッジ(Prestige Records)の録音では常連で、(多分)気心のしれたメンバーが集結したクインテット編成にて、1958年05月23日に録音されております。

 

John Coltrane - Black Pearls (Prestige) 1958

トランペットのドナルド・バードDonald Byrd)、ピアノのレッド・ガーランドRed Garland)、ベースのポール・チェンバースPaul Chambers)、ドラムスのアート・テイラーArt Taylor)というメンバーを見ただけで、一定レベルの演奏が期待出来ますね。

 


さて、表題曲でもある1曲目「Black Pearls」は、ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)の自作曲であり、ハード・バップ風味満載、シリアスなAパートと陽気なBパートというテーマ部の雰囲気が違う構成が面白いですね。

 


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細かいフレーズを多用し、フレーズを急かし気味に展開するジョン・コルトレーンJohn Coltrane)、高域中心にメロディアスなトランペット・ソロを展開するドナルド・バードDonald Byrd)、クールで落ち着いた感じから始まり軽快にスイングするピアノ・ソロに移行した後、最後はブロックコードでしめるレッド・ガーランドRed Garland)、落ち着いた安定感抜群なベースソロを聴かせるポール・チェンバースPaul Chambers)と続きます。

 

演奏の最後、ドラムスのアート・テイラーArt Taylor)とポール・チェンバースPaul Chambers)のソロ交換から、アート・テイラーArt Taylor)のドラム・ソロにいく流れは珍しいですね。

 

 

2曲目「Lover Come Back To Me」は、ハードバップ・ファンにはお馴染みのジャズ・スタンダード。

 


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構成は1958年12月21日に録音された「Donald Byrd - Off To The Races (Blue Note BST-84007)」に収録されたバージョンと同じ感じですが、こちらのバージョンの方が先に録音されているんですね、知らなかった(笑)。

 

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超アップテンポなリズムに乗り、ドナルド・バードDonald Byrd)、ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)、レッド・ガーランドRed Garland)と、神業の域に達してる超高速なソロ・フレーズを聴かせてくれます。

 

最後は、アート・テイラーArt Taylor)の華麗なドラム・ソロでしめます・・・。

 


3曲目「Sweet Sapphire Blues」は、プレスティッジ(Prestige Records)の創設者であり、プロデューサーのボブ・ワインストック(Bob Weinstock)が書いた、18分にも及ぶブルース。

 

軽快なテンポに乗り、6分弱にも及ぶレッド・ガーランドRed Garland)のピアノ・ソロが延々展開された後、ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)とドナルド・バードDonald Byrd)のソロはそれぞれ約4分、ポール・チェンバースPaul Chambers)のベース・ソロは約1分、アート・テイラーArt Taylor)のドラム・ソロが約2分ほど続いた後、レッド・ガーランドRed Garland)のテーマらしき演奏で幕を閉じていきます。

 

 

アルバム・ジャケットは、写真を反転された2種類あったりして、面白いというか、こだわりなきいい加減さがユルすぎる(笑)というか・・・。

 

John Coltrane - Black Pearls (Prestige) 1958

 

John Coltrane - Black Pearls
Prestige PR-7316 / Victor Entertainment VICJ-2166 [1996.11.27]


side 1 (A)
01. Black Pearls (John Coltrane)  13:10
02. Lover Come Back To Me (Oscar Hammerstein II, Sigmund Romberg)  7:25

side 2 (B)
03. Sweet Sapphire Blues (Bob Weinstock)  18:14


Donald Byrd (tp) John Coltrane (ts) Red Garland (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds) 
May 23, 1958 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

 

ブラック・パールズ

 

 

このアルバムの10日前に当たる05月13日には、フリューゲル・ホルン及びトランペット奏者であるウィルバー・ハーデン(Wilbur Harden)のアルバム「Wilbur Harden - Tanganyika Strut (Savoy MG-12136)」に参加。

 

Tanganyika Strut

Tanganyika Strut

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4日後の06月26日には、マイルス・デイヴィスMiles Davis)のバンドで「Miles Davis - 1958 Miles (CBS/Sony 20AP-1401)」に収録される4曲が録音されております。

 

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約1ヶ月後となる06月24日には再びウィルバー・ハーデン(Wilbur Harden)をリーダーとするアルバム「Wilbur Harden - Jazz Way Out  (Savoy MG-12131)」している様です。

 

 

 

 

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John Coltrane - The Believer (Prestige) 1958

ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)をリーダーとし、1958年01月10日の録音と、1958年12月26日の録音から拾遺されたアルバムが「The Believer (Prestige PRLP-7292)」です。

 

John Coltrane - The Believer (Prestige) 1958

いずれの録音もピアノのレッド・ガーランドRed Garland)、ベースのポール・チェンバースPaul Chambers)を含む、ハード・バップ時代の典型的なクインテット編成となっております。

 


マイルス・デイヴィスMiles Davis)のバンドに復帰した時期に当たる1958年01月10日の録音には、フロントの相方としてドナルド・バードDonald Byrd)が加わっております。

 

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セロニアス・モンクThelonious Monk)とファイブ・スポットで伝説のライブを繰り広げた後に当たる1958年12月26日の録音には、フレディ・ハバード(Freddy Hubbard)が加わり、いずれの録音もハードバップ時代を代表するトランペッターが、フロントの相方として起用されておりますね。

 

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ここに天才トランペッターとして名高いリー・モーガンLee Morgan)が居れば完璧なんですが、契約上の関係で起用出来ないんでしょう・・・残念ではありますが、このアルバムでは寝技的な感じで、リー・モーガンが絡んでくるのが面白かったりします。

 

 

さて、1曲目と2曲目は、1958年01月10日の録音です。

 

トランペットのドナルド・バードDonald Byrd)、ピアノのレッド・ガーランドRed Garland)、ベースのポール・チェンバースPaul Chambers)、ドラムスのルイス・ヘイズ(Louis Hayes)というクインテット編成。

 


1曲目「The Believer」は、ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)が書いた3拍子の曲。

 

レッド・ガーランドRed Garland)の力強いバッキング・イントロに続き、超シンプルなテーマが二管で奏でられます。

 

ドナルド・バードDonald Byrd)の落ち着いた感じなソロの後、ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)の、「少しは落ち着けよ(笑)」と突込みしたくなる程の、高速フレーズ連なるソロとなります。

 

その後、レッド・ガーランドRed Garland)、ポール・チェンバースPaul Chambers)とツボを心得たソロが続きます。

 


2曲目「Nakatini Serenade」は、カル・マッセイ(Cal Massey)の作品。

 


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何処かで聴いた事のあるメロディだなあ・・・と思えば、微妙にタイトルが異なりますがリー・モーガンLee Morgan)のアルバム「Leeway (Blue Note BST-84034)」の4曲目に収録された「Nakatini Suite (Calvin Massey) 」と、同じ曲の様ですね・・・。

 

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ただ、リー・モーガンLee Morgan)のバージョンよりややテンポが速く、ハードな演奏ではあります。

 

しっかし、このセッションでは、ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)がジョニー・グリフィンJohnny Griffin)並みの早吹きなソロを聴かせておりますが、「そんなに急いで何処行くの」的な感じですが、ドラムスのルイス・ヘイズ(Louis Hayes)が相当に煽っていたんでしょうかねえ(笑)。

 

高域を上手く駆使するドナルド・バードDonald Byrd)、スインギーなシングル・トーンでクールに攻めるレッド・ガーランドRed Garland)と素敵なソロ・リレーが続きます。

 

 

3曲目は、1958年12月26日の録音です。

 

トランペットのフレディ・ハバード(Freddy Hubbard)、ピアノのレッド・ガーランドRed Garland)、ベースのポール・チェンバースPaul Chambers)、ドラムスのアート・テイラーArt Taylor)というクインテット編成。

 


3曲目「Do I Love You Because You're Beautiful」は、ゆったりとしたバラッド風味の演奏です。

 


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ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)、レッド・ガーランドRed Garland)、フレディ・ハバード(Freddy Hubbard)と比較的落ち着いていて優雅なソロが続きます。

 

 

John Coltrane - The Believer
Prestige PRLP-7292 / Victor Entertainment VICJ-2151 [1996.11.27]


side 1 (A)
01. The Believer (John Coltrane)  13:49

side 2 (B)
02. Nakatini Serenade (Cal Massey)  11:03
03. Do I Love You Because You're Beautiful (Rodgers & Hammerstein)  5:12


#01,02  January 10, 1958 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Donald Byrd (tp) John Coltrane (ts) Red Garland (p) Paul Chambers (b) Louis Hayes (ds) 

 

#03  December 26, 1958 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Freddy Hubbard (tp) John Coltrane (ts) Red Garland (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds) 

 

 

ザ・ビリーヴァー

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Believer

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因みに1958年01月10日録音の演奏は、「Lush Life (Prestige PRLP-7188)」「The Last Trane (Prestige PR-7378)」にも収録されております。

 

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ザ・ラスト・トレーン

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また、1958年12月26日録音の演奏は、「Stardust (Prestige PRLP-7268)」「Bahia (Prestige PR-7353)」にも収録されております。

 

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バイーア

バイーア

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ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)のリーダー作でご紹介済みなものを、以下に適度に貼り付けておきます。

 

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John Coltrane - Dakar (Prestige) 1957

1957年04月20日に録音されたジョン・コルトレーンJohn Coltrane)をリーダーとする
アルバム「Dakar (Prestige PRLP-7280)」は後述の通りコルトレーンの存在は薄く、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)の圧倒的な存在感が光る1枚です。

 

John Coltrane - Dakar (Prestige) 1957

という訳で、「Dakar (Prestige PRLP-7280)」は、2人のバリトン・サックス奏者、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)とセシル・ベイン(Cecil Payne)を加えた、かなり珍しい重低音3管編成。

 

バックを務めるピアノ・トリオには、ピアノのマル・ウォルドロンMal Waldron)、ベースのダグ・ワトキンス(Doug Watkins)、ドラムスのアート・テイラーArt Taylor)という、それぞれリーダー級のミュージシャンが据えられ、テナーサックスとバリトン・サックス2管という変わった3管編成が、ソロにアンサンブルに暴れまくっております(笑)。

 

ちなみに、テナーサックスに近いバリトン・サックスを吹いているのが、セシル・ベイン(Cecil Payne)で、演奏仲間から「ナイフ」とあだ名されたほど切れ味鋭いゴリゴリとした感触のバリトン・サックスを吹いているのが、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)です。

 

また全6曲中、3曲がヴィヴラフォン奏者でもあるテディー・チャールズ(Teddy Charles)の作品である事から、テディー・チャールズが何らかの形でこのアルバム企画に関わっているかもしれません。

 


アルバムを最後まで聴き通すと、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)の切れ味鋭いバリトン・サックスの音色しか耳に残らない感じがするので、バリトン・サックス好きにはたまらないアルバムだと思われますが(私含む)。

 

ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)のファンにとっては「庇を貸して母屋を取られる」的なアルバムではないかと、思ったりします(笑)。

 

 

さて、1曲目「Dakar」は、テディー・チャールズ(Teddy Charles)の作品。

 

ドスが利いた重厚なAパートアンサンブルから、軽快にスイングする哀愁漂うBパートを挟むこの曲、案外、日本人好みなのでは・・・と思ったりします。

 


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ジェリー・マリガンGerry Mulligan)よりのソフト気味なソロを吹くセシル・ベイン(Cecil Payne)、いつも通り我が道を突き進むジョン・コルトレーンJohn Coltrane)に続き、ドスの利いた切れ味鋭いフレーズで攻めるペッパー・アダムス(Pepper Adams)が登場します。

 

ペッパー・アダムスの切れ味鋭いソロの後登場するマル・ウォルドロンMal Waldron)もフロントに影響されてか、いつになく高揚感溢れるソロを聴かせてくれます。

 


2曲目「Mary's Blues」は、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)が書いた、リズムがハネ気味で、ファンキー風味満載なブルース。

 

ペッパー・アダムス(Pepper Adams)、ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)、セシル・ベイン(Cecil Payne)とフロントのソロが終わりアンサンブル(セカンド・テーマ)を挟んだ後、マル・ウォルドロンMal Waldron)のソロとなります。

 

その後、フロント3人よる4小節ソロ交換に突入しますが、これも中々迫力満点です。

 

 


3曲目「Route 4」は、1曲目に続くテディー・チャールズ(Teddy Charles)の作品。

 

アップテンポな演奏で、前の2曲と対比をなすように、クールで知的な雰囲気漂う演奏となっておりますが、テンポアップなためか、フロント3人のソロ演奏に必要以上に熱が帯びてますね。

 


4曲目「Velvet Scene」は、マル・ウォルドロンMal Waldron)の書いた、スローテンポ気味なバラッド。

 


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ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)がメインテーマを吹いて、2人のバリトン奏者がアンサンブルに終始するという構成は、正解だと思ったりしますし、バラッド演奏でも、ドスが利いたソロを展開するペッパー・アダムス(Pepper Adams)が、最大の聴き処だと思います(笑)。

 


5曲目「Witches Pit」は、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)が書いた、豪快かつアップテンポな曲。

 

ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)、マル・ウォルドロンMal Waldron)、セシル・ベイン(Cecil Payne)と、魅力的なソロが続きます。

 


6曲目「Cat Walk」は、テディー・チャールズ(Teddy Charles)の作品。

 

ややゆったりとしたファンク風味の演奏にのり、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)、ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)、セシル・ベイン(Cecil Payne)、マル・ウォルドロンMal Waldron)の順で、各人の個性光るソロが続いていきます。

 

 

なお、別仕様の配色をしたジャケットもあるようなので、参考までに掲載しておきます。

 

John Coltrane - Dakar (Prestige) 1957

 

John Coltrane - Dakar
Prestige PRLP-7280 / Victor Entertainment VICJ-2122 [1996.09.28]
Masters Of Jazz - The History Series – 25

side 1 (A)
01. Dakar (Teddy Charles)  7:09
02. Mary's Blues (Pepper Adams)  6:46
03. Route 4 (Teddy Charles)  6:54

side 2 (B)
04. Velvet Scene (Mal Waldron)  4:52
05. Witches Pit (Pepper Adams)  6:41
06. Cat Walk (Teddy Charles)  7:12


John Coltrane (ts) Pepper Adams (bs) Cecil Payne (bs) Mal Waldron (p) 
Doug Watkins (b) Art Taylor (ds) 

April 20, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

 

Dakar

Dakar

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